この恋は運命

大波小波

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「ああ、楽しかった!」

「子どもたち、みんな喜んでくれましたね!」

 子どもたちだけじゃない、と響也は麻衣に笑顔を向けた。

「お父様もお母様も、麻衣のことをしきりに褒めてくださっていたよ」

「それは、僕のお父様も同じです」

 響也さんを、すごく褒めてくださいました、と麻衣も笑顔だ。

 パーティーは終わり、客人たちは皆、帰途に就いた。
 
 そろそろ、それぞれの屋敷に到着した頃だろう。

 麻衣の父は、中心街のホテルに宿泊すると言っていた。

「ホテル・アスカです。僕と響也さんが、初めて出会った場所」

「そうか……」

「もうすぐ、一年ですね」

 子どもを授からないことを、麻衣は普段口にしない。

 しかし、こうまで時が迫ると、つい気にしてしまう。

 響也は、不安になってしまう。

「麻衣。私は……」

「響也さん、お風呂に入りませんか?」

「えっ?」

「一緒に」

 ふふふ、と浮かべる笑みは、さっきと違って妙に艶っぽい。

「そ、そんなこと言って。私がバスルームでモンスターになっても、知らないぞ?」

「今夜は、ハロウィンですからね」

 僕だって、魔物になっちゃいますから!

 そう言い残して、麻衣はさっさとバスルームへ向かっている。

 首を傾げながら、響也はその後に続いた。

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