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5章 平等な戦い
オカルトな存在のホラーな行動
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アンジェラを樹神さんとの相談の場に呼び出さなくてはならなくなった。アンジェラに出るように頼む分には何の問題もないし、駄目だったとしても仕方ないで済む。ただ、どうやってそれを伝えようか悩む。いつもアンジェラが唐突に現れるし、意図して会えた時はアテがあったからよかった。今回はどこで何をしているかアテすらない。
以前「またデートに誘いたくなったら呼んでね。すぐに来るわ」と言って我が居城たる安アパートから出て行ったが、また気が向いた時にやってくるのを待つのが一番早く会えそうだ。
「にーちゃん、なんの電話だったの?」
「天樹会の会長からアンジェラと相談の場を設けて欲しいって電話だった」
「ああ、本当の神様とかいう」
「そういえばお前はまだ会ったことなかったな。会っておくか?」
「それは構わないけどその会長さんって今の状況でどういうスタンスなの?」
「騒ぎを大きくしたくなさそうなニュアンスは感じた。そもそもアンジェラとお前だったら、昔から神様になりたがってたアンジェラを推してそうだったな」
「ふーん、それじゃ今のこの状況面倒ごとでしかない感じかな」
「俺も詳しくは知らないがそうかもな」
「てか会長さんって昔からあの卑しい女のこと知ってたのに連絡取れないわけ?」
「俺に頼むってことはそうなんだろ」
「あーあれだね、優等生だった子がグレて、恩師に顔を合わせにくいから逃げ回ってるっていうやつだね」
「そう聞くと神様とこれから神様になるっていうやつの話なのに、一気にスケールダウンするな」
「一人暮らしの男の部屋に入り浸るし、そりゃ大人としては心配するよね」
その言い方ではスケールダウンどころか単なる事案でしかない。
「ただ今回の厄介な件は女の方が男を襲おうとしてる点だよね。かーっ卑しい女は嫌だねー」
唾でも吐き捨てそうな渋い顔をする妹。
馬乗りをされた手前、言い返せないので話題を変えることにする。
「ところでアンジェラにそれをどうやって伝えればいいと思う?」
妹は渋い顔のまま吐き捨てる。
「独り言で今すぐ部屋に来てくれーっていえばすぐに来るんじゃね」
それはさすがにないだろうと思いつつ、実際にやってみて「駄目だったじゃないか」と冗談めかして言ってやろうと考えた。
「アンジェラー今すぐ部屋に来てくれー」
棒読みもいいところな演技に、俺が冗談を言う前に妹がケラケラと笑いだす。
「ちょっと酷過ぎるって。演技の才能なさすぎでしょー」
「お前、素人に何求めてるんだ」
「いやいや、にーちゃんは私のアバターを貰った以上、これからビッグになって貰わなきゃ困るわけですよ」
「お前はまず兄貴をビッグにする前に相方探しを頑張れよ」
「いやー誰か都合のいい人材いないもんですかねー」
「ガワは最悪お前が作ればなんとかなるにしろ、条件に合うかがな」
「ちょっとにーちゃん、アバター作るのだって簡単じゃないんだからね」
睨まれる。
「悪いな。でもお前のアバターの出来を見込んでのことだ。お前と一緒にアイドルをやる以上、一方的な引き立て役になられて、すぐにユニット解散じゃ困るだろ」
おべっか八割の言い訳であったが、妹はそれに気を良くして「まあ、そんじょそこらのアバター制作技術もってる奴とは違うからね!」と鼻を高くする。
嘘はすぐに気がつく癖に調子乗りやすい。扱いやすいのか扱いにくいのかよくわからない奴であった。
妹とのおちゃらけを終えて、いつもの公園へとアンジェラを探しに行こうかと思っていたらチャイムが鳴った。
妹と顔を合わせる。
「にーちゃん、何も通販とか頼んでないよね?」
「頼んでないし、唯一アポなしで来そうな桜庭はクソほど忙しい」
恐る恐るインターホンモニターを確認すると先ほど馬乗りにされた金髪少女がそこに立っていた。
通話ボタンを押すと微笑を携えて少女は言う。
「きちゃった」
妹が「にーちゃん、あいつヤバい女だよ。縁切った方がいいって……」と本気の声色で諭された。正直、揺らぎそうだった。
以前「またデートに誘いたくなったら呼んでね。すぐに来るわ」と言って我が居城たる安アパートから出て行ったが、また気が向いた時にやってくるのを待つのが一番早く会えそうだ。
「にーちゃん、なんの電話だったの?」
「天樹会の会長からアンジェラと相談の場を設けて欲しいって電話だった」
「ああ、本当の神様とかいう」
「そういえばお前はまだ会ったことなかったな。会っておくか?」
「それは構わないけどその会長さんって今の状況でどういうスタンスなの?」
「騒ぎを大きくしたくなさそうなニュアンスは感じた。そもそもアンジェラとお前だったら、昔から神様になりたがってたアンジェラを推してそうだったな」
「ふーん、それじゃ今のこの状況面倒ごとでしかない感じかな」
「俺も詳しくは知らないがそうかもな」
「てか会長さんって昔からあの卑しい女のこと知ってたのに連絡取れないわけ?」
「俺に頼むってことはそうなんだろ」
「あーあれだね、優等生だった子がグレて、恩師に顔を合わせにくいから逃げ回ってるっていうやつだね」
「そう聞くと神様とこれから神様になるっていうやつの話なのに、一気にスケールダウンするな」
「一人暮らしの男の部屋に入り浸るし、そりゃ大人としては心配するよね」
その言い方ではスケールダウンどころか単なる事案でしかない。
「ただ今回の厄介な件は女の方が男を襲おうとしてる点だよね。かーっ卑しい女は嫌だねー」
唾でも吐き捨てそうな渋い顔をする妹。
馬乗りをされた手前、言い返せないので話題を変えることにする。
「ところでアンジェラにそれをどうやって伝えればいいと思う?」
妹は渋い顔のまま吐き捨てる。
「独り言で今すぐ部屋に来てくれーっていえばすぐに来るんじゃね」
それはさすがにないだろうと思いつつ、実際にやってみて「駄目だったじゃないか」と冗談めかして言ってやろうと考えた。
「アンジェラー今すぐ部屋に来てくれー」
棒読みもいいところな演技に、俺が冗談を言う前に妹がケラケラと笑いだす。
「ちょっと酷過ぎるって。演技の才能なさすぎでしょー」
「お前、素人に何求めてるんだ」
「いやいや、にーちゃんは私のアバターを貰った以上、これからビッグになって貰わなきゃ困るわけですよ」
「お前はまず兄貴をビッグにする前に相方探しを頑張れよ」
「いやー誰か都合のいい人材いないもんですかねー」
「ガワは最悪お前が作ればなんとかなるにしろ、条件に合うかがな」
「ちょっとにーちゃん、アバター作るのだって簡単じゃないんだからね」
睨まれる。
「悪いな。でもお前のアバターの出来を見込んでのことだ。お前と一緒にアイドルをやる以上、一方的な引き立て役になられて、すぐにユニット解散じゃ困るだろ」
おべっか八割の言い訳であったが、妹はそれに気を良くして「まあ、そんじょそこらのアバター制作技術もってる奴とは違うからね!」と鼻を高くする。
嘘はすぐに気がつく癖に調子乗りやすい。扱いやすいのか扱いにくいのかよくわからない奴であった。
妹とのおちゃらけを終えて、いつもの公園へとアンジェラを探しに行こうかと思っていたらチャイムが鳴った。
妹と顔を合わせる。
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「頼んでないし、唯一アポなしで来そうな桜庭はクソほど忙しい」
恐る恐るインターホンモニターを確認すると先ほど馬乗りにされた金髪少女がそこに立っていた。
通話ボタンを押すと微笑を携えて少女は言う。
「きちゃった」
妹が「にーちゃん、あいつヤバい女だよ。縁切った方がいいって……」と本気の声色で諭された。正直、揺らぎそうだった。
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