胸に咲くは純白の花

6

「私も、その場に立ち会うことになっている。新参者なのに、なぜか上の人間に気に入られてな」
「駿佑さんも！？」
　聖は、途端に不安になった。
　何か、危険な目に遭うのでは！？
　しかしそれには、大丈夫だ、と駿佑は彼を落ち着かせた。
「ただ、その場に居合わせた組員として、逮捕されるかもしれない。だが、すぐに釈放される手筈になっているから、心配しないでくれ」
「よかった……」
　胸をなでおろす聖を、駿佑は抱き寄せた。
「お酒臭いですよ、駿佑さん」
「この掃除が終わったら、私は掃除人を辞めるよ」
「……駿佑さん？」
「真っ当な仕事をして、聖にふさわしい男になろうと思っている」
「……」
「君も知っての通り、過去には散々汚い仕事をしてきたわけだが。こんな私でも、一緒にいてくれるか？」
「……！」
　ただ黙って、聖は駿佑にかじりついた。
　胸に頭を押し付け、込み上げる嗚咽を必死でこらえた。
（駿佑さん。駿佑さんが、僕のために！）
「駿佑さん……！」
　聖は、泣いた。
　それは、きれいな涙だった。