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しおりを挟む波留が余韻から少し覚めた頃を見計らって、紫苑はその身を引き抜いた。
「んっ、あん」
「痛かったか?」
「ううん、大丈夫」
波留は、満足げな表情で紫苑を見上げた。
「すごかった。すごく感じたよ、紫苑」
少し不愛想で、ぶっきらぼうで。
でも不器用な優しさに満ちていたこの人が、こんなに激しい熱情を持ってたなんて。
波留は、恋人になってから初めて見る、紫苑の一面に酔っていた。
彼のこんな姿が見られるのは、僕だけなんだ。
「嬉しいな。すごく、嬉しい」
紫苑の胸に顔を擦り付け、波留は甘えた声を出した。
「もう、寒くないか」
「夏より暑いくらいだよ」
ふふっ、と二人で笑い合い、抱き合った。
素裸でも、湯気が出るほどホカホカだ。
紫苑は、ウェットティッシュで波留の体を拭いてあげた。
その行為に、波留は驚いたようだった。
「紫苑、優しい!」
「普通だろ」
波留は、いつも来夢の後始末をしてから、自分で体を拭いていたのだ。
真っ先に大事にしてくれる紫苑に、新鮮な感動を覚えていた。
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