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本編
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「ダーリン!私に会いに来てくれたのね!嬉しいわ~!」
「違う!断じて違う!」
抱き付いてこようと全速力で走ってきたが軽くかわした。後ろで色々な物が壊れる音がした。
「ダーリン!もしかしてこのギルドに入るの!?」
「うん、入ろうとしたけど、今止めた」
「まさか!ここの奴らに何かされたの!?分かったわ!今からあいつら私がぶっ潰してくるから!」
「うん、そういう事じゃないんだよね」
「どういうことだ?!ユージン!」
『まさか、面識があったとは』
「ゆ、ユージン様!?ど、ど、どういうことですか?!」
「ダーリン!この女誰よ!」
「俺のハニー」
「嘘っ!!?」
「嘘だ」
瞬間、腰の裏に回していた手がだらんと力なく横に垂れるのを見るとその手にはナイフが握られていた。
「やだ~もう、ダーリンたらジョーク上手すぎ~」
「よ、よし、じゃあ俺らそろそろ他のギルドに加入しに行かなくちゃ」
「私も行く!」
「お前はこのギルドがあるだろ?」
「じゃあ、私辞めるわ」
「おい!何故そうなる!?」
「いまいち状況がわからないんだけどとりあえずここで加入させてもらった方が良さそう」
「そうだな」
「おい、マジで?このギルドにするの?」
しばらく考え込んだが、透達の顔を見ればその先の決意は揺るがないことを訴えていた。
「......しょーがないな分かったよ。すいません、受付お願いします」
「おい、マリア!本当にそいつら入れる気かよ!」
「黙ってみてなさい、あなた達ダーリンのステータスみて驚くわよ。恐らく、私より上」
その場にいた全員が驚きを隠せていないようだった。
「あの、マリアより上だと?!ありえねぇ!」
「でも、マリア本人が言ってんだ、あながち間違ってねぇだろ」
こちらを見て口々になにやら言ってあるのがわかる。
「では、こちらの用紙にお名前と年齢をご記入して、あの機械でご自分のステータスとスキルをはかって下さい。ステータスとスキルに応じた自分にあったご職業を選んで下さい。」
「職業?」
「職業は戦闘中、自分らしい戦闘スタイルを一番活用できる役割の事です。種類は色々ありますよ。前線に立って戦う戦士と騎士、裏でモンスターの弱点やアイテムの活用を重視した盗賊、不利な状況下でも味方の盾になって攻撃を防ぐ重戦士、後方でサポートと支援、回復をする弓士と魔導師、騎士と戦士同様に前線に立って凄まじい一撃を繰り出す剣聖、魔法と物理の両方を使いこなして戦う魔道騎士、自分のパートナーとなる魔獣を率いて戦うライダー、祈りの力で治癒を施す聖職者。と、このように分かれています、レベルが上がればもっと色んな職業へ就けますけど...わかりました?」
「いや全然わかんねぇ」
「まあ、ご自分のステータスとスキルに沿ったご職業を選ばれれば問題はありませんよ、どちらの方から測定しますか?」
「じゃあ、私からで」
受付嬢がなにか紫の石のような物をだした。
「それが測定器?」
「はい、こちらの石を握ったままそこの台の上に手を置いて下さい。」
言われたとおりにすると台の下から紙のような物が出てきた。
「level1腕力10、脚力11、俊敏9、魔力10、属性耐性トータル12、物理耐性13、幸運10ですねスキルは無し」
「強いのか?」
「女性の方にしてはお強いですね。一般男性と同じ値です」
「では、私のステータスが良い基準ですね」
「じゃあ次俺」
「凄い!俊敏が47!スキル〈ウィークネスアタック〉これは絶対盗賊が良いですよ!」
透のステータス表を見た冒険者達がざわついた。
「level1でこれかよ!」
「すげー!」
「よし、今度は俺な」
「こっちも凄い!腕力53......属性と物理の耐性がトータル1063!?スキル〈物理攻撃の軽減〉」
「な!?嘘だろ!?」
「化け物じゃねーか!!?しかもこっちもlevel1!?」
『恐らく、私を背負いながら測ったからだろう』
「あ、そうか」
「僕も」
「腕力、脚力はあまり期待できませんが、属性耐性が69、魔力74!こっちも凄いです!スキル〈危険時の魔力上昇〉〈魔法攻撃の軽減〉」
