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3章 守るべきもの
神様になるメリット
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妹を神にする。
それは過程であり、俺の目的ではない。妹の肉体を取り戻すこと。元の生活と変わらない生活を、人として得られた人生を取り戻すことが俺の目的だ。人として暮らすことができなくなったとしても、それに近い生活を送ってもらいたい。兄としての望みでもある。
あの少女は神に至らずとも受肉していた。ならば、そこそこの力を得る程度で神に至らずとも俺の望みは叶うのではないだろうか。もし神がどちらかしかなれずとも、あの少女と競合相手にならずに済む。その場合、桜庭と工藤さんのことは捨て置くことになるが、そもそもの目的が違うから物別れになっても仕方ないだろう。もっとも記憶を取り戻したくない工藤さんには感謝されそうな気もする。
「神様になることのメリット、デメリット。ならないことのメリット、デメリットは何かありますか?」
「んー神様のメリットかー、自分の領分に関しては色々都合がつくこと。残り少ない神やから国から色々特典もらえることぐらいやんな。ま、偉くなるってことで人間社会で営む上でのしがらみあるし、天上に帰ったお偉いさんから無茶振りされることがあんのがデメリットやな」
一呼吸置いて「神様にならないこと場合は……」と口にしてから言い淀む。
「何か問題でも?」
「いやなぁ、メリットはしがらみがないこと。まー受肉してそっちで過ごすなら身分証明とか色々申請必要やけどな。デメリットは特に見当たらへん。つまり、神様にならへん、ことの方がお得なんや。そう考えたら今の立場放棄したくなってきたわ」
北御門は「それだけはやめてくださいね」と釘をさす。
「えーもうウチがいなくても回るやろ」
「僕たちにはまだ会長が必要なんです」
目の前がわちゃわちゃ言い合っている中、思考する。
方針は定まった。
妹を神にしない程度に力を高めて、受肉させる。
あとは疑問の確認ぐらいでいいだろう。
「いくつか質問してもいいですか?」
「ええで」
「妹、少女、神に至る途中でどちらかしか生き残れないなどはありますか?」
「ない。余ってる神の座はまだ一つやから、早いもん勝ちではあるけどな」
まだということは将来的に増える可能性があるということだろう。太陽神など、複数の神話で存在が確認できるものもある。ただ、最後の神になるという話もあったので、それは人からすれば果てしなく遠い未来の話なのだろう。
「先日の大会で、もし妹がエネミーに倒されていた場合、妹はどうなっていましたか?」
「あーウチも電脳世界で振るう神の力については専門外だから推測になるけどな。よくて元々少ない記憶の全てを失う。最悪、存在の消滅してたかも」
あの戦いは全てが終わる可能性があった。妹は逃げる指示を無視して、戦いに参戦した。運良く撃退に成功したが、もし失敗していたら妹は消滅し、俺は一生自分を呪っていただろう。
「ま、妹ちゃんはまだ存在が不安定っぽいから怪しい精霊とかにだけ気を付けてれば大丈夫やろ。魂と記憶は紐づいてるから、記憶を奪われない限りは問題ないやろうし。普通にゲームしてて死ぬ分には記憶奪われるわけじゃないやろしな」
ならばやはり少女との交渉は必要そうだ。
しかし、そうなると一つどうしても知らなければならない情報がある。
「なぜ、少女は神になりたいのですか。話を聞く限り、なる理由がなさそうですが」
樹神さんは腕を組み、唸る。
「……偉くなりたいんやろなぁ」
思ったより俗な理由な気がしてきた。
それは過程であり、俺の目的ではない。妹の肉体を取り戻すこと。元の生活と変わらない生活を、人として得られた人生を取り戻すことが俺の目的だ。人として暮らすことができなくなったとしても、それに近い生活を送ってもらいたい。兄としての望みでもある。
あの少女は神に至らずとも受肉していた。ならば、そこそこの力を得る程度で神に至らずとも俺の望みは叶うのではないだろうか。もし神がどちらかしかなれずとも、あの少女と競合相手にならずに済む。その場合、桜庭と工藤さんのことは捨て置くことになるが、そもそもの目的が違うから物別れになっても仕方ないだろう。もっとも記憶を取り戻したくない工藤さんには感謝されそうな気もする。
「神様になることのメリット、デメリット。ならないことのメリット、デメリットは何かありますか?」
「んー神様のメリットかー、自分の領分に関しては色々都合がつくこと。残り少ない神やから国から色々特典もらえることぐらいやんな。ま、偉くなるってことで人間社会で営む上でのしがらみあるし、天上に帰ったお偉いさんから無茶振りされることがあんのがデメリットやな」
一呼吸置いて「神様にならないこと場合は……」と口にしてから言い淀む。
「何か問題でも?」
「いやなぁ、メリットはしがらみがないこと。まー受肉してそっちで過ごすなら身分証明とか色々申請必要やけどな。デメリットは特に見当たらへん。つまり、神様にならへん、ことの方がお得なんや。そう考えたら今の立場放棄したくなってきたわ」
北御門は「それだけはやめてくださいね」と釘をさす。
「えーもうウチがいなくても回るやろ」
「僕たちにはまだ会長が必要なんです」
目の前がわちゃわちゃ言い合っている中、思考する。
方針は定まった。
妹を神にしない程度に力を高めて、受肉させる。
あとは疑問の確認ぐらいでいいだろう。
「いくつか質問してもいいですか?」
「ええで」
「妹、少女、神に至る途中でどちらかしか生き残れないなどはありますか?」
「ない。余ってる神の座はまだ一つやから、早いもん勝ちではあるけどな」
まだということは将来的に増える可能性があるということだろう。太陽神など、複数の神話で存在が確認できるものもある。ただ、最後の神になるという話もあったので、それは人からすれば果てしなく遠い未来の話なのだろう。
「先日の大会で、もし妹がエネミーに倒されていた場合、妹はどうなっていましたか?」
「あーウチも電脳世界で振るう神の力については専門外だから推測になるけどな。よくて元々少ない記憶の全てを失う。最悪、存在の消滅してたかも」
あの戦いは全てが終わる可能性があった。妹は逃げる指示を無視して、戦いに参戦した。運良く撃退に成功したが、もし失敗していたら妹は消滅し、俺は一生自分を呪っていただろう。
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ならばやはり少女との交渉は必要そうだ。
しかし、そうなると一つどうしても知らなければならない情報がある。
「なぜ、少女は神になりたいのですか。話を聞く限り、なる理由がなさそうですが」
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