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しおりを挟むそんな地獄の日々を送る二人に、久保はある提案を示してきた。
「青葉くんに、造血幹細胞移植を勧めたい」
「それで青葉は、治るのか? 完治するのか!?」
「賭けめいた部分はあるが、これまでにそれで治った患者は多いよ」
久保は、青葉と芳樹に治療の説明を始めた。
「骨髄移植。健康な血縁者にドナーになってもらい、造血幹細胞を提供してもらうんだ」
ただ、と久保は言う。
「免疫細胞が自己と非自己を区別するための目印となる『HLA(ヒト白血球抗原)』のタイプが合わなければ、それはできない」
芳樹の瞳が、みるみる明るくなった。
「HLAさえ合えば、いいんだな? 移植は可能で、青葉は治るんだな!?」
「まぁ、希望的に言えばそうだが、そんなに簡単なことでは……」
「いる。適合者は、いる。彼には、青葉には双子の兄弟がいるんだ」
芳樹の頭の中には、今でも時々ラインや電話でやりとりをしている怜の姿が浮かんでいた。
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