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 透は、ぞっとした。

 いきなりキスしてきた、佐々木先生。
 この上、何をされるか、解かったもんじゃない。

「お断りします」
「拡散しても、いいのか? 全校の笑いものになるぞ」
「構いません」
「林も写っている事を、忘れるな」

 そうだった。
 一瞬しか見なかったが、確かに美咲の顔も写っていたのだ。
「君はかまわなくても、彼女が困るんじゃないのか?」
 揺さぶりをかけてくる司の声が、意地悪だ。
 透は、唇を噛んだ。
 確かに、美咲が恥をかく。

「自分では気づいていないだろうが、望月くんは女子に人気がある。……女の嫉妬は恐ろしいぞ」
 その司の一言は、決定的だった。
 僕のせいで、もし美咲が女子たちに、嫌がらせを受けたりしたら!
「……解かりました」
「素直な学生は、好きだ」
 司は透の背中をそっと押し、ラウンジ奥のグループ学習室へといざなった。

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