「大魔導師と同じ値じゃねーか!」
「私も負けてないよ!」
「脚力26、俊敏30女性にしてはかなり高いと思います。スキルは〈射的時の手ブレ修正〉〈サーチアイ〉弓士向きですね!」
「うそっ!?そんな低いの!?」
「フハハハハ!残念だったなペル!まあ、俺のステータスを見て驚くが良い」
「流石よ!カッコいいわダーリン!」
やる気満々で剣と先程市場で購入した手荷物を近くのテーブルに置いた。
「さあ!どうだ!?」
「これは?!」
紙を見た受付嬢は驚いた表情を見せた。
「腕力3、脚力3、俊敏3、魔力3、属性耐性トータル3、物理耐性3、幸運3!」
「うわ~いオール3だ~アハハハハ~」
それを聞いて先程盛り上がりを見せていた冒険者達は「まじかよ、あいつ」「五歳児と同じステータスだぜ」「でかい態度とってたのに強いのは連れだけかよ」
隣のマリアはわなわなと震えていた、流石に皆の前でアレだけ俺を売っといてこの程度にしたから怒ったか?と思った時だった。
「流石よ!ダーリン!下々の者達に自分のステータスは見られまいとあえて下にでたのね!でなきゃこんなにキレイに数字が並ぶハズないわ!」
それを聞いて「おお!なる程!」「そういう事か!」「ステータス見たかったぜ!」と口々に言っていた。恐らくは連れている奴らのステータスが高かったからだろう、疑うことなく尊敬の目を向けてくる。
「ま、まあ!そういう事だな!」
「でも、ダーリン!スキルまでは隠せないわよ」
「スキルは〈超回復〉〈勇者気質〉〈神の加護〉どれもオリジンスキルです!とてもレアなスキルですよ!」
会場にいた冒険者達は「おおぉ!」となった。
「なんだ!?そのスキル!?」
「聞いたことがねぇ!!」
「なんか、上手く事がいってるな」
「確かに、ホントは幸運ステータス100とかいってるんじゃないかな」
「まあ、でもあのスキルには納得させられるところがあるよな」
「確かにそうですね、一番最初に悪魔と戦ったときとか傷が治るのが凄く早かったんです。」
「勇者気質は頷けるし」
「元に勇者だしね」
「でも、神の加護ってなんだ?」
「さあ?神様に守られてんじゃねーの?」
「流石ね、ダーリン!」
「いや、ちょっ」
なんだこの高評価は、と呆気に取られていると話が進まないと判断したのか受付の娘が話を進めてくる。
「では、職種はどうなさいますか?」
結果、透が盗賊、天井が重戦士、ネロが騎士、管が魔道士、ペルが弓士、そしてユージンが魔道騎士という事だった。魔道騎士という言葉を聞いて受付嬢が少し驚いていたので理由を聞くとどうやら魔道騎士は魔法も腕っ節も自信のある者しか慣れないそうで数が少ないらしい。
「はい、かしこまりました。こちらがギルド会員証となります依頼を受ける際はこちらをご提示下さい」
「あ、自分のステータスとスキルがある。」
「この横にある色はなんだ?」
「そちらは皆さんの階級になっております。そちらの色で依頼を決めて頂きます。あちらにボードがありますよね?あそこに貼ってあるのが依頼です。一番上がゴールドになっていまして、次にシルバー、その下にカッパーとなっています。」
「俺カッパー」
「シルバー」
「シルバー」
「シルバー」
「シルバー」
「カッパーです」
「え!てんちゃんゴールドじゃないの!?てか、カッパーって俺とネロだけ?!」
「ゴールド所持者は全ステータスが100以上が認められているんです。この街ではたった9人しかゴールドはいません。」
「そのひとりに私も入ってるわ」
隣のマリアが不意にとんでもないことを言う。
「お前本当は凄い奴だったんだな......」
「あの、依頼は個人でいくものなんですか?」
「いえ、パーティーで行く方がほとんどですよ。報酬の分け前は皆さんで決めてもらって構いません。」
受付嬢の説明で依頼内容が書かれた羊皮紙がたくさん貼ってあるボードの前へ行く。
「へーじゃあ、俺達で早速いっt...」
「邪魔だカッパー」
いきなり男に突き飛ばされた。
「いって」
「ダーリン!大丈夫?あいつら...」
「いや待て待て待て大丈夫だから」
この男を殺しそうな勢いだったのでここは止めた。
