胸に咲くは純白の花

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1話 幸せと不穏な影

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 昨夜一泊させてもらったが、駿佑が改めて見ると、聖の部屋は一風変わっていた。
 特に目を引くのは、グリーン。
 たくさんの観葉植物が、青々と茂っている。
「植物は、手を掛けただけ応えてくれます」
 そう言いながら、水を与える聖を、駿佑は見ていた。
(寂しいから、植物を育てているんだな)
 そんな風に、解釈した。
「なぜ、植物を? ここはペット可のマンションだろう」
 ネコや、小型犬を飼えばいいのに。
 それには、こんな答えが返ってきた。
「僕、時々ふらっと外泊したくなる時があるんです。動物だと、それができなくなるでしょう?」
「そうか」
 短く、駿佑は答えた。
(誰もいない広いマンションに、一人でいたくない時もあるんだろう)
 そんな風に、思った。
 後は、家具や生活雑貨の他に何もない聖の部屋だ。
 高校生らしさのない、シンプルな住まいだった。

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