33 / 45
【何故】配慮なんて知るか!!全部実況する!!(ヤケクソ)【こうなった?!】
9
しおりを挟む
■■■
ついでだから、とユートはつい数時間前のやり取りを書き込むことにした。
***
「それで、なんでそこまでして実力を隠しているんだ??」
生徒会室にて、ユートはそう問い詰められていた。
二度目の茶会である。
「わかりませんか?」
出された茶には手をつけず、ユートはメアリを見返す。
「わからないな。
なにしろ、私は世間知らずの侯爵令嬢だからな」
いけしゃあしゃあと言ってのけるメアリに、ユートはジト目になる。
ちなみに彼女もだが貴族階級の人間は、世間知らずのお貴族様、という陰口を叩かれている。
ネットでちょっと検索すればゴロゴロ出てくる文言だ。
「本人の口から説明してもらわなければわからない。
それとも、君は【察してちゃん】か?」
「……はぁ」
めんどくせぇなー、と態度に出しつつユートは口を開いた。
「俺が生徒会役員に任命されて、なにが起きたかはご存知ですよね?
狡だなんだと言われ、たいした能力もないことを証明しようと暴力を振るわれました。
これは、生徒会役員に任命されたからこそ起きました。
じゃあ、その前に実は戦闘能力があります。
俺はこれだけ強いんです、ってもっと早く示していたらどうなっていたでしょうか?
俺は結果は同じだったと考えています。
ニンゲンは、自分とは違った考え方、違った能力を持った存在を恐れます。
でも、それが身分が上である貴族であったなら畏怖になる。
けれど、身分が同等か下の者なら迫害されます。
それが嫌だったんですよ」
「ふむ。
だが、君は今や騎士の位を賜った準貴族だ。
爵位を継いでいない学園の生徒達よりは、そう言った意味では立場は上、と考えられなくもないが?」
「その発想ができるなら殴ってこないでしょう」
ちなみに、ユートの騎士爵は世襲できない一代貴族にあたる。
学園には各家の爵位継承者と、そのスペアである次男三男がいる。
生徒の大半は、爵位を持っていないのだ。
血は高貴で、家柄もいい。
しかし、爵位はもっていないのである。
メアリだってそうだ。
「ましてや、入学当初から俺は嫌われてましたから」
授業でダラける前から、ユートはこの学園の生徒に嫌われていた。
能力の有無の前に、である。
彼の表向きの事情を欠片も考慮せずに、そもそも庶民がこの学園の土を踏むとは何事か、けしからんという訳である。
(まぁ、それは分かってたことなんだけどさ)
入学前に、この辺のことはラトラから説明があった。
説明を受けたユートは、そんな学校じゃなく、ほかの民間の高校じゃダメなのか、という疑問が出てきた。
ラトラにその疑問をぶつけると、返ってきた答えが、
『魔法が使えることで異端扱いされるのが好みか?』
だった。
魔力が発現するのは、基本貴族だ。
ユートは魔法が好きだ。
魔法が使えること、それ自体を誇ってさえいる。
好きなことで異端扱いされるのは嫌である。
それなら、身分で異端扱いされる方がまだマシだった。
「こうなることが予想出来たから、隠してきたんです」
「……見返そうとは思わないのか?」
「現実を見てくださいよ、会長。
俺が怪我を治した人達は、出来ることをしたんだから感謝する訳ねーだろって陰で言ってんですよ??
まぁ、感謝されるのを目的に怪我を治した訳じゃないですけど。
むしろ、仕事をしただけなんだから調子のんな、とも言われましたねぇ」
これだけ感覚がズレているのだ。
普通の人間だったなら心がとうに折れているだろう。
「それに、爵位や称号もらってから更にイジメが激化したんです」
ほぼ毎日、なにかしらで絡まれるようになった。
だるくて仕方ない。
「もういいでしょう?
毛色の違うペット鑑賞はやめにしましょうよ。
俺を役員から外してください」
直訳すれば、生徒会やめさせろ、である。
「これでも昼寝したり散歩したり忙しいんです」
昼寝はそのままの意味だが、散歩というのはスネーク実況によるお出かけのことだ。
そんなユートの訴えに、メアリはニコリと笑って見せた。
意見が通るかと思いきや、そんなことは無く。
「優秀な人材はちゃんと使わなければな」
なんて笑顔で言われてしまった。
さすがにユートの顔が、ナメクジやカエルを知らず踏み潰してしまったような顔になった。
***
こんなやり取りがつい数時間前にあったわけだ。
それを書き込んだ。
スレ民の反応はというと。
■■■
85:名無しの冒険者
目をつけられたな
86:底辺冒険者
大変でござるなぁ
魔眼保持者氏
87:名無しの冒険者
つーか、今更なんだけど
魔眼保持者って、俺たちにカミングアウトしたことはいいんか?
