この恋は運命

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 麻衣は、夜景を眺めて思いをはせた。

(温かな灯火。流れるヘッドライト。その光の一つひとつの元に、人がいる)

 その無数の人々の、人生が織りなされている。

(そしてその中に、早乙女の名のもとで、働き暮らしている人もいるんだ)

 早乙女家が崩壊すれば、その人々も職を失う。路頭に迷う。

(そんなこと、絶対にさせない!)

「響也さん!」

「な、何だい?」

「僕と、結婚してください!」

「え!?」

 頼みます、お願いします、と詰め寄る麻衣から、思わず逃げ腰になる響也だ。

「いや、ちょっと。少し、待ってくれ。そんな、突然に!」

「僕、何でもします。元気な赤ちゃんを産めるように、頑張りますから!」

 とにかく、と響也は麻衣をソファに押し付けるようにして座らせた。

「まずは、何か食べないか? 君、お腹がすいているだろう」

「そういえば……」

 パーティーの料理が出た時に、響也から手紙を受け取ったのだ。

 その内容が内容だっただけに、興奮して何も口にしていない。

「食べよう。ね?」

 響也が示すローテーブルの上には、軽食が準備してある。

「はい。いただきます」

 麻衣はひとまず、フォークを手にした。

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