半グレの私はなぜピュアなハウスキーパーをこんなに深く愛してしまったんだろう

大波小波

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 シャワーを使い、バスタブに身を沈める。
「長風呂がすっかり習慣になってしまったな」
 杏が、言うのだ。
 湯船につからないと、疲れが取れない、と。
 ふう、と息を付き、その世話焼きな少年を考える。
「杏は、こうしてバスタブで私を想ってくれるだろうか」
 そして。
「恐怖に駆られないと、いいが」
 先だって、無理にベッドに連れ込むような真似をした。
 あの時彼は、目を真っ赤に泣きはらしていたのだ。
 今日は、せっかく楽しいデートを共に過ごした。
 それらを全て台無しにしてまで、杏の体を我が物にしたい、とは思わない。
「それは、ちゃんと伝えておいた方がいいな」
 そう結論付けて、真はバスから出た。
「あれ? もう上がったんですか!?」
 バスローブを纏った真を出迎えたのは、そんな言葉だった。
「ちゃんと体も髪も洗ったぞ」
「少し早すぎますよ? お風呂に浸かって100まで数えましたか?」
 参ったな、と苦笑いしながら、真はフリッジからワインを出した。
「杏も、入ってくるといい。私は一杯やるから」
「はい」
「あ、それから」
 今夜は、無理に君を抱くつもりはないから。
「だから、ちゃんとお風呂でくつろいでくれ」
 少し、ほっとしたような杏の顔。
 そんな彼に、真はグラスを掲げて見せた。

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