「なーなー、兄ちゃん達、俺達のパーティーへ来ないか?分け前はあんたらと俺らで五分五分でどうだ?悪くない話だろう?」
「悪いが断る」
「一昨日来やがれ」
「っ!?てめぇら年長者に向かって口の聞き方がなってねーな」
「お前らこそ年長者に向かっててめえとはなんだてめえとは」
「なんだと!?この野郎!」
殴り合いになるかと思った時だった。男の首本に剣が向けられている。剣の主を見るとマリアだった。
「あなた達こそカッパーでしょ、この場は退きなさい。無理と言うなら私が相手しても良いけど。」
男は冷や汗が止まらなかった。
「ちっ!行くぞ!」
「あいつらもカッパーだったのかよ...」
「なあ今日はもう、遅いしやめないか?」
「確かに透の言うとおり」
ギルドを出ると外はもう、夕日に染まっていた。
「宿を探さなくちゃね」
「その前に腹が減った」
「なあ、マリア。飯が旨い店知らないか?」
「私一押しの店があるわよ!」
◆◇◆
連れてこられた店は炎の光で店の中が明るく照らされ、賑わっていた。
「あら、マリアちゃんいらっしゃい!」
威勢の良い店の主らしき女がマリアを見ながら言った。
「いつもの席空いてるよ!ん?今日はお連れの人もいるのね冒険者かしら?」
「あ、どうも」
「聞いて!おかみさん!この人私のダーリン!」
すると奥からウェイトレスの格好をした男が走ってきた。
「マリアちゃん!いらっしゃい!」
「やっほ!」
店の制服を着た女のウェイトレスもきた。
「マリアちゃん!久しぶりね!」
ユージン達はその女性の姿をみて驚いた。
「ハーフエルフ!」
そう、彼女たちはハーフエルフだったのだ。しかし、驚いたのはユージン達だけじゃなかった。
「ブラウス様!?何故ここに!!」
ユージンを見て驚いていた。ブラウスというのはこの世界でのユージンの立場だ。
「そうか、この子達も貧民街の...」
「知り合いだったの?」
「ま、まあね」
本当は見たことも無かったが話を合わせた。
「まあ!ブラウス様じゃないの!」
店主も気付いたらしかった。
「ブラウス様!お久しぶりでございます!」
「うん、久しぶり」
「え?どういうこと?」
「マリアちゃん、こちら前に話した私達の主のブラウス様」
「ええ!?ダーリンがロウデンタークの領主だったの!?」
「うん、ま、まあねとりあえず席を...」
「あ!失礼しました!こちらです!」
なにやら、賑わっている席とは離れた端の席に案内された。おおかた特別扱いされているのだろう。
「ごゆっくりどうぞ!」
ウェイトレスが去っていった。
「へーやっぱハーフエルフって可愛いんだな~」
「相変わらずユージンが羨ましい」
「すいませーん!エール7つ!」
「お前未成年だろ!」
「ローマでは16からの飲酒は認められていますよ」
「そうなんだ~」
「そういえば、さっきはありがとうねマリアさん!」
「そうでした!ありがとうございました!」
「いいわよ別にあいつらにムカついただけだし、それとマリアでいいわよ」
「で、マリアさん、ステータスが全部100以上ってマジ?」
「マジよマジ。あなたみたいに1000越えは無いけどね、ほら」
「おおぉ!すげーな」
「あの、それで、その一つお願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「私をパーティーに入れて下さい!」
「「へ?」」
「ダメかな?」
「いやいやいやいや、全然もう!」
「そうです!むしろこっちからお願いします!」
「でも、マリアぐらいの手練れになるとパーティー組んでる人とかいるんじゃない?」
「ううん、私今ソロなの」
「じゃあお願いしない訳には行かないな」
「ありがとう!」
「あの、もうひとつ聞いても良い?」
「?」
「どうしてユージンがダーリンなの?」
「私、ギルド戦で上位に入ってから女扱いされなくなっちゃって、でも今日ダーリンが私の事可愛いって言ってくれて、裸体も見たいって言ってくれて、それに私自分より強い人じゃないと興味ないの」
急になにもない個室に閉じ込められた様な窮屈さを感じた。
「いや!ちょっとまって!裸体が見たいって言ったのはその、事情がな…」
「言わなくても分かるわダーリン、夜の営みも忘れるなって事でしょ?」
「いや!違う!全然違う!」
「見損ないました。ユージン様」
