胸に咲くは純白の花

大波小波

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「聖、何か美味しいものを、差し入れしてくれないか?」
「ダメですよ。病院の食事は、ちゃんとカロリーとか栄養とか計算されて作ってあるんですから」
「じゃあ、酒を少し。ほら、あのジンを……」
「とんでもない!」
 ああ退屈だ、と、駿佑は灰色の入院生活を送っていた。
 聖の言うことは正論だが、こうも禁欲生活が続くと参ってしまう。
「聖」
「ダメです」
「まだ、何も言っていないのに」
「今度は何ですか? ちょっと外出してドライブしたい、何て言わないでくださいよ?」
 違うよ、と駿佑は苦笑いした。
「キス、してくれ」
「……!」
「それくらい、許してくれ。もう我慢の限界だ」
 ためらったのは、一瞬だけ。
 聖は照れながら、喜んで駿佑にキスをした。
 そっと、ついばむようなキス。
 やがて深くつながり、舌を絡めて熱いキスをした。
「聖……聖」
「駿佑、さ、ん……っ」
 互いを呼び交わしながら、命の味のするキスを続けた。

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