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1 二人の気持ち
しおりを挟む『泉田さん。どうか、幸樹くんと結婚させてください!』
『幸樹、結婚してくれ』
この玄馬の言葉に、止まってしまった幸樹の時間。
その時を再び動かし始めたのは、自らの意思だった。
「お父さん、僕も玄馬さんと一緒になりたいです。どうか、結婚を許してください」
幸樹はどうなんだ、と敬之が尋ねる間もなく、畳みかけられた言葉だった。
「いや、待ちなさい。幸樹とは初めて会ったばかりなのに、そんな一大事は決められない」
父の言葉に、今度は翔が重ねて来た。
「お父様、さっき幸樹くんにおっしゃいましたよね。これからは、今までの分たくさん我がままを言ってくれ、って」
四方八方から攻め込まれ、敬之は困ってしまった。
だが、玄馬を試す言葉は、まだ持っていた。
「九丈さん。もし私が反対したら、どうなさいますか?」
「それでも私が幸樹を愛し続けることに、変わりはありません」
結婚はできなくても、生涯をかけて愛し抜く。
それが、玄馬の答えだった。
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