妹、電脳世界の神になる〜転生して神に至る物語に巻き込まれた兄の話〜

宮比岩斗

文字の大きさ
上 下
218 / 229
10章 巻き込まれた兄の話

影の四肢

しおりを挟む
 迸る炎。

 猛る閃光。

 男の意地による鍔迫り合い。

 唸りを上げる高周波ブレードはシステム上有り得ない焔を纏う。影が村雨を取り込んだことにより村雨が持つ権能を俺が振るうことができるようになった。確実に人から離れつつあることの証左。

 対するケイオスは剣の軌跡に冷たい光が煌めいた。

 それは高周波ブレードと接触すると爆発の如き閃光が起きた。

 互いに一歩も譲らない魂のぶつかり合い。

 炎と閃光、互いの刃越しに視線が交差する。

「これで本気か?」

 問い掛ける。

「……これだから鬼は困る」

 閃光が爆ぜた。

 その一瞬でケイオスは後ろに跳んだ。距離を取った奴は空いている方の手のひらをこちらに向ける。それは瞬く間に異形へと姿を変える。以前披露した筋線維が剥き出しの蛇。だが今回、神に近づいたことにより、神々しいものに姿を変えていた。腕は八又に別れ、それぞれ白銀の鎧を纏う蛇の姿に。それはまるで八岐大蛇を模したようであった。

 それぞれが意志を持った獣の如く襲い来る。

 サブマシンガンを片手で構え、照準を大体の目測で合わせる。

 猛る魂を弾に込める。

 撃ち出した無数のそれらは蛇の鎧を、皮膚を削り、焼いていく。

 耐え抜き、間近まで接近した蛇は一飲みできるほどの巨大な顎で飛びかかる。

 飛び退き、寸でのところで避ける。

 その先で肉薄する胴に刃を突き刺す。

 迫る勢いのまま進んでいた蛇の胴を切断する。

 その痛みからかケイオスは絶叫。けれどこちらを睨んだまま残り七頭の蛇をこちらに差し向ける。

 視界に幻の影が揺らめいた。

 力に呼応するように色濃く。

 殺すでつもりで来い。

 そう言ったはずだ。

 心から溢れ出る感覚。傷口から温度を残したままの血がとめどなく流れ出る感覚。

 影が足元から同心円状に広がっていく。

 それは闇となり底のない沼地のようであった。

 その中心にいる俺はその上に立っていた。

 高周波ブレードから漏れ出るものは焔から闇の鱗粉に。

 銃弾は皮膚を溶かすナニカに代わる。

 それを操る四肢は余さず闇に覆われる。

 禍々しさを身に宿し、告げる。

「ライブの時に魔王になるってほざいたよな? ――生き恥晒す覚悟しねえ癖にほざいてんじゃねえぞ!」

 ケイオスが俺を睨む。

「何も知らない癖に! 何も知らない癖に! 何も知らない癖に!」

 沼地から這い出た腕が残り七つの蛇と応戦する。

 蛇の頭を落としていき、沼地に吸収されていく。

 その中でもがれた俺自身の腕、引きちぎられた俺の足も沼地に堕ちていく。

 その度に闇が身体を補っていく。

 七ツ蛇全ての頭を落とした時に残ったのは頭だけであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...