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1話 運命のつがい

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 ベッドの上で、熱いひとときを交わした、伊織と駿。
 今は寄り添い、甘いピロートークを楽しんでいた。
「素敵なバレンタインデーだったよ」
「僕もです」
 短い、可愛らしいキスをした。
 ふふっ、と伊織が笑う。
 この上ない、安らぎの幸福感が、いっぱいに広がる。
 だが、疲れている駿は、しだいに瞼が重くなってきた。
(いけない)
 0時までは、起きてなきゃ。
 目を覚ましておくために、駿はお喋りになった。
 入学試験のこと。
 卒業式の練習のこと。
 そして……。
「あ。そういえば僕も今日、チョコもらったんですよ」
(何!?)
 うとうとしかけていた伊織は、駿の言葉に覚醒した。

「全部で4個。女子から2個と、男子から2個です」
「そ、そうか」
「男子からの1個は、友チョコなんですよ。同じクラスの、小松くん」
「ああ、同じオメガの」
 後は、2年生から1個です。
 そんな風に、駿は簡単に打ち明ける。
 しかしそれを聞きながら、伊織は胸をざわめかせていた。
 伊織さまとは比べ物になりませんね、などとと言う駿の表情に、媚はない。
 わざと煽って、試す素振りも、ない。
 全く天然の、素で、伊織以外の人間から貰った贈り物のことを、話しているのだ。
(この感情は、一体何だ!?)
 これが、噂に聞く。
 これが……嫉妬というものか!
 



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