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8章 神と巫女
危機は人を一つにする
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蕎麦を食べ、北御門とともに自室に戻る。どうせ部屋に人が集まっているだろうと二人で話していた通り、西野さん、工藤さん、ポンポコリン、携帯電話の画面の中に妹と汐見、勢ぞろいしていた。侃侃諤諤もしくは紛糾といった雰囲気で俺ら二人を引きずり込んだ。
話題はもちろん三人がユニットを組むことを前提として会場を押さえたことであった。
「にーちゃん! この人勝手に会場押さえたんだけど! なんか言ってやってよ!」
妹がポンポコリンを指差す。
対してポンポコリンは不満げな顔をする。
「むー、うちの娘の何が不満なんですかぁ」
親バカなポンポコリンにも妹はうろたえない。
「ばか! ばかばかばか!」
ただし語彙力は死んでいた。
仕方なく俺が割って入る。
「あーまだ会場押さえただけなんだろ。二人で使うにしろ三人で使うにしろこれからじっくり決めていけばいいじゃないか」
大人が雁首揃えて揉めるような内容じゃない。これで揉めるのはアホらしい。
そう言ったら汐見が「そうじゃないの」と首を振る。
「更科は大きくやらかしたの。開催は来月。汐見の復帰もリークしちゃった。それだけなら汐見が復帰ライブするだけで済むけど、一緒に三人組でのライブってことも発表しちゃったの」
そりゃあ妹の語彙力も死んでしまう。俺も思わず「馬鹿か」とボヤいてしまった。
「そもそも汐見の事務所はある程度事情を汲んでくれているのだろう。どこから漏れたんだ?」
「たぶん会場を押さえる時に話したんじゃない? 世間話の一つで」
汐見がポンポコリンを睨む。
ポンポコリンは「その通りですぅ」と小さくなった。
北御門が携帯を操作しつつ、うわぁと声をあげた。
「世間はそれで持ち切りだね。汐見さんの活動休止はユニットを組むための準備期間ってことになってるみたい。復帰を歓迎する声が多いね。今はユニットを組む相手の推理が盛んかな。ただ相手は超有名な人ばかり挙げられてる」
工藤さんが青い顔になる。
「あたし……人気どころかまだデビューすらしてないけど……」
その場が静まり返る。
「やっぱり……あたしアイドル辞めようかな……」
その発言に妹が慌てて待ったをかける。
「その決断は早いってば。すぐにデビューさせて人気出るようにフォローするしさ。私だけじゃ不安ならシオミンも力貸してくれるから。ね?」
「うんうん汐見もこれまで培った経験とコネ使ってシスターカレンの布教活動頑張るから。だから辞めるなんて言わないで」
「なんなら私とシオミン、それにレンちゃんの三人じゃないとデビューしないから! だから絶対にデビューしよ?」
まさかの手を取り合う展開。今までしていた抵抗はなんだったのかというぐらいすんなりとなくなってしまった。
「シオミン! 時間ないから明日にはデビューさせるからもろもろ準備するよ! そんでその後のこととか色々相談するから!」
「わかった! サムネとか必要なものあったら教えて。急ごしらえだけど作っちゃうから。あ、あと汐見の復帰発表について事務所と協議するから暇な時間教えて!」
なんだかんだ息ぴったりであった。トップアイドルとアイドルの才能があると見込まれた者では通じ合うものがあるのだろうか。まあ、それについていくのは大変なのであろうが。相談のため、電脳世界に呼び出しを喰らった工藤さん改めシスターカレンの苦労が偲ばれる。
これでひとまずユニットの件は問題ないだろう。あとはあの三人が苦労するだけだ。
相談を見守っていた西野さんが「ちょっといいですか」と廊下に連れ出した。ポンポコリンもシレっとついてくる。西野さんが何も言わないところを見るに関係者なのだろう。北御門は何かを感じたのかその場に残った。嫌な予感しかしなかったため俺も残りたかった。
廊下に出た西野さんは告げる。
「事後報告になりますが、実は三人組ってリークしたの私なんです」
話題はもちろん三人がユニットを組むことを前提として会場を押さえたことであった。
「にーちゃん! この人勝手に会場押さえたんだけど! なんか言ってやってよ!」
妹がポンポコリンを指差す。
対してポンポコリンは不満げな顔をする。
「むー、うちの娘の何が不満なんですかぁ」
親バカなポンポコリンにも妹はうろたえない。
「ばか! ばかばかばか!」
ただし語彙力は死んでいた。
仕方なく俺が割って入る。
「あーまだ会場押さえただけなんだろ。二人で使うにしろ三人で使うにしろこれからじっくり決めていけばいいじゃないか」
大人が雁首揃えて揉めるような内容じゃない。これで揉めるのはアホらしい。
そう言ったら汐見が「そうじゃないの」と首を振る。
「更科は大きくやらかしたの。開催は来月。汐見の復帰もリークしちゃった。それだけなら汐見が復帰ライブするだけで済むけど、一緒に三人組でのライブってことも発表しちゃったの」
そりゃあ妹の語彙力も死んでしまう。俺も思わず「馬鹿か」とボヤいてしまった。
「そもそも汐見の事務所はある程度事情を汲んでくれているのだろう。どこから漏れたんだ?」
「たぶん会場を押さえる時に話したんじゃない? 世間話の一つで」
汐見がポンポコリンを睨む。
ポンポコリンは「その通りですぅ」と小さくなった。
北御門が携帯を操作しつつ、うわぁと声をあげた。
「世間はそれで持ち切りだね。汐見さんの活動休止はユニットを組むための準備期間ってことになってるみたい。復帰を歓迎する声が多いね。今はユニットを組む相手の推理が盛んかな。ただ相手は超有名な人ばかり挙げられてる」
工藤さんが青い顔になる。
「あたし……人気どころかまだデビューすらしてないけど……」
その場が静まり返る。
「やっぱり……あたしアイドル辞めようかな……」
その発言に妹が慌てて待ったをかける。
「その決断は早いってば。すぐにデビューさせて人気出るようにフォローするしさ。私だけじゃ不安ならシオミンも力貸してくれるから。ね?」
「うんうん汐見もこれまで培った経験とコネ使ってシスターカレンの布教活動頑張るから。だから辞めるなんて言わないで」
「なんなら私とシオミン、それにレンちゃんの三人じゃないとデビューしないから! だから絶対にデビューしよ?」
まさかの手を取り合う展開。今までしていた抵抗はなんだったのかというぐらいすんなりとなくなってしまった。
「シオミン! 時間ないから明日にはデビューさせるからもろもろ準備するよ! そんでその後のこととか色々相談するから!」
「わかった! サムネとか必要なものあったら教えて。急ごしらえだけど作っちゃうから。あ、あと汐見の復帰発表について事務所と協議するから暇な時間教えて!」
なんだかんだ息ぴったりであった。トップアイドルとアイドルの才能があると見込まれた者では通じ合うものがあるのだろうか。まあ、それについていくのは大変なのであろうが。相談のため、電脳世界に呼び出しを喰らった工藤さん改めシスターカレンの苦労が偲ばれる。
これでひとまずユニットの件は問題ないだろう。あとはあの三人が苦労するだけだ。
相談を見守っていた西野さんが「ちょっといいですか」と廊下に連れ出した。ポンポコリンもシレっとついてくる。西野さんが何も言わないところを見るに関係者なのだろう。北御門は何かを感じたのかその場に残った。嫌な予感しかしなかったため俺も残りたかった。
廊下に出た西野さんは告げる。
「事後報告になりますが、実は三人組ってリークしたの私なんです」
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