半グレの私はなぜピュアなハウスキーパーをこんなに深く愛してしまったんだろう

大波小波

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 なぜだか、無性に杏の顔が見たくなっていた。
 詩央と体の関係を持ったことに、罪悪感を覚えたわけではない。
 私は、いつも独り。
 一度に数人と、付き合ったことだってあるのだ。
 だが、誰にも自分を縛らせずに来た。
 恋人なんて、作らないで来た。
 だがしかし。
(杏くんを墜とす前に、詩央くんと寝ちゃうとはな)
 手近なオメガで性処理をするような、そんな自堕落なアルファになってしまった気がしていた。
 早く。
 早く、会いたい。
「待ってろよ、杏くん。今夜は少しだけ、大人にしてやるからな」
 そんな高揚感を身にまとわせ、真は自動車を走らせていた。
 逸る心も、走らせた。

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