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 ポカンとしたのは、末緒だけではない。
 宮原も、目を円くして蒼真を見ていた。
 職場のみんなで食事会。
 そんな提案を、この堅物の男が思いつくとは!
「宮原先生も、ぜひ」
「えっ? あ、はい。喜んで」

 そして蒼真は、改めて末緒に顔を向けた。
「仲直りしたいんだ。君も、参加してくれ」
「はい……」
 蒼真は、今まで見たことがない笑顔を、末緒にくれた。
 優しくて、朗らかな笑顔。
 まるで少年のように、無垢な表情。
(澤さんって、案外いい人なのかもしれない!)
 行きの怒りはどこへやら、帰りはすっかり機嫌を直している末緒だ。

「あの笑顔、素敵だったな……」
 思わず、ぽっとしてしまう。
「いやいや。きっと、イルカさんたちには、いつもあんな顔だから!」
 気を引き締めて、末緒はその後の業務に当たった。
 だが、頭からは蒼真の笑顔がなかなか離れなかった。
 夜の食事会を楽しみに、働いた。

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