27 / 31
15
しおりを挟む「部屋を丸ごと寝室にするなんて、贅沢~」
僕の部屋なんて、ベッドもデスクも一緒だよ、などとはしゃぐ茉以。
だがそれは、無理にそうしているかのようだった。
そんな彼の姿に心を傷めながら、智樹はベッドに掛けた。
すぐに茉以も、隣にやってきて座った。
二人で肩を寄せ合い、ぼんやりと宙空を眺める。
これだけで、心安らぐのに。
人はどうして、その体まで求め合うのだろう。
ぽつりと、茉以が言った。
「ね、智樹。僕を清めてくれる?」
やっぱり。
智樹は、確信した。
(茉以は、田宮に無理やり……!)
「智樹じゃなきゃ、ダメなんだ」
茉以は、田宮との関係を匂わせながらも、智樹を信頼していた。
彼は僕を愛してくれる。
大丈夫。
彼となら、愛し合える。
「茉以」
名前を呼んで、智樹はその肩に手を掛けた。
口づけながら、そっとベッドに横になっていく。
茉以も、逆らわなかった。
「智樹」
キスの合間に名を呼びながら、その身を寝かせた。
そんな茉以を、智樹は大切に扱った。
顎にキスをしながら、一番目のボタンを外す。
喉にキスをしながら、二番目のボタンを外す。
鎖骨にキスをしながら、三番目のボタンを外す。
無理に貪ることなく、自然にその身の制服を剥いでいった。
「綺麗だ、茉以」
「あ、あんまりじっと見ないで」
恥ずかしいよ、と顔を背ける茉以が、可愛い。
「俺、巧くないと思うけど」
そう言いながら、智樹は茉以の小さな乳首を吸った。
22
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説

田舎に逃げたら
切島すえ彦
BL
僕は高校生の時に憧れの先輩に告白してついいことになったが、うまくいかず。社会人になって僕はまたある人と付き合うが…その人にも裏切られ僕は田舎に行き農業をすることにすると…
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

君のために、僕は変わることができたんだ
多田光希
BL
小学3年生の時に転校してきた国見璃緒は、コミニュケーションがあまりうまく取れないという発達障害を抱えていた。席が前後になった木崎叶は、何かと気にかけ、仲良くなって行く。2人が高校3年生になり、進路を決める時期に差し掛かった頃、木崎とこの先も一緒にいたいという理由だけで、国見が進路を決めようとしていることに、つい腹が立ち、周囲からも「国見の保護者」とからかわれ、イライラしていたことも重なって、木﨑は思わず国見に暴言を吐いてしまう。その後、親の仕事の都合で国見は突然転校してしまい、あっけない別れを迎えてしまった2人だったが、木崎は、ずっと後悔だけが残る日々を送っていた。2人は、また再会することが出来るのか…。悲しくも、前向きになれる切ない物語

俺より俺の感情が分かる後輩は、俺の理解を求めない
nano ひにゃ
BL
大嫌いだと思わず言ってしまった相手は、職場の後輩。隠さない好意を受け止めきれなくて、思い切り突き放す様なことを言った。嫌われてしまえば、それで良かったのに。嫌いな職場の人間になれば、これ以上心をかき乱されることも無くなると思ったのに。
小説になろうにも掲載しています。
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

彼氏未満
茉莉花 香乃
BL
『俺ら、終わりにしない?』そんなセリフで呆気なく離れる僕と彼。この数ヶ月の夢のような時間は…本当に夢だったのかもしれない。
そんな簡単な言葉で僕を振ったはずなのに、彼の態度は……
ハッピーエンド
他サイトにも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる