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5章 平等な戦い
対立
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カウントダウンが終わり、マップを横断する飛行機から各自事前に割り当てられた場所へ降り立っていく。今回は装備集めがないので開始してすぐに各自位置取りが終わる。あとはエネミーが現れることを待つだけになる。
俺はビルを模した建物の屋上で桜庭と二人でアンジェラが現れるのを待っていた。アンジェラとの取り決めでこちらの準備を終えたら現れると言っていたので、程なく現れるだろう。
桜庭は静寂が張り詰める中、俺に声を掛けてくる。
「ブルースフィアでの戦いについてだが、どうして誰にも言わないんだ?」
あの戦いについては一部の人――天樹会や政府関係者しか事実を知らない。
「言っても信じられないことが多いんだ」
「それは俺でも言えないのか?」
「言えないな」
「今更信じられないことなんてないぞ」
「お偉いさん方に口止めされているんだ」
桜庭は黙り、そしてまた訊いてくる。
「天樹会に勧誘された件が関わっているのか?」
俺と天樹会との関係について知らない桜庭がそれを言い当てたことに驚き、言葉が出なかった。
「沈黙は肯定と見なすぞ」
桜庭は次の言葉を紡ぐ。
「お前は宗教に染まらない類の人間だ。それが宗教にハマるなんてえられない。エネミーの正体もしくは関連する何かを掴んだんだろう。俺に伝えないことを見るに、お前にとって、いやお前の妹にとって有利なことだったんだろう」
土壇場で訊いてくることではない。
いや、確信を持っているため、逃げ場のない状況を作って訊いてきたのだろう。
俺は桜庭に問う。
「お前はそれを誰から聞かされた?」
全ての地形表現にノイズが走った。
それから間もなくエネミーが現れたとの報告があがる。
本来はそのまま各自作戦に入るはずであったが、俺や桜庭に指示を求める声が届く。「エネミーが出現した!」「二体同時だ!」「白と黒、二体いるぞ!」という声が戦場で響き渡る。
白はあの男子、黒はアンジェラだろう。
混乱する戦場は俺らに指示を求める。
桜庭は俺に銃を向ける。
「アイツは言った。麗子の記憶を奪ったのは今現れた黒いやつだと」
「だが妹を殺したのは今現れた白いやつだ」
互いに譲れない一線。
取り戻さねばならないものと守らなければならないものの違い。
それが今、敵対という形で現れる。
――瞬間、桜庭の回し蹴りが俺の腹に沈み込む。
ダメージ判定はない。
そう聞いていたが実際にはダメージ判定が発生した。
そして、現実と同様の痛みが俺を襲う。
息ができず、後ろに倒れ込み、高台から落ちる。
落下していく中、これは俺がアンジェラにしてもらったまじないと同一のものだと理解した。
桜庭が落ちていく俺に銃を向け、発砲する。
鈍痛に耐え、俺は空に向かってシールドを展開する。
突発的なもので心を込める余裕はほとんどなかった。もとより強度のないシールドは、重ねて張ったにも関わらずほとんどが砕ける。だが幸運なことにアバターに当たる弾は防ぐことができた。
だが、落下ダメージによって、瀕死レベルのダメージを受けることになる。
墜落を見届け、射程外になってしまったことを確認した桜庭は宣言する。
「三刀がエネミーと内通していた! これより総指揮は俺が執る!」
俺はビルを模した建物の屋上で桜庭と二人でアンジェラが現れるのを待っていた。アンジェラとの取り決めでこちらの準備を終えたら現れると言っていたので、程なく現れるだろう。
桜庭は静寂が張り詰める中、俺に声を掛けてくる。
「ブルースフィアでの戦いについてだが、どうして誰にも言わないんだ?」
あの戦いについては一部の人――天樹会や政府関係者しか事実を知らない。
「言っても信じられないことが多いんだ」
「それは俺でも言えないのか?」
「言えないな」
「今更信じられないことなんてないぞ」
「お偉いさん方に口止めされているんだ」
桜庭は黙り、そしてまた訊いてくる。
「天樹会に勧誘された件が関わっているのか?」
俺と天樹会との関係について知らない桜庭がそれを言い当てたことに驚き、言葉が出なかった。
「沈黙は肯定と見なすぞ」
桜庭は次の言葉を紡ぐ。
「お前は宗教に染まらない類の人間だ。それが宗教にハマるなんてえられない。エネミーの正体もしくは関連する何かを掴んだんだろう。俺に伝えないことを見るに、お前にとって、いやお前の妹にとって有利なことだったんだろう」
土壇場で訊いてくることではない。
いや、確信を持っているため、逃げ場のない状況を作って訊いてきたのだろう。
俺は桜庭に問う。
「お前はそれを誰から聞かされた?」
全ての地形表現にノイズが走った。
それから間もなくエネミーが現れたとの報告があがる。
本来はそのまま各自作戦に入るはずであったが、俺や桜庭に指示を求める声が届く。「エネミーが出現した!」「二体同時だ!」「白と黒、二体いるぞ!」という声が戦場で響き渡る。
白はあの男子、黒はアンジェラだろう。
混乱する戦場は俺らに指示を求める。
桜庭は俺に銃を向ける。
「アイツは言った。麗子の記憶を奪ったのは今現れた黒いやつだと」
「だが妹を殺したのは今現れた白いやつだ」
互いに譲れない一線。
取り戻さねばならないものと守らなければならないものの違い。
それが今、敵対という形で現れる。
――瞬間、桜庭の回し蹴りが俺の腹に沈み込む。
ダメージ判定はない。
そう聞いていたが実際にはダメージ判定が発生した。
そして、現実と同様の痛みが俺を襲う。
息ができず、後ろに倒れ込み、高台から落ちる。
落下していく中、これは俺がアンジェラにしてもらったまじないと同一のものだと理解した。
桜庭が落ちていく俺に銃を向け、発砲する。
鈍痛に耐え、俺は空に向かってシールドを展開する。
突発的なもので心を込める余裕はほとんどなかった。もとより強度のないシールドは、重ねて張ったにも関わらずほとんどが砕ける。だが幸運なことにアバターに当たる弾は防ぐことができた。
だが、落下ダメージによって、瀕死レベルのダメージを受けることになる。
墜落を見届け、射程外になってしまったことを確認した桜庭は宣言する。
「三刀がエネミーと内通していた! これより総指揮は俺が執る!」
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