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1章 義妹と書いて偽妹と読む
オタク気持ち悪い
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パソコンのディスプレイを占領した妹は、ウェブカメラ越しに俺の部屋を見ているらしい。
「実家の部屋は綺麗だったのに何この部屋」
我が家は六畳一間の1Kだ。一人暮らしの大学生ならば丁度いい広さだ。そこにベッドとデスクトップパソコンとそれを置く机と椅子があるぐらいだ。余っているスペースは多いし、押し入れもある。汚くなるわけがない部屋だ。そう汚いわけがない。むしろ、美しいまである。
「一人暮らしの男の部屋なんてこんなもんだろう?」
「んなわけないでしょ! なんなんこの気持ち悪い部屋は!」
我が家は先ほど述べた家具の他にはラック程度しかない。あるのは全てグッズ類だ。推しであるシオミンこと汐見柚子ちゃんのグッズが大量に、所狭しと、しかし理路整然と並んでいる。
シオミンはネットアイドルである。
白ギャルっぽい、可愛い、おバカの三拍子が揃った陽キャ。
まさに俺の好みど真ん中だ。
個人で活動をしていた頃から追っかけており、大手事務所に入ったあとも変わらず追いかけ続けている。最初は数人のオーディエンス相手に緊張してたどたどしかった挨拶も、今では数万人の歓声を受けても堂々と挨拶ができるようになった。
歌も踊りも個人だった頃は光るものは感じたが素人の延長線上、悪く言えば上手いけど金を取れるほどではないクオリティ。それが素人にも違いが感じられるほど成長を見せた。歌声は美しく心に響くほど澄み渡り、ダンスは指先の動き一つにさえ動きに見入ってしまうほど。歌姫と界隈で言われるほどの実力を持ちつつ、その育ちの良さと社会常識が足りていないちょうど良いおバカ加減で愛されキャラとなった。
ネットアイドルは見た目だけ、声だけ、歌だけ、ダンスだけ、話術だけ、など何か一点ができるとそれを起点に下げられるのが常套句な世界で「シオミン禁止」という暗黙の了解が出来上がった。
そんな彼女を個人で活動していた頃から追っかけいたのはきっと生涯の自慢となるだろう。しかし、これを誰かに自慢することはない。ましてやネットでひけらかすことなんて絶対にしない。俺はシオミンが世界に羽ばたく様を近くで見てるだけで満足なのだ。彼女が活躍するためならば、大学生活をバイト漬けにして、業務スーパーで素パスタ生活で節約し、その収入をシオミンに注ぎ込むのは惜しくない。むしろ、彼女の活躍が見れるのならば安いだろう。彼女の活躍ならばなんでもするし、彼女の活躍を疎外する輩が出たら排除しなければならない。
そういえば最近の配信で「将来有望だなって思ってた個人勢な後輩がいたんだけど、最近活動してないみたい。忙しいのかなぁ。応援してたんだけどなぁ」と言っていた。シオミンを悲しませるなんてなんて輩だ。これはシオミンファンとして、どうにかしてその後輩とやらを特定して、活動できるように応援しなければならないのではないだろう。いや、そうに違いない。そして、いずれはコラボ配信してシオミンのモチベーションアップに繋げることこそが我が使命に違いない。
「気持ち悪いから全部捨てて」
「それを捨てるなんてとんでもない!」
偽物は手で顔を覆っていた。
「実家の部屋は綺麗だったのに何この部屋」
我が家は六畳一間の1Kだ。一人暮らしの大学生ならば丁度いい広さだ。そこにベッドとデスクトップパソコンとそれを置く机と椅子があるぐらいだ。余っているスペースは多いし、押し入れもある。汚くなるわけがない部屋だ。そう汚いわけがない。むしろ、美しいまである。
「一人暮らしの男の部屋なんてこんなもんだろう?」
「んなわけないでしょ! なんなんこの気持ち悪い部屋は!」
我が家は先ほど述べた家具の他にはラック程度しかない。あるのは全てグッズ類だ。推しであるシオミンこと汐見柚子ちゃんのグッズが大量に、所狭しと、しかし理路整然と並んでいる。
シオミンはネットアイドルである。
白ギャルっぽい、可愛い、おバカの三拍子が揃った陽キャ。
まさに俺の好みど真ん中だ。
個人で活動をしていた頃から追っかけており、大手事務所に入ったあとも変わらず追いかけ続けている。最初は数人のオーディエンス相手に緊張してたどたどしかった挨拶も、今では数万人の歓声を受けても堂々と挨拶ができるようになった。
歌も踊りも個人だった頃は光るものは感じたが素人の延長線上、悪く言えば上手いけど金を取れるほどではないクオリティ。それが素人にも違いが感じられるほど成長を見せた。歌声は美しく心に響くほど澄み渡り、ダンスは指先の動き一つにさえ動きに見入ってしまうほど。歌姫と界隈で言われるほどの実力を持ちつつ、その育ちの良さと社会常識が足りていないちょうど良いおバカ加減で愛されキャラとなった。
ネットアイドルは見た目だけ、声だけ、歌だけ、ダンスだけ、話術だけ、など何か一点ができるとそれを起点に下げられるのが常套句な世界で「シオミン禁止」という暗黙の了解が出来上がった。
そんな彼女を個人で活動していた頃から追っかけいたのはきっと生涯の自慢となるだろう。しかし、これを誰かに自慢することはない。ましてやネットでひけらかすことなんて絶対にしない。俺はシオミンが世界に羽ばたく様を近くで見てるだけで満足なのだ。彼女が活躍するためならば、大学生活をバイト漬けにして、業務スーパーで素パスタ生活で節約し、その収入をシオミンに注ぎ込むのは惜しくない。むしろ、彼女の活躍が見れるのならば安いだろう。彼女の活躍ならばなんでもするし、彼女の活躍を疎外する輩が出たら排除しなければならない。
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「気持ち悪いから全部捨てて」
「それを捨てるなんてとんでもない!」
偽物は手で顔を覆っていた。
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