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しおりを挟むオフィスの来客用のテーブルで、倉崎は青葉に言った。
「君がここに来たということは、安藤家から出て行先を失った、と思っていいんだね?」
「いえ、行先、というか。保護してくださった方はいらっしゃいます」
こちらの、七浦さんです、と青葉は芳樹を紹介した。
芳樹の挨拶と手渡した名刺に、倉崎は背筋を伸ばした。
「あのナナウラホールディングスの、七浦さん!?」
では、この封書は開ける必要はないのでは、と倉崎は言う。
「いいえ、父が残した秘密を、僕は知りたいんです。お願いします」
「そこまで言うなら。加古さんからは、君のことをくれぐれもよろしく、とお願いされていたし」
倉崎は封書を開けると、書かれている文字を目で追った。
読み終えると、青葉をじっと見つめた。
「ここには、君の出生の秘密が書かれている」
「僕が、父の所へ養子に来る前のことですか?」
それを知っているなら話は早い、と倉崎は指を組んだ。
「結論から言おう。青葉くんは、帝都銀行頭取・土門 豊氏の息子だ」
青葉と芳樹は、息を呑んだ。
「もしかして、双子の兄弟がいたりしますか?」
なぜそれを、というような目で倉崎は芳樹を見た。
「確かに、その通りです。青葉くんは、土門氏の双子の息子さんです」
気づくと、青葉は芳樹の腕を、震える手でしっかりとつかんでいた。
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