「そんな、マジで冷たい目で見ないで!痛い!視線が痛い!」
「キモイ」
「仮にもあんた勇者でしょ」
「話題を変えよう!えっと、そのコロシアムのギルド対抗戦っていつからなの?」
「ひと月後よ」
「「「え゛」」」
ガシャンと食器の割れる音が響いた。
「違う!断じて違う!」
抱き付いてこようと全速力で走ってきたが軽くかわした。後ろで色々な物が壊れる音がした。
「ダーリン!もしかしてこのギルドに入るの!?」
「うん、入ろうとしたけど、今止めた」
「まさか!ここの奴らに何かされたの!?分かったわ!今からあいつら私がぶっ潰してくるから!」
「うん、そういう事じゃないんだよね」
「どういうことだ?!ユージン!」
『まさか、面識があったとは』
「ゆ、ユージン様!?ど、ど、どういうことですか?!」
「ダーリン!この女誰よ!」
「俺のハニー」
「嘘っ!!?」
「嘘だ」
瞬間、腰の裏に回していた手がだらんと力なく横に垂れるのを見るとその手にはナイフが握られていた。
「やだ~もう、ダーリンたらジョーク上手すぎ~」
「よ、よし、じゃあ俺らそろそろ他のギルドに加入しに行かなくちゃ」
「私も行く!」
「お前はこのギルドがあるだろ?」
「じゃあ、私辞めるわ」
「おい!何故そうなる!?」
「いまいち状況がわからないんだけどとりあえずここで加入させてもらった方が良さそう」
「そうだな」
「おい、マジで?このギルドにするの?」
しばらく考え込んだが、透達の顔を見ればその先の決意は揺るがないことを訴えていた。
「......しょーがないな分かったよ。すいません、受付お願いします」
「おい、マリア!本当にそいつら入れる気かよ!」
「黙ってみてなさい、あなた達ダーリンのステータスみて驚くわよ。恐らく、私より上」
その場にいた全員が驚きを隠せていないようだった。
「あの、マリアより上だと?!ありえねぇ!」
「でも、マリア本人が言ってんだ、あながち間違ってねぇだろ」
こちらを見て口々になにやら言ってあるのがわかる。
「では、こちらの用紙にお名前と年齢をご記入して、あの機械でご自分のステータスとスキルをはかって下さい。ステータスとスキルに応じた自分にあったご職業を選んで下さい。」
「職業?」
「職業は戦闘中、自分らしい戦闘スタイルを一番活用できる役割の事です。種類は色々ありますよ。前線に立って戦う戦士と騎士、裏でモンスターの弱点やアイテムの活用を重視した盗賊、不利な状況下でも味方の盾になって攻撃を防ぐ重戦士、後方でサポートと支援、回復をする弓士と魔導師、騎士と戦士同様に前線に立って凄まじい一撃を繰り出す剣聖、魔法と物理の両方を使いこなして戦う魔道騎士、自分のパートナーとなる魔獣を率いて戦うライダー、祈りの力で治癒を施す聖職者。と、このように分かれています、レベルが上がればもっと色んな職業へ就けますけど...わかりました?」
「いや全然わかんねぇ」
「まあ、ご自分のステータスとスキルに沿ったご職業を選ばれれば問題はありませんよ、どちらの方から測定しますか?」
「じゃあ、私からで」
受付嬢がなにか紫の石のような物をだした。
「それが測定器?」
「はい、こちらの石を握ったままそこの台の上に手を置いて下さい。」
言われたとおりにすると台の下から紙のような物が出てきた。
「level1腕力10、脚力11、俊敏9、魔力10、属性耐性トータル12、物理耐性13、幸運10ですねスキルは無し」
「強いのか?」
「女性の方にしてはお強いですね。一般男性と同じ値です」
「では、私のステータスが良い基準ですね」
「じゃあ次俺」
「凄い!俊敏が47!スキル〈ウィークネスアタック〉これは絶対盗賊が良いですよ!」
透のステータス表を見た冒険者達がざわついた。
「level1でこれかよ!」
「すげー!」
「よし、今度は俺な」
「こっちも凄い!腕力53......属性と物理の耐性がトータル1063!?スキル〈物理攻撃の軽減〉」
「な!?嘘だろ!?」
「化け物じゃねーか!!?しかもこっちもlevel1!?」
『恐らく、私を背負いながら測ったからだろう』
「あ、そうか」
「僕も」
「腕力、脚力はあまり期待できませんが、属性耐性が69、魔力74!こっちも凄いです!スキル〈危険時の魔力上昇〉〈魔法攻撃の軽減〉」
