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 悲惨な戦争の恐ろしさと、平和の尊さ。
 茉以たちは、それらをしっかりと胸に刻んだ。
 しかしながら、次の寺院見学でやや和らぎ、ランチタイムで緩んだ。
 そして、ホテルでくつろぐ頃には、頭の片隅に押しやられていた。
 夕食を終え、風呂に入り、班ごとに部屋でくつろぐ頃には、記憶の引き出しに入ってしまった。

「おい、お前たち! 消灯だぞ! 早く寝ろ!」
 引率の教師が怒鳴りながら各部屋を廻って、灯りを消して行く。
 それでも生徒たちは、布団から乗り出し頭を寄せ合って、お喋りをやめなかった。

「な、ポーカーの続きやろうぜ」
「電気付けたら、先生に見つかるよ」
「ちぇっ、仕方ないなぁ」
 ひそひそと、そんなことを話し合っていた。

「じゃあ、罰ゲームしよう。確か一番負けてたのは、百瀬だったよな?」
「よく覚えてるなぁ、田宮(たみや)くん」
 茉以は、密かに頬を赤くした。
(田宮くん、僕のことチェックしてくれてる!)
 片思いの自覚は、ある。
 それでも、想い人の田宮に特別視されることは、嬉しかった。
 彼の次の言葉に、ひどく慌てることになったが。

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