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しおりを挟む巴は自分のマンションへ戻ると、浴びるように酒を飲んでいた。
「祝杯だ!」
蓮が、私を受け入れてくれたこと。
『巴さん』と呼んでくれたこと。
その手で、握手してくれたこと。
「ああ、世界全てが、輝いているかのようだ!」
さらに巴はデスクから、フォトフレームに大切に収められた写真を持ってきた。
先だっての、山でのロケでバーベキューをやった時の写真だ。
気を利かせて、五木が撮ってくれた一枚。
「こうして二人並んでいると……」
まるで、恋人同士じゃないか!
悶絶する代わりに、巴はグラスを傾けた。
素面ではいられない、強烈な悦びに酔っていた。
私用のノートパソコンには、五木からもらった蓮の画像がわんさか入っている。
「可愛い私の推し。……私の、蓮」
しかし!
解っている。
彼を推しているのは、私一人ではないことも。
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