二つの顔を持つ二人 ~イケメン俳優×カフェの少年~ 彼の前でなら本当の自分を見せられる

大波小波

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「愛、か……」
 二人で何度も昇りつめ、その愛を確かめ合った。
 そして愛する郁実は、颯真の胸の中で、すやすや眠っている。
 その髪をゆったりと撫でながら、颯真は思った。

『郁実くん、俺が欲しいのは恩返しじゃないよ。君の、愛が欲しい』

 以前、こんなセリフを、彼に贈ったっけ。
「嬉しいな。郁実、嬉しいよ」
 好きです、とは、これまでも言ってくれたが。
 彼の方から、愛してる、と伝えてもらったのは初めてだ。
 
「セックスの最中に、愛してる、なんて言われたのも、初めての経験だけど」
 だけど……。
 まず愛が、根底にあって。
 愛してるから、セックスをする。
 俺も少年の頃は、そうだったはずだ。
 そんな当たり前のことを、ずっと見失っていた。
「ありがとう、郁実。愛してるよ」
 無性に照れて、それでもしっかり声に出して、颯真はささやいた。
 そして、愛する人の髪に顔をうずめて、瞼を閉じた。




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