「大魔導師と同じ値じゃねーか!」
「私も負けてないよ!」
「脚力26、俊敏30女性にしてはかなり高いと思います。スキルは〈射的時の手ブレ修正〉〈サーチアイ〉弓士向きですね!」
「うそっ!?そんな低いの!?」
「フハハハハ!残念だったなペル!まあ、俺のステータスを見て驚くが良い」
「流石よ!カッコいいわダーリン!」
やる気満々で剣と先程市場で購入した手荷物を近くのテーブルに置いた。
「さあ!どうだ!?」
「これは?!」
紙を見た受付嬢は驚いた表情を見せた。
「腕力3、脚力3、俊敏3、魔力3、属性耐性トータル3、物理耐性3、幸運3!」
「うわ~いオール3だ~アハハハハ~」
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隣のマリアはわなわなと震えていた、流石に皆の前でアレだけ俺を売っといてこの程度にしたから怒ったか?と思った時だった。
「流石よ!ダーリン!下々の者達に自分のステータスは見られまいとあえて下にでたのね!でなきゃこんなにキレイに数字が並ぶハズないわ!」
それを聞いて「おお!なる程!」「そういう事か!」「ステータス見たかったぜ!」と口々に言っていた。恐らくは連れている奴らのステータスが高かったからだろう、疑うことなく尊敬の目を向けてくる。
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「なんだ!?そのスキル!?」
「聞いたことがねぇ!!」
「なんか、上手く事がいってるな」
「確かに、ホントは幸運ステータス100とかいってるんじゃないかな」
「まあ、でもあのスキルには納得させられるところがあるよな」
「確かにそうですね、一番最初に悪魔と戦ったときとか傷が治るのが凄く早かったんです。」
「勇者気質は頷けるし」
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「でも、神の加護ってなんだ?」
「さあ?神様に守られてんじゃねーの?」
「流石ね、ダーリン!」
「いや、ちょっ」
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「はい、かしこまりました。こちらがギルド会員証となります依頼を受ける際はこちらをご提示下さい」
「あ、自分のステータスとスキルがある。」
「この横にある色はなんだ?」
「そちらは皆さんの階級になっております。そちらの色で依頼を決めて頂きます。あちらにボードがありますよね?あそこに貼ってあるのが依頼です。一番上がゴールドになっていまして、次にシルバー、その下にカッパーとなっています。」
「俺カッパー」
「シルバー」
「シルバー」
「シルバー」
「シルバー」
「カッパーです」
「え!てんちゃんゴールドじゃないの!?てか、カッパーって俺とネロだけ?!」
「ゴールド所持者は全ステータスが100以上が認められているんです。この街ではたった9人しかゴールドはいません。」
「そのひとりに私も入ってるわ」
隣のマリアが不意にとんでもないことを言う。
「お前本当は凄い奴だったんだな......」
「あの、依頼は個人でいくものなんですか?」
「いえ、パーティーで行く方がほとんどですよ。報酬の分け前は皆さんで決めてもらって構いません。」
受付嬢の説明で依頼内容が書かれた羊皮紙がたくさん貼ってあるボードの前へ行く。
「へーじゃあ、俺達で早速いっt...」
「邪魔だカッパー」
いきなり男に突き飛ばされた。
「いって」
「ダーリン!大丈夫?あいつら...」
「いや待て待て待て大丈夫だから」
この男を殺しそうな勢いだったのでここは止めた。
「なーなー、兄ちゃん達、俺達のパーティーへ来ないか?分け前はあんたらと俺らで五分五分でどうだ?悪くない話だろう?」
「悪いが断る」
「一昨日来やがれ」
「っ!?てめぇら年長者に向かって口の聞き方がなってねーな」
「お前らこそ年長者に向かっててめえとはなんだてめえとは」
「なんだと!?この野郎!」
殴り合いになるかと思った時だった。男の首本に剣が向けられている。剣の主を見るとマリアだった。
