胸に咲くは純白の花

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1話 特別な日

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 駿佑が外出から帰宅すると、普段はキッチンに入らない聖が、何やらごそごそやっていた。
「何、やってる?」
「来ちゃダメです!」
「しかし、夕食の支度を」
「あと30分、待ってください!」
 何なんだ。
 こんなことが、三日ほど前から続いている。
 訊ねても、秘密です、としか返ってこない。
「まあ、じきに飽きるだろう」
 おそらく料理に興味がわいて、何やら失敗作をこしらえているに違いない。
「私の料理の腕に近づくには、それなりの……」
「入らないでください!」
 ふっ、と小さく笑い、駿佑はリビングのソファに腰を下ろした。
 タブレットを取り出し、新しく入手したターゲットの情報を整理する。
「どの手で絡めていくか……」
 方法はいくつかあるが、確実に仕留められる手を選ばなくてはならない。
 考えていると、聖がキッチンからようやく出てきた。
「駿佑さん。僕、お腹がすきました」
「やれやれ」
 タブレットを閉じ、駿佑はようやくキッチンに入ることが許された。

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