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しおりを挟む「薬物に負ける人間が、弱いんです。そんな人たちのために、駿佑さんが危険を冒すことはありません!」
「それでも、依頼は引き受けた」
「お断りしてください、今すぐに。まだ、遅くはありません!」
解ってくれとは言わない、と駿佑は聖の手を取り、その指先に口づけた。
「ただ、見ていて欲しい。これが、私の生きざまなんだ」
「駿佑さん……」
ぽろぽろと零れる聖の涙を、駿佑は指でぬぐった。
「すまない。やはり、言うべきではなかったな」
「……いいえ。話してくれて、ありがとうございます」
駿佑のターゲットが暴力団と知って、聖は取り乱した。
しかし、彼の信頼があってこそ、打ち明けられたことも受け止めたのだ。
「僕は今までどおり、普通の高校生として、生活していればいいんですね?」
「その通りだ。決して、誰にも言ってはいけない。特に、警察には」
警官の中には組員と癒着していて、暴力団に不利になる情報を教えてしまう者もいるという。
「お巡りさんに、そんな人がいるなんて」
「これが大人の世界だよ、聖」
もう一度駿佑は、すまない、と謝った。
胸に咲いた純白の花を、汚してしまった気がしていた。
聖は、泣いた。
駿佑の腕の中で、涙を流し続けた。
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