この恋は運命

大波小波

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 哲郎との通話を切った麻衣だが、彼が最後に語った言葉が気になった。

『ああ見えて、響也はまだまだ未熟で幼いんだ。よろしく頼む』

 子どもの頃からの付き合いがある哲郎だからこその、意見なのだろう。

「響也さんのことを、もっと深く知る手掛かりになるかもしれない」

 麻衣は哲郎の言葉を、大切に胸にしまった。

 この後のスケジュールは、夕食に、お風呂に、音楽鑑賞、ストレッチ。

 そして、就寝。

 だが、寝入ってしまう前に、響也との夜伽が待っている。

「パーティーの夜は、途中で終わってしまったけれど」

 今度こそ、響也の愛を最後まで受け止める覚悟の、麻衣だ。

 少し、緊張している。

「でも、どうしてだろう。怖くはない」

 響也と共に過ごした一番新しい記憶は、庭園で小菊を愛でたことだ。

 飾り気のない、優しい言葉。

 穏やかな、笑顔。

 それらを思うと、心が温かくなる。

 恐怖など、消えていく。

 麻衣は、落ち着いて響也との夜を迎えることができた。

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