88:魔眼保持者
え、だってここの連中は【王立魔法学園の生徒】じゃないじゃん
俺が飼い主から言われたのは、【ほかの生徒に魔眼保持者ってバレるな】っことだから
だから大丈夫
89:名無しの冒険者
うわぁ、屁理屈
90:名無しの冒険者
大丈夫、とは??
91:魔眼保持者
まぁ、報告はここまでにして
これ見てくれwww
つ【生徒会からの仕事の書類】
92:名無しの冒険者
これ、社外秘ならぬ校外秘になるやつなんじゃ
93:名無しの冒険者
なにこの書類
94:魔眼保持者
仕事しろってさ
会長から渡された
せっかく力を持ってるんだから、使え、だと
ダリィ、めんどくせぇ
95:名無しの冒険者
>>94
でも、それをわざわざスレを立ててまで晒してる、と
本音は?
96:魔眼保持者
実況すっぞ野郎どもぉぉぉ!!??
イェ━━━゚(∀)゚━━━イ!!
97:名無しの冒険者
そんなこったろうと思ったよ
ついでだから、とユートはつい数時間前のやり取りを書き込むことにした。
***
「それで、なんでそこまでして実力を隠しているんだ??」
生徒会室にて、ユートはそう問い詰められていた。
二度目の茶会である。
「わかりませんか?」
出された茶には手をつけず、ユートはメアリを見返す。
「わからないな。
なにしろ、私は世間知らずの侯爵令嬢だからな」
いけしゃあしゃあと言ってのけるメアリに、ユートはジト目になる。
ちなみに彼女もだが貴族階級の人間は、世間知らずのお貴族様、という陰口を叩かれている。
ネットでちょっと検索すればゴロゴロ出てくる文言だ。
「本人の口から説明してもらわなければわからない。
それとも、君は【察してちゃん】か?」
「……はぁ」
めんどくせぇなー、と態度に出しつつユートは口を開いた。
「俺が生徒会役員に任命されて、なにが起きたかはご存知ですよね?
狡だなんだと言われ、たいした能力もないことを証明しようと暴力を振るわれました。
これは、生徒会役員に任命されたからこそ起きました。
じゃあ、その前に実は戦闘能力があります。
俺はこれだけ強いんです、ってもっと早く示していたらどうなっていたでしょうか?
俺は結果は同じだったと考えています。
ニンゲンは、自分とは違った考え方、違った能力を持った存在を恐れます。
でも、それが身分が上である貴族であったなら畏怖になる。
けれど、身分が同等か下の者なら迫害されます。
それが嫌だったんですよ」
「ふむ。
だが、君は今や騎士の位を賜った準貴族だ。
爵位を継いでいない学園の生徒達よりは、そう言った意味では立場は上、と考えられなくもないが?」
「その発想ができるなら殴ってこないでしょう」
ちなみに、ユートの騎士爵は世襲できない一代貴族にあたる。
学園には各家の爵位継承者と、そのスペアである次男三男がいる。
生徒の大半は、爵位を持っていないのだ。
血は高貴で、家柄もいい。
しかし、爵位はもっていないのである。
メアリだってそうだ。
「ましてや、入学当初から俺は嫌われてましたから」
授業でダラける前から、ユートはこの学園の生徒に嫌われていた。
能力の有無の前に、である。
彼の表向きの事情を欠片も考慮せずに、そもそも庶民がこの学園の土を踏むとは何事か、けしからんという訳である。
(まぁ、それは分かってたことなんだけどさ)
入学前に、この辺のことはラトラから説明があった。
説明を受けたユートは、そんな学校じゃなく、ほかの民間の高校じゃダメなのか、という疑問が出てきた。
ラトラにその疑問をぶつけると、返ってきた答えが、
『魔法が使えることで異端扱いされるのが好みか?』
だった。
魔力が発現するのは、基本貴族だ。
ユートは魔法が好きだ。
魔法が使えること、それ自体を誇ってさえいる。
好きなことで異端扱いされるのは嫌である。
それなら、身分で異端扱いされる方がまだマシだった。
「こうなることが予想出来たから、隠してきたんです」
「……見返そうとは思わないのか?」
「現実を見てくださいよ、会長。
俺が怪我を治した人達は、出来ることをしたんだから感謝する訳ねーだろって陰で言ってんですよ??
