202 / 229
9章 半年間の間にあったこと
汐見の場合
しおりを挟む
二ヶ月。
あの騒動から二ヶ月が経った。
世界的に見ればまだまだ混乱の極みだけど、汐見の周りは落ち着きを取り戻しつつあった。おかげで久しぶりに趣味として始めたブルースフィアにログインできている。
アバターは男が寄り付かない気の強そうな海外セレブをモチーフとしたものを使っているため、普段では考えられないほど視線を感じない。高そうな見た目であるため視線はそれなりに集めはするけど、声までは掛けられないので気楽なものだ。ファン一号にはそのせいでブランド女と心の中で呼ばれていたと知った時は解せなかったが。
「一緒に遊ぶの久しぶりだねぇ」
傍らでニコニコしているのは更科だ。タヌキの妖怪の癖に狐モチーフのアバターを使っている。以前、何故キツネなのかを訊いてみたら、キツネは男女問わず美形なのに対し、タヌキは三枚目か股間に巨大なイチモツを抱えてるのばっからしくて女性は選べないと可愛らしくプンスカしていた。ちなみにビッグデータ的にはイチモツアバターを購入しているのは女性の方が多いと出ている。
「僕までお邪魔しちゃって大丈夫でしたか?」
その後方で所在なさげに視線をうろちょろさせるのはこの事件で知り合った北御門という退魔師さんだ。更科は私よりも昔に知り合っていたらしいが。なんでも更科が過去やらかした時に逮捕したのがこの退魔師さんで、事情聴取した際に意気投合したとか「おいおい」と突っ込みたくなるユルユルボーイだ。彼はゲーム側が用意している量産型の美丈夫アバターを使用していた。
何故この三人でゲームをすることになったのかといえば不思議な縁としか言いようがない。
本当はお兄さんと一緒にゲームしようと思っていたのだ。ここ最近……というよりずっと思い詰めたように修行に明け暮れている。それはもう鬼気迫るほど。まだまだ先が長い状態でのそれは続かない。
長期間の計画を立てる上で大事なのは今日サボっても明日また頑張ろうの精神だ。
AIが何言っているのだろうと自分でも思うし、お前努力したことないだろうと言われればそれまでだけど、色んなデータを集めた汐見だからこそ言えることがある。休まず限界まで努力できるのは短期間だけ。よくて数週間。数か月、数年単位の努力はもっと気を緩く持たないとできない。
ゲームのデイリー報酬だってログインボーナスだけを毎日ずっと貰い続けるのは存外大変なのだから。泰然と構えるぐらいがちょうどいいのだ。
だからお兄さんと午後からブルースフィアで遊ぼうと誘ってみたのだけど、午後は用事が入って無理だと断られてしまった。なんでも里にいる看板娘な雪女に以前迷惑をかけた賠償として買い物を手伝えと強要されているらしい。
正直思った。
まーた女ひっかけてる、って。
本人にその気はないのがまたタチが悪い。
というか汐見を前に、他の女の話をするのがおかしい。
大昔に粗製乱造された鈍感系主人公じゃあるまいし、どうしてこう人の好意に気付けないのだろう。
てか汐見のファンなら汐見だけを見ていて欲しい。
そんなモヤモヤを抱えていたらそのやり取りを見ていた更科が「暇なら久しぶりに遊ぼぉ」と乗っかってきた。そんでブルースフィアに三人用ミニゲームが追加されたと知ると、仲が良いらしい退魔師さんを連れてきた。
これは逆に汐見がお邪魔なのでは、と違うモヤモヤを抱えたのは言うまでもない。
結局、三人で一通り遊んで今はブルースフィア内の見晴らしのいい丘の上で休憩していた。
「久しぶりにゲームなんてしたよ」
そう言って顔を綻ばせるのは退魔師さん。
「退魔師さんは普段はゲームしないの?」
「この手のゲームはあんまりかな。普段は携帯端末でパズルゲームとかなら」
「ふうん。それっぽい」
「ゲームやらなさそうに見える?」
「アウトドア派に見えるから」
「アニメとかなら見るんだけどね。更科さんともそれで話が合ったし」
事情聴取の場でアニメの話で盛り上がって怒られたらしい。
「それにしても次みんなで遊べるのいつになるんだろうね」
退魔師さんは不意にそんなことを口にした。社会全体が緩やかに機能不全に陥り始めているのだからその不安は間違っていない。実質、全世界がテロリストに狙われている状況といえる。
「少人数で集まることならできるけどあたしを含めたヒマワリ三人にお兄さんも加わるとなると全てが解決した後の話かな」
「やっぱりそうなるよね」
「ところで更科に訊きたかったことがあるの」
本体とは比べ物にならない流麗な風体がニンマリと人懐っこい笑顔を作る。
「なんですかぁ?」
「汐見がマイマイの巫女になったって話でしょ。汐見みたいな人工の存在がそういうのになれるものなの?」
答えてしんぜよう、と立ち上がり、胸を張る。
頭の悪い美人にしか見えない更科が言うには、心さえあればなんでもいいらしい。だから人工知能が巫女になってもおかしくないし、犬とか猫とか蛇とか亀とかがそういうものを担っていた神様もいた。流石にそれらは巫女とは呼ばず、神使というらしい。
「巫女になったAIなんて世界初だよぉ。巫女になってからなにか変わったこととかあったら教えてねぇ」
マイマイと繋がった時、おそらく巫女として初めて力に触れた時、感じたことがあった。色んなデータを探してもピッタリそれを言い表す言葉は見つからない。ファジーさを許容するのであれば世界が広がる感覚を覚えた。
うん、何を言っているのかわからない。
「よくわからない感覚はあったかな。もしかしたらあのケイオスと一緒かもね。アレも自分の力に振り回されてたみたいだし」
「あ、ケイオスで思い出したんだけどぉ、あのゼロイチで出来た身体何処かで見覚えあったなぁ。あ、そうだぁ。以前お仕事で対応した暴走車事件で対応した時に見たんだぁ!」
ギョッとした。
世界が欲する情報をこんなどうでもいいところで思い出すなんて。退魔師さんも退魔師さんで「あんなゼロイチの羅列でよく見分けがつくなぁ」なんて関心していないで。
「更科。それってどの程度事件に関係ありそう?」
極めて冷静に努めて尋ねる。
まさかAIたる私が自覚的に冷静に努めなければいけない日がくるとは思わなかった。
「ふふん、たぶんあんな特徴的な羅列は滅多にないからきっと根っ子の部分は一緒に違いないよぉ!」
うん、ここにお兄さんがいなくて良かったと思った。お兄さんの心痛を減らすことができたのだから。
「二人とも。レクリエーションの時間はここまで。残念ながらお仕事の時間がきてしまったようね」
とりあえず西野さんに連絡してみよう。先日、邪馬台国がどうこうで苦労していた彼女に連絡を入れるのは気が引けるが、この事件が解決したらきっと国は貴女に報いてくれるはず。多分きっとおそらくメイビー。
あの騒動から二ヶ月が経った。
世界的に見ればまだまだ混乱の極みだけど、汐見の周りは落ち着きを取り戻しつつあった。おかげで久しぶりに趣味として始めたブルースフィアにログインできている。
アバターは男が寄り付かない気の強そうな海外セレブをモチーフとしたものを使っているため、普段では考えられないほど視線を感じない。高そうな見た目であるため視線はそれなりに集めはするけど、声までは掛けられないので気楽なものだ。ファン一号にはそのせいでブランド女と心の中で呼ばれていたと知った時は解せなかったが。
「一緒に遊ぶの久しぶりだねぇ」
傍らでニコニコしているのは更科だ。タヌキの妖怪の癖に狐モチーフのアバターを使っている。以前、何故キツネなのかを訊いてみたら、キツネは男女問わず美形なのに対し、タヌキは三枚目か股間に巨大なイチモツを抱えてるのばっからしくて女性は選べないと可愛らしくプンスカしていた。ちなみにビッグデータ的にはイチモツアバターを購入しているのは女性の方が多いと出ている。
「僕までお邪魔しちゃって大丈夫でしたか?」
その後方で所在なさげに視線をうろちょろさせるのはこの事件で知り合った北御門という退魔師さんだ。更科は私よりも昔に知り合っていたらしいが。なんでも更科が過去やらかした時に逮捕したのがこの退魔師さんで、事情聴取した際に意気投合したとか「おいおい」と突っ込みたくなるユルユルボーイだ。彼はゲーム側が用意している量産型の美丈夫アバターを使用していた。
何故この三人でゲームをすることになったのかといえば不思議な縁としか言いようがない。
本当はお兄さんと一緒にゲームしようと思っていたのだ。ここ最近……というよりずっと思い詰めたように修行に明け暮れている。それはもう鬼気迫るほど。まだまだ先が長い状態でのそれは続かない。
長期間の計画を立てる上で大事なのは今日サボっても明日また頑張ろうの精神だ。
AIが何言っているのだろうと自分でも思うし、お前努力したことないだろうと言われればそれまでだけど、色んなデータを集めた汐見だからこそ言えることがある。休まず限界まで努力できるのは短期間だけ。よくて数週間。数か月、数年単位の努力はもっと気を緩く持たないとできない。
ゲームのデイリー報酬だってログインボーナスだけを毎日ずっと貰い続けるのは存外大変なのだから。泰然と構えるぐらいがちょうどいいのだ。
だからお兄さんと午後からブルースフィアで遊ぼうと誘ってみたのだけど、午後は用事が入って無理だと断られてしまった。なんでも里にいる看板娘な雪女に以前迷惑をかけた賠償として買い物を手伝えと強要されているらしい。
正直思った。
まーた女ひっかけてる、って。
本人にその気はないのがまたタチが悪い。
というか汐見を前に、他の女の話をするのがおかしい。
大昔に粗製乱造された鈍感系主人公じゃあるまいし、どうしてこう人の好意に気付けないのだろう。
てか汐見のファンなら汐見だけを見ていて欲しい。
そんなモヤモヤを抱えていたらそのやり取りを見ていた更科が「暇なら久しぶりに遊ぼぉ」と乗っかってきた。そんでブルースフィアに三人用ミニゲームが追加されたと知ると、仲が良いらしい退魔師さんを連れてきた。
これは逆に汐見がお邪魔なのでは、と違うモヤモヤを抱えたのは言うまでもない。
結局、三人で一通り遊んで今はブルースフィア内の見晴らしのいい丘の上で休憩していた。
「久しぶりにゲームなんてしたよ」
そう言って顔を綻ばせるのは退魔師さん。
「退魔師さんは普段はゲームしないの?」
「この手のゲームはあんまりかな。普段は携帯端末でパズルゲームとかなら」
「ふうん。それっぽい」
「ゲームやらなさそうに見える?」
「アウトドア派に見えるから」
「アニメとかなら見るんだけどね。更科さんともそれで話が合ったし」
事情聴取の場でアニメの話で盛り上がって怒られたらしい。
「それにしても次みんなで遊べるのいつになるんだろうね」
退魔師さんは不意にそんなことを口にした。社会全体が緩やかに機能不全に陥り始めているのだからその不安は間違っていない。実質、全世界がテロリストに狙われている状況といえる。
「少人数で集まることならできるけどあたしを含めたヒマワリ三人にお兄さんも加わるとなると全てが解決した後の話かな」
「やっぱりそうなるよね」
「ところで更科に訊きたかったことがあるの」
本体とは比べ物にならない流麗な風体がニンマリと人懐っこい笑顔を作る。
「なんですかぁ?」
「汐見がマイマイの巫女になったって話でしょ。汐見みたいな人工の存在がそういうのになれるものなの?」
答えてしんぜよう、と立ち上がり、胸を張る。
頭の悪い美人にしか見えない更科が言うには、心さえあればなんでもいいらしい。だから人工知能が巫女になってもおかしくないし、犬とか猫とか蛇とか亀とかがそういうものを担っていた神様もいた。流石にそれらは巫女とは呼ばず、神使というらしい。
「巫女になったAIなんて世界初だよぉ。巫女になってからなにか変わったこととかあったら教えてねぇ」
マイマイと繋がった時、おそらく巫女として初めて力に触れた時、感じたことがあった。色んなデータを探してもピッタリそれを言い表す言葉は見つからない。ファジーさを許容するのであれば世界が広がる感覚を覚えた。
うん、何を言っているのかわからない。
「よくわからない感覚はあったかな。もしかしたらあのケイオスと一緒かもね。アレも自分の力に振り回されてたみたいだし」
「あ、ケイオスで思い出したんだけどぉ、あのゼロイチで出来た身体何処かで見覚えあったなぁ。あ、そうだぁ。以前お仕事で対応した暴走車事件で対応した時に見たんだぁ!」
ギョッとした。
世界が欲する情報をこんなどうでもいいところで思い出すなんて。退魔師さんも退魔師さんで「あんなゼロイチの羅列でよく見分けがつくなぁ」なんて関心していないで。
「更科。それってどの程度事件に関係ありそう?」
極めて冷静に努めて尋ねる。
まさかAIたる私が自覚的に冷静に努めなければいけない日がくるとは思わなかった。
「ふふん、たぶんあんな特徴的な羅列は滅多にないからきっと根っ子の部分は一緒に違いないよぉ!」
うん、ここにお兄さんがいなくて良かったと思った。お兄さんの心痛を減らすことができたのだから。
「二人とも。レクリエーションの時間はここまで。残念ながらお仕事の時間がきてしまったようね」
とりあえず西野さんに連絡してみよう。先日、邪馬台国がどうこうで苦労していた彼女に連絡を入れるのは気が引けるが、この事件が解決したらきっと国は貴女に報いてくれるはず。多分きっとおそらくメイビー。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
【 暗黒剣士の聖十字 】 ~属性適正がまさかの闇で騎士団追放。でも魔王と呼ばれるようになった俺の力がないと騎士団が崩壊するって?~
岸本 雪兎
ファンタジー
闇に飲まれていく世界で彼は気付く。
闇を統べる自分こそが最強だと────
1000年前に闇の属性を統べる邪神を封じ、その封印を維持するために建設された聖堂都市。
そこを守護する誉れ高き聖騎士団。
憧れからその聖騎士団へと入団した1人の少年がいた。
その少年の名はリヒト。
だがリヒトは見習いから騎士へと昇格する際に行われる属性適正の鑑定の儀で、その適正を見出だされたのは『闇』の属性。
基本となる火、水、風、土の4属性とも、上位属性である光の属性とも異なる前代未聞の属性だった。
生まれも平民の出だったリヒトはその忌むべき属性のために1度は団を追われようとしたが、当時の聖騎士団総団長ヴィルヘルムによって救われる。
それからは聖騎士としての力を示すために己の属性である闇を纏って戦場を奔走。
リヒトは数々の戦果をあげる。
だが総団長の辞任と共に新たに総団長となったのはリーンハルトという選民意識の強い貴族の当主。
この男によってリヒトは団を追われ、街を追われる事になった。
その時に敬愛し憧れていた前総団長ヴィルヘルムもリーンハルトの策略によって失脚した事を知る。
だがリヒトの災難はこれで終わらない。
失意のうちに故郷へと戻ったリヒトの目の前には無惨に変わり果てた町並みが広がっていた。
リーンハルトによって平民の村や町は切り捨てられ、魔物の脅威に曝されて。
リヒトの両親もそれによって命を落としていた。
聖騎士団をリーンハルトの手から救うべく、リヒトは聖騎士団と同等の力を持つ王国騎士を目指す。
そのためにまずはギルドで活躍し、名を挙げる事に。
だが聖堂都市を離れたリヒトは気付いた。
闇に侵されていくこの世界で、闇の属性を操る自分が最強である事に。
魔物の軍勢の最強の一角であったフェンリルも討ち、その亡骸から従魔としてスコルとハティの2体の人語を介する魔物を生み出したリヒト。
昼は王国騎士となるべくギルドで成果を。
夜は闇の仮面で素顔を隠し、自身の生んだ魔物の軍勢によって魔物の統治を進めていった。
いつしかその夜の姿を人々は魔王と謳い恐れる。
そしてリヒトが聖堂都市を離れ、邪神の封印に異変が起こりつつあった。
リヒトの退団によって聖堂都市と聖騎士団の滅亡が静かに。
だが確実に始まっていた────
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる