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6章 一転
性格も方言も感染るもの
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村娘メンタルのまま神様となり、闇雲に頑張り続けた樹神さんは化物扱いにそれはもう堪えたそうで数か月間も引きこもったそうだ。年齢的には当時としてはおばあちゃんどころか曾孫がいてもおかしくなかったが、いつまでも若い心を持っていたので引きこもった。
「無論、今でも若いけどな」などと言って、若さアピールをめいいっぱいされた。もはやメンタルすらも若くないことを察してしまう程度にくどくウザい。そう思ったのがバレたらしく無言でヘッドロックがより強く絞められる。
天岩戸隠れ以来の引きこもり神になった樹神さん。遅れてきた反抗期を謳歌するように食っちゃ寝の生活を送るようになっていった。やっていることは堕落した大学生と変わらない。
そんな生活を送っていれば、一言申しつけたくなるのが人情というやつである。最初は「たまにはそんな生活でもいいよね」と大らかな心で受け入れていた周囲の人たちも「いくらなんでも目に余る」と呆れていた。しかし、下手に注意して機嫌を損ねられても困ると扱いに苦難していたところ、とある人物が現れた。
その人物こそ天樹会の教祖なのだが、その時は単なる厄介な口うるさいオバさんだったそうだ。
そのオバさんに生活を叩き直され、人と人との交流の仕方を学んだ。
気心が知れた時に神社が欲しいと漏らしたところ、オバさんが段取りを整えて、神社建立まで辿り着いてしまったそうだ。そのオバさんの段取りの良さに驚き、気にしていなかった身元を尋ねると藩主の妾であったという。子を産み、育て、役目を終え暇になったから駄目な生活をしている神様の生活を叩き直しに来たのだという。男勝りが過ぎて、周りの制止も聞かずにやってきたともいう。藩主が心痛はそれはもう酷かっただろう。
そんなこんなで念願の神社建立が叶った樹神さんは、名実ともに神様になった。
その頃にはオバさんの豪放磊落さが移り、そのオバさんを教祖に指定して、天樹会が成ったという。
それからは綿々と天樹会が続いていくわけだが、樹神さんがブチ切れて大阪に家出したり、天上へ帰る神々から無理難題を押し付けられたり、アンジェラが弟子入り志願してきて断ったり、など枚挙にいとまのないエピソードがあったわけだが「それは長くなるまた今度な」と飛ばされた。
「うちが神様になった経緯としてはこんなところやな。参考になったやろ?」
「樹神さんにも若々しい時代があったんですね」
「今でも若々しいわ!」
ヘッドロックは解除されたが、その代わり頭をパシーンと一発平手で叩かれた。
「その大阪弁は家出した時に覚えたんですか?」
「せやな。いやー大阪弁って恐ろしいで。こっちの言語中枢を侵略するんや。あの土地で暮らし始めたら元のお国言葉なんて一瞬で忘れ去ってしまう。都市全体に大阪弁を使うようになる呪術が掛けられてる言われたら、ちょっと信じてまうな」
ちなみに百年近く経っても大阪弁が抜けないらしい。
「昔あったことで面白い話題って何かありますか? 今回の件に関わらないことでも大丈夫なので」
修行場まであと少し歩く。その場を繋ぐ話題が何か欲しかった。
「んーせやなぁ、ブーム系で言うんやったら、やっぱノストラダムスの大予言が盛り上がったなぁ」
「無論、今でも若いけどな」などと言って、若さアピールをめいいっぱいされた。もはやメンタルすらも若くないことを察してしまう程度にくどくウザい。そう思ったのがバレたらしく無言でヘッドロックがより強く絞められる。
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