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しおりを挟む店を臨時休業にして、遠山は布団に横になっていた。
「どうせ、お客様も来ないしね」
自嘲気味の言葉だったが、次には不機嫌を口にした。
「あのヤクザのせいで!」
幸樹は遠山を看病しながら、身の縮む思いだった。
バラの花束は、店ではなく自室に飾った。
遠山が、見たくもない、などと駄々をこねるから。
「でも。九丈さんは本当にいい人で……」
「幸樹くん。ヤクザにいい人なんて、いないんだよ!」
私を見なさい、と跳ね起きた。
「おかげで、寝込んでしまった人間がここにいる!」
「遠山さん、起きていいんですか!?」
「え? あ、いや。あぁ、具合が悪い……」
何だかわざとらしく咳き込み、遠山はまた寝てしまった。
そして、幸樹に心配そうな目を向けた。
「あのヤクザと、どこまで行ってるの?」
「そ、それは」
もうエッチしちゃいました、と白状すると、遠山はもっと具合が悪くなるに違いない。
幸樹は、関係を小出しにすることにした。
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