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「確かに小さいな」
「だから、言ったでしょう?」
 六畳一間の遥の部屋で、了は苦笑いした。
 だが、きれいに掃除はされているし、整頓もしてある。
 無駄なものは一切ないシンプルな部屋だったが、小さなサボテンが棚の上に飾ってあった。

「今、お茶を淹れます」
「酒は無いのか」
「了さん、車でしょう!?」
 冗談だ、と了は窓を開けて表の空気を吸った。
(ここから毎日、遥は空を見ているのか)
 そしてその空は、病気の弟が入院している場所にも、つながっているはずだ。
(しかし……)
 いくら家族とはいえ、闇クラブに身を堕としてまで治療費を稼ぐか?
 了は、遥の弟に対する深い愛情を、感じ取っていた。

「どうぞ、紅茶です」
「ありがとう」
「ティーバッグのお茶で、すみません」
「構わんよ」
 インスタントにしては美味しい紅茶を、了は味わった。
 マグカップはあらかじめ温めてあり、ティーバッグの味を限界まで高めて淹れてある。
「美味い。さすがは遥だ」
「ありがとうございます」
 さて、話だが。
 マグを置いて、了は切り出した。

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