金曜日の少年～「仕方ないよね。僕は、オメガなんだもの」虐げられた駿は、わがまま御曹司アルファの伊織に振り回されるうちに変わってゆく～

1話 クリスマスが始まった！

　インフルエンザにかかってしまった伊織が、学校を休み続けて4日が過ぎた。
　日付はとうとう、12月24日。
　クリスマス・イヴだ。
「天宮司は、今日も休みだよ」
「伊織さま、クリスマスなのに可哀想」
　篠崎と駿は、そんなことを言い合って、ここにはいない伊織を気の毒がった。
　しかし駿は、ただ気の毒がるだけでは終わらない。
「クリスマスプレゼントだけは、届けよう」
　バラの花束を託したように、玄関のお兄さんに預ければいいんだし。
　帰宅し、編み上がったひざ掛けを包んだ贈り物を、大切に手にした。
「伊織さま、気に入ってくださればいいけど」
　そう考えながら仕度をしていると、ドアベルが鳴った。
「誰かな」
　ドアを開けてみると、そこには護衛の男が。
　いつも、駿を自動車で送り迎えしてくれる、屈強な男だ。
　ただ、今日の彼は、いつもと違っていた。