胸に咲くは純白の花

大波小波

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「あ、あぁ! はぁッ! あ、もう! 僕、僕、もうダメぇえ!」
 聖の吐いた精が、駿佑の腹まで飛んだ。
「今夜、何回目だ? 若いと元気だな」
「ぅんッ、もう! 駿佑さんが! 駿佑さんの、せいですからぁ!」
「中、よく動いてるぞ。気持ちが悦いな」
 駿佑も、色に眩んだ目をして聖を見下ろしていた。
 彼の体内は、ひどく気持ちが悦い。
 このまま溶けて、全身潜り込んでしまいたくなるような気にさえなるのだ。
「さあ、出すぞ」
「駿佑さんッ! あ、はぁ! 早くぅう!」
 骨を軋ませ、駿佑は聖に密着した。
 細い腰を抱き、自分に擦り付けた。
「あ! イく! イッちゃうぅう!」
 聖がオーガズムに達するとほぼ同時に、駿佑は彼に子種を注ぎ込んだ。
「あ……熱ぅい……ッ!」
 ひくひくと痙攣する聖の体を、しっかりと抱き留める。
 震えがこちらにも伝わり、心地よい。
 せっかくバスを使ったのに、二人とも汗まみれだ。
 深く息を吐きながら、駿佑は聖にささやいた。
「もう一度、シャワーを浴びなきゃな」
「んぅ……。はぁ、あん……」
 シャワーは、朝でもいいか。
 この満ち足りた空気を、かき乱したくはない。
 駿佑は聖を胸に抱き、甘い余韻を味わった。
「ハッピー・ホワイトデー」
 素敵な夜を、胸に刻んだ。


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