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しおりを挟むショッピングモールで一番大きな花壇を、二人は訪れた。
「わあ。もうセントポーリアが飾ってある!」
「クリスマス、っぽいな」
どうしよう、欲しいな。
でも、クリスマスが終われば何だか間が抜けるしな、などと迷う杏が可愛い。
「欲しいと思った時が、手に入れ時だぞ。後悔するより、行動するんだ」
「いいんですか?」
「セントポーリアだって、好きでクリスマスの象徴になってるわけじゃない」
真の言葉に、杏は目が覚めた思いだ。
確かに、こちらが勝手にクリスマスに向けて飾るだけで、セントポーリアの都合は考えたことがなかった。
「そうですね。クリスマス過ぎても、綺麗なものは綺麗ですよね」
「その調子で、決めて行こう」
セントポーリアに、シクラメン。
ドラセナに、アンスリウムに、モンステラ。
「コニファーに、クリスマスの飾りつけをしてもいいですか?」
「期待してるよ」
ずいぶんたくさん選んだが、真は値段も確認せずにOKを出している。
支払いは、涼しい顔をしてカードで済ませている。
「真さん、ごめんなさい。僕、買いすぎませんでしたか?」
「そういう時は、ありがとう、と言うんだ」
私も楽しかったよ、と笑顔の真だ。
「デートでグリーンをショッピングするなんて、初めてだ」
やはり杏は、普通の子とは違う。
そんな思いを、新たにした。
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