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しおりを挟む「事実は小説より奇なり、という言葉を知っているか?」
唐突な司からの出題に、透は戸惑った。
だが、よく耳にする言葉ではある。
少し考え、答えた。
「えっと。実際に起きる出来事は、空想で書かれた小説より意外だ、とか、不思議だ、とかですよね」
「良くできました」
司は、緩やかに拍手した。
「ご褒美に、実体験させてあげよう」
「え?」
「その、小説より意外だという出来事を、体験させてやる」
なんだろう、と透が考えるより先に、司は素早く動いた。
透に顔を寄せ、唇を奪ってきたのだ。
「んッ!?」
あまりの事に、声も出ない。
お、男同士でキス!?
確かに佐々木先生は好きだけど、そういう意味じゃなくって!
そうこうしているうちに、司は透の唇を割って、舌を咥内に差し入れてきた。
柔らかな舌が上顎をかすり、透の舌に絡んでくる。
「……!」
透はようやくもがき始めたが、その時には司は彼から離れていた。
「どうだった? キスの味は」
「ふッ、ふざけないで下さい!」
濡れた唇を手の甲で拭い、透は司を睨んだ。
だが、彼は怯まない。
そんな透の態度まで、余裕で楽しんでいるかのようだ。
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