まぁ、感謝されるのを目的に怪我を治した訳じゃないですけど。
むしろ、仕事をしただけなんだから調子のんな、とも言われましたねぇ」
これだけ感覚がズレているのだ。
普通の人間だったなら心がとうに折れているだろう。
「それに、爵位や称号もらってから更にイジメが激化したんです」
ほぼ毎日、なにかしらで絡まれるようになった。
だるくて仕方ない。
「もういいでしょう?
毛色の違うペット鑑賞はやめにしましょうよ。
俺を役員から外してください」
直訳すれば、生徒会やめさせろ、である。
「これでも昼寝したり散歩したり忙しいんです」
昼寝はそのままの意味だが、散歩というのはスネーク実況によるお出かけのことだ。
そんなユートの訴えに、メアリはニコリと笑って見せた。
意見が通るかと思いきや、そんなことは無く。
「優秀な人材はちゃんと使わなければな」
なんて笑顔で言われてしまった。
さすがにユートの顔が、ナメクジやカエルを知らず踏み潰してしまったような顔になった。
***
こんなやり取りがつい数時間前にあったわけだ。
それを書き込んだ。
スレ民の反応はというと。
■■■
85:名無しの冒険者
目をつけられたな
86:底辺冒険者
大変でござるなぁ
魔眼保持者氏
87:名無しの冒険者
つーか、今更なんだけど
魔眼保持者って、俺たちにカミングアウトしたことはいいんか?
88:魔眼保持者
え、だってここの連中は【王立魔法学園の生徒】じゃないじゃん
俺が飼い主から言われたのは、【ほかの生徒に魔眼保持者ってバレるな】っことだから
だから大丈夫
89:名無しの冒険者
うわぁ、屁理屈
90:名無しの冒険者
大丈夫、とは??
91:魔眼保持者
まぁ、報告はここまでにして
これ見てくれwww
つ【生徒会からの仕事の書類】
92:名無しの冒険者
これ、社外秘ならぬ校外秘になるやつなんじゃ
93:名無しの冒険者
なにこの書類
94:魔眼保持者
仕事しろってさ
会長から渡された
せっかく力を持ってるんだから、使え、だと
ダリィ、めんどくせぇ
95:名無しの冒険者
>>94
でも、それをわざわざスレを立ててまで晒してる、と
本音は?
96:魔眼保持者
実況すっぞ野郎どもぉぉぉ!!??
イェ━━━゚(∀)゚━━━イ!!
97:名無しの冒険者
そんなこったろうと思ったよ
0
お気に入りに追加
316
あなたにおすすめの小説
島流しなう!(o´・ω-)b
一樹
ファンタジー
色々あって遭難したスレ主。
生き延びるためにスレ立てをした。
【諸注意】
話が進むと、毒虫や毒蛇を捕まえたり食べたりする場面が出てきますが、これはあくまで創作です。
絶対に真似しないでください。
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜
スクールH
ファンタジー
家柄こそ全て!
名家生まれの主人公は、絶望しながら死んだ。
そんな彼が生まれ変わったのがとある成り上がりラノベ小説の世界。しかも悪役貴族。
名家生まれの彼の心を占めていたのは『家柄こそ全て!』という考え。
新しい人生では絶望せず、ついでにウザい成り上がり共(元々身分が低い奴)を蹴落とそうと決心する。
別作品の執筆の箸休めに書いた作品ですので一話一話の文章量は少ないです。
軽い感じで呼んでください!
※不快な表現が多いです。
なろうとカクヨムに先行投稿しています。
農民だからと冤罪をかけられパーティを追放されましたが、働かないと死ぬし自分は冒険者の仕事が好きなのでのんびり頑張りたいと思います。
一樹
ファンタジー
タイトル通りの内容です。
のんびり更新です。
小説家になろうでも投稿しています。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
【教えて】聖杯を探しています【ください】
一樹
ファンタジー
千年前、勇者は魔王倒してこの世界の王様になった。
勇者にはしかし、子供も配偶者もいなかった。
だから、勇者は今際の際にこんな遺言をことづけた。
聖杯を手にした者が、世界を手にする。
つまり、聖杯を手に入れた者が次の王様ということだ。
以来、千年。
いまだ聖杯は見つかっていない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる