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4章 我が女神、それは
面倒は全てに勝る
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その女性――もしかしたらボイスチェンジャーを使っている野郎かもしれないが――その女性は俺と同じ騎士であった。そいつは基本的に友人と遊んでいたのだが、その友人が急遽遊べなくなり、しかも一緒にやると約束していた武器種開放任務を一人でやる羽目になったという。
だから自分も武器種開放をクリアし、その友人の鼻を明かしてやりたいのだという。ならば一人でさっさとクリアしたらいいのではないかというと、その友人にくっついて進めてもらっていたらしく俺以上にブルースフィアのことを理解していなかった。
つまり、レベルもゲームシステムへの理解が足らない二人で任務を達成しろということだ。
「じゃあ行こっか!」
パーティを組んだらブランドアバターの女性は俺の手を引き、進んでいく。
「君さ、いつも一人で遊んでるの?」
「むしろ、ゲームはほとんどしないな」
「んじゃなんでこのゲームやってんの?」
「推しがやるっていうから予習」
「何も知らない状態の方が楽しめるくない?」
「俺にとっては押しがメインであって、ゲームは舞台にしか過ぎないからな」
「絶対に炎上する発言じゃん、ウケる」
「まともにSNSやってないから問題ないな」
実りのない会話をしつつ聖女の雫があるという遺跡に到着する。
この遺跡は地下五階からなる遺跡であり、中は侵入者を撃退するシステムが生きており、それを掻い潜り、最深部にある聖女の雫を手に入れるためだけに作られた専用ダンジョンである。
太古の文明にあった研究所が地下ヘの入口を残して倒壊し、地下だけが残ったというのがこの遺跡ができたという設定だ。ゆえに出てくる侵入者撃退システムは警備ロボットであり、銃火器ありありである。
つまり、遠距離攻撃に乏しい騎士だけで構成されたパーティの場合、大盾を構えて銃撃を防ぎながら近づき、警備ロボットを撃破するというのが基本的な攻略方法となる。
「大盾持ってるっしょ?」
「誘ってきたそっちが持ってきてたと思ってた」
事前確認しなかったのが仇になる。
互いに一言確認すれば済む話を面倒臭がってしなかった結果、一番面倒な事態になる。今から大盾を取りに戻るのも面倒で、パーティ解散して後日に挑戦するのもまた面倒臭い。
「このまま挑むか」
「お、話わかるじゃん」
かくして面倒臭さが勝った即席パーティで挑むことになったのだった。
だから自分も武器種開放をクリアし、その友人の鼻を明かしてやりたいのだという。ならば一人でさっさとクリアしたらいいのではないかというと、その友人にくっついて進めてもらっていたらしく俺以上にブルースフィアのことを理解していなかった。
つまり、レベルもゲームシステムへの理解が足らない二人で任務を達成しろということだ。
「じゃあ行こっか!」
パーティを組んだらブランドアバターの女性は俺の手を引き、進んでいく。
「君さ、いつも一人で遊んでるの?」
「むしろ、ゲームはほとんどしないな」
「んじゃなんでこのゲームやってんの?」
「推しがやるっていうから予習」
「何も知らない状態の方が楽しめるくない?」
「俺にとっては押しがメインであって、ゲームは舞台にしか過ぎないからな」
「絶対に炎上する発言じゃん、ウケる」
「まともにSNSやってないから問題ないな」
実りのない会話をしつつ聖女の雫があるという遺跡に到着する。
この遺跡は地下五階からなる遺跡であり、中は侵入者を撃退するシステムが生きており、それを掻い潜り、最深部にある聖女の雫を手に入れるためだけに作られた専用ダンジョンである。
太古の文明にあった研究所が地下ヘの入口を残して倒壊し、地下だけが残ったというのがこの遺跡ができたという設定だ。ゆえに出てくる侵入者撃退システムは警備ロボットであり、銃火器ありありである。
つまり、遠距離攻撃に乏しい騎士だけで構成されたパーティの場合、大盾を構えて銃撃を防ぎながら近づき、警備ロボットを撃破するというのが基本的な攻略方法となる。
「大盾持ってるっしょ?」
「誘ってきたそっちが持ってきてたと思ってた」
事前確認しなかったのが仇になる。
互いに一言確認すれば済む話を面倒臭がってしなかった結果、一番面倒な事態になる。今から大盾を取りに戻るのも面倒で、パーティ解散して後日に挑戦するのもまた面倒臭い。
「このまま挑むか」
「お、話わかるじゃん」
かくして面倒臭さが勝った即席パーティで挑むことになったのだった。
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