「あなた達こそカッパーでしょ、この場は退きなさい。無理と言うなら私が相手しても良いけど。」
男は冷や汗が止まらなかった。
「ちっ!行くぞ!」
「あいつらもカッパーだったのかよ...」
「なあ今日はもう、遅いしやめないか?」
「確かに透の言うとおり」
ギルドを出ると外はもう、夕日に染まっていた。
「宿を探さなくちゃね」
「その前に腹が減った」
「なあ、マリア。飯が旨い店知らないか?」
「私一押しの店があるわよ!」
◆◇◆
連れてこられた店は炎の光で店の中が明るく照らされ、賑わっていた。
「あら、マリアちゃんいらっしゃい!」
威勢の良い店の主らしき女がマリアを見ながら言った。
「いつもの席空いてるよ!ん?今日はお連れの人もいるのね冒険者かしら?」
「あ、どうも」
「聞いて!おかみさん!この人私のダーリン!」
すると奥からウェイトレスの格好をした男が走ってきた。
「マリアちゃん!いらっしゃい!」
「やっほ!」
店の制服を着た女のウェイトレスもきた。
「マリアちゃん!久しぶりね!」
ユージン達はその女性の姿をみて驚いた。
「ハーフエルフ!」
そう、彼女たちはハーフエルフだったのだ。しかし、驚いたのはユージン達だけじゃなかった。
「ブラウス様!?何故ここに!!」
ユージンを見て驚いていた。ブラウスというのはこの世界でのユージンの立場だ。
「そうか、この子達も貧民街の...」
「知り合いだったの?」
「ま、まあね」
本当は見たことも無かったが話を合わせた。
「まあ!ブラウス様じゃないの!」
店主も気付いたらしかった。
「ブラウス様!お久しぶりでございます!」
「うん、久しぶり」
「え?どういうこと?」
「マリアちゃん、こちら前に話した私達の主のブラウス様」
「ええ!?ダーリンがロウデンタークの領主だったの!?」
「うん、ま、まあねとりあえず席を...」
「あ!失礼しました!こちらです!」
なにやら、賑わっている席とは離れた端の席に案内された。おおかた特別扱いされているのだろう。
「ごゆっくりどうぞ!」
ウェイトレスが去っていった。
「へーやっぱハーフエルフって可愛いんだな~」
「相変わらずユージンが羨ましい」
「すいませーん!エール7つ!」
「お前未成年だろ!」
「ローマでは16からの飲酒は認められていますよ」
「そうなんだ~」
「そういえば、さっきはありがとうねマリアさん!」
「そうでした!ありがとうございました!」
「いいわよ別にあいつらにムカついただけだし、それとマリアでいいわよ」
「で、マリアさん、ステータスが全部100以上ってマジ?」
「マジよマジ。あなたみたいに1000越えは無いけどね、ほら」
「おおぉ!すげーな」
「あの、それで、その一つお願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「私をパーティーに入れて下さい!」
「「へ?」」
「ダメかな?」
「いやいやいやいや、全然もう!」
「そうです!むしろこっちからお願いします!」
「でも、マリアぐらいの手練れになるとパーティー組んでる人とかいるんじゃない?」
「ううん、私今ソロなの」
「じゃあお願いしない訳には行かないな」
「ありがとう!」
「あの、もうひとつ聞いても良い?」
「?」
「どうしてユージンがダーリンなの?」
「私、ギルド戦で上位に入ってから女扱いされなくなっちゃって、でも今日ダーリンが私の事可愛いって言ってくれて、裸体も見たいって言ってくれて、それに私自分より強い人じゃないと興味ないの」
急になにもない個室に閉じ込められた様な窮屈さを感じた。
「いや!ちょっとまって!裸体が見たいって言ったのはその、事情がな…」
「言わなくても分かるわダーリン、夜の営みも忘れるなって事でしょ?」
「いや!違う!全然違う!」
「見損ないました。ユージン様」
「そんな、マジで冷たい目で見ないで!痛い!視線が痛い!」
「キモイ」
「仮にもあんた勇者でしょ」
「話題を変えよう!えっと、そのコロシアムのギルド対抗戦っていつからなの?」
「ひと月後よ」
「「「え゛」」」
ガシャンと食器の割れる音が響いた。
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