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6章 一転
ポンポコリン省庁
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ふんわりしたポンポコリンな更科さん及び電脳科学庁の投げっぱなしな助力。それをどう活用すべきなのか考えていると西野さんが溜息を吐く。
「下手に現場を荒らさないだけマシだと捉えましょうか。それに電脳関係で明るいのは素直に助かります。私なんてサッパリわからないですし」
消極的受け入れの姿勢を見せた西野さん。
あまり歓迎ムードではないことを悟ってなお更科さんは「それで十分だよぉ。半分追い出されたようなものだしね」と笑った。
少しばかり深掘ってみると、どうやらこのポンポコリンは電脳関係の知識、技術はあるらしいが役所のお固い雰囲気で浮いてしまっているらしい。チームプレイができないくせに、全て一人でこなしたポンポコリンの方が成果をあげる困ったちゃんであるとのこと。使い所に困った上司がこれ幸いと、ここに派遣したのだという。
「スカウトしたのはそっちなのにひどい話だよねぇ」
笑い話にしてしまうあたり本人は至って気にしていないようだった。
「あ、北ちゃん最近なんかアニメとか見てる?」
そう言って北御門と雑談を始める。
俺は西野さんに「彼女をどうするつもりですか?」と尋ねた。
「彼女も妖怪で術の知識あるし、君と桜庭くんみたいに電脳の中で戦えるようにならないか調査お願いすることになるかな。あとは電脳に入るための設備をこの部屋に作るからそのアドバイスも。君もいつまで経っても妹さんが携帯にいては困るでしょ」
「たしかに困りますね」
妹は今日も今日とて工藤さんを口説き落とすために頑張っていた。ゆえに俺の携帯は大体樹神さんか工藤さんの手元にある。いかがわしい画像は携帯の中に入っていないが、その代わりに大量のシオミン画像がある。妹がそれを二人に見せびらかしていないか心配であった。全国区にあのシオミングッズが大量にある部屋を放送されたので今更かもしれないが。
それはそれとして旅館で用意してもらった部屋にいつも誰かしらいるという状況も困りものだ。もはやこの部屋は出張対策室扱いになっていた。広いし、落ち着けるし、居心地がいいのはわかるのだが自分の時間を持てないのは気疲れしてしまう。全国指名手配されてるような状況からしたら天国みたいなものなのだろうが。
ノックの音がした。
「俺だ。開けてくれないか」
タバコでしゃがれた声がした。
西野さんがロックを解除すると堂島さんが部屋に入ってくる。
こうやってまた人が増えていくのである。
「アイドルの件だが難しそうだな。政府が全力でバックアップすると説得しても相手が三刀さんの妹だとわかると頑なに拒否される」
堂島さんの報告を受けて、みんな「そりゃそうだろうな」と想像通りな顔をした。あとは妹と樹神さんが工藤さんを口説き落とすことに賭けるしかない。そう考えた。
その中で唯一事情を知らないポンポコリンが「なんの話ですかぁ?」と首を捻る。
一通りの事情を聞いたポンポコリンは「なぁーんだ。そんなことなら電脳科学庁がお力になれますよぉ」とまさかのことを言い出した。
西野さんが頬に手を添える。
「んー? 電脳科学庁って何かアイドルとかとタイアップしてたっけ」
「してないですよー」
「それじゃあ誰かのコネとか?」
「いいえ、ちがいますぅ」
「どういうこと?」
「電脳科学庁で作ったリアルな知能を備えたAIに任せればいいんですよぉ」
現代でも実現されていないとする技術を口にした。
「まーでも言うこと聞いてくれないし、電脳科学庁の管理下にないんですけどねぇ」
電脳科学庁のとんでもないやらかしも飛び出した。
「下手に現場を荒らさないだけマシだと捉えましょうか。それに電脳関係で明るいのは素直に助かります。私なんてサッパリわからないですし」
消極的受け入れの姿勢を見せた西野さん。
あまり歓迎ムードではないことを悟ってなお更科さんは「それで十分だよぉ。半分追い出されたようなものだしね」と笑った。
少しばかり深掘ってみると、どうやらこのポンポコリンは電脳関係の知識、技術はあるらしいが役所のお固い雰囲気で浮いてしまっているらしい。チームプレイができないくせに、全て一人でこなしたポンポコリンの方が成果をあげる困ったちゃんであるとのこと。使い所に困った上司がこれ幸いと、ここに派遣したのだという。
「スカウトしたのはそっちなのにひどい話だよねぇ」
笑い話にしてしまうあたり本人は至って気にしていないようだった。
「あ、北ちゃん最近なんかアニメとか見てる?」
そう言って北御門と雑談を始める。
俺は西野さんに「彼女をどうするつもりですか?」と尋ねた。
「彼女も妖怪で術の知識あるし、君と桜庭くんみたいに電脳の中で戦えるようにならないか調査お願いすることになるかな。あとは電脳に入るための設備をこの部屋に作るからそのアドバイスも。君もいつまで経っても妹さんが携帯にいては困るでしょ」
「たしかに困りますね」
妹は今日も今日とて工藤さんを口説き落とすために頑張っていた。ゆえに俺の携帯は大体樹神さんか工藤さんの手元にある。いかがわしい画像は携帯の中に入っていないが、その代わりに大量のシオミン画像がある。妹がそれを二人に見せびらかしていないか心配であった。全国区にあのシオミングッズが大量にある部屋を放送されたので今更かもしれないが。
それはそれとして旅館で用意してもらった部屋にいつも誰かしらいるという状況も困りものだ。もはやこの部屋は出張対策室扱いになっていた。広いし、落ち着けるし、居心地がいいのはわかるのだが自分の時間を持てないのは気疲れしてしまう。全国指名手配されてるような状況からしたら天国みたいなものなのだろうが。
ノックの音がした。
「俺だ。開けてくれないか」
タバコでしゃがれた声がした。
西野さんがロックを解除すると堂島さんが部屋に入ってくる。
こうやってまた人が増えていくのである。
「アイドルの件だが難しそうだな。政府が全力でバックアップすると説得しても相手が三刀さんの妹だとわかると頑なに拒否される」
堂島さんの報告を受けて、みんな「そりゃそうだろうな」と想像通りな顔をした。あとは妹と樹神さんが工藤さんを口説き落とすことに賭けるしかない。そう考えた。
その中で唯一事情を知らないポンポコリンが「なんの話ですかぁ?」と首を捻る。
一通りの事情を聞いたポンポコリンは「なぁーんだ。そんなことなら電脳科学庁がお力になれますよぉ」とまさかのことを言い出した。
西野さんが頬に手を添える。
「んー? 電脳科学庁って何かアイドルとかとタイアップしてたっけ」
「してないですよー」
「それじゃあ誰かのコネとか?」
「いいえ、ちがいますぅ」
「どういうこと?」
「電脳科学庁で作ったリアルな知能を備えたAIに任せればいいんですよぉ」
現代でも実現されていないとする技術を口にした。
「まーでも言うこと聞いてくれないし、電脳科学庁の管理下にないんですけどねぇ」
電脳科学庁のとんでもないやらかしも飛び出した。
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