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【死の谷】探索開始なう!【着いた(*・ω・*)wkwk】
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■■■
ユートの書き込みに、スレ民達の書き込みが加速する。
■■■
210:名無しの冒険者
あ!
イッチだ!
211:名無しの冒険者
落ちたかと思った
212:名無しの冒険者
とりま、おかありー
213:魔眼保持者
スタンピードの英雄と鉢合わせした
214:名無しの冒険者
おやま
215:名無しの冒険者
そんな書き込みしていいのかよ?
身バレしちゃうぞ、スレ主?
216:魔眼保持者
あ、そういや知らない人もいるんだった
一番最初のスレは消しちゃったしなぁ
まぁ、魚拓とってる人もいるかもだけど
改めて書いとく
実は、コテハン組みは俺の事知ってるんだよ
217:名無しの冒険者
え、マジ?
218:魔眼保持者
マジマジwww
底辺冒険者なんて、俺の顔知ってるしね
219:底辺冒険者
(`・∀・´)エッヘン!!
220:底辺冒険者
魔眼保持者氏とは一緒に冒険した仲でござるよ
221:名無しの冒険者
マジかよww
222:魔眼保持者
ダンジョンのこととか色々わからなかったんだけど
そしたら、説明役を買って出てくれたんだ
今じゃ、たまーに、アルバイトさしてくれる
223:名無しの冒険者
アルバイト?
224:底辺冒険者
魔眼保持者氏は、身バレ防止で冒険者ギルドに登録できないでござるから
代わりに、冒険者の荷物持ちっていう裏技を使って時折クエストに同行させてるでござるよ
225:名無しの冒険者
え、じゃあ今回の件も底辺冒険者が依頼受けて荷物持ちとして同行させればよかったんじゃね??
226:底辺冒険者
>>225
んー、魔眼保持者氏も自分もソロで動くのが好きでござるから
基本、向こうから頼まれない限りは同行させないってことになってるでござる
(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
227:魔眼保持者
>>226
(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-
228:名無しの冒険者
なるほど
229:名無しの冒険者
仲良しか!
230:考察厨兼迷探偵
とりまこの流れぶった斬る
好きに実況してくれ
行方不明者探索でも、特定班が特定した情報から件の人喰いモンスターを探すでも好きにしろ
俺たちは、それを見て楽しむだけだ
231:特定班
(。_。(゜д゜(。_。(゜д゜ )ンダンダ
■■■
好きにしろ。
ユートは、その言葉にもう何度目かわからない戸惑いを浮かべる。
慣れないのだ。
好きにする、自由に振る舞う。
そのことに、まだ抵抗のようなものがユートにはあるのだ。
最初、この趣味を始めた時は何となくだった。
勢い、みたいなものがあったのは確かだけれど、何もかもを自分で決めて行動する、ということ自体が初めてだったのだ。
だから、趣味を始めてから【どう行動すればいいか?】という疑問にぶち当たるまで、そう時間はかからなかった。
スレ民たちは、そんな彼に【安価】を教えた。
でも、安価では賄いきれない【どう行動すればいいか?】はまたすぐに現れた。
その時、スレ民はユートに【好きにすればいいじゃん】と書き込んだのだ。
それが、最初はよく分からなかった。
自分の好きにするということ。
それが全くと言っていいほど理解出来なかったのだ。
今は、少しずつ慣れてきたと思う。
今は、少しずつ理解出来て来たと思う。
でも、やはりまだ完全には慣れきっていないのが正直なところだ。
こういう時、どうするべきかを底辺冒険者は示してくれた。
クエストに同行させてくれた時に、底辺冒険者に言われた言葉だ。
『楽しいと少しでも感じた方を選べばいいんでござるよ』
ちなみに、ござる口調は底辺冒険者のリアルな口調である。
この言葉は、ユートの中で物事を選ぶ際ひとつの基準となった。
今回の楽しい方はどれだ??
ユートは自問する。
行方不明者の探索か。
はたまた、人喰いモンスターの探索か。
■■■
268:名無しの冒険者
あれ?
おーい?スレ主ー??
269:名無しの冒険者
また誰かに声かけられたんかな?
270:魔眼保持者
どっちも楽しそうだから迷うなぁ
271:名無しの冒険者
悩んでただけか
272:名無しの冒険者
そういえば、ちょい疑問なんだけど
スレ主の魔眼で、行方不明者や人喰いモンスターをちょちょいってみつけられないん??
それこそ【死の谷】全体を鑑定できないん?
273:魔眼保持者
あー、そういった機能はあるにはあるんだけど
出来てせいぜい、一軒家くらいの広さくらいだから
この荒野全体を鑑定するのはなぁ
脳みそどうにかなりそう
274:名無しの冒険者
じゃ、ダメか
275:名無しの冒険者
意外と使えねーな、魔眼
276:魔眼保持者
wwwwww
277:名無しの冒険者
なに草生やしてんだ?
278:魔眼保持者
いや、なんか、たしかに使えねーよなぁ
なんでこんなモンが世の中にあるんだろって思ったら笑えてきたわwww
279:名無しの冒険者
一応、忌み嫌われてる兵器ナンダケドナー
280:名無しの冒険者
保持者にすら使えない呼ばわりされる魔眼よ
281:名無しの冒険者
魔眼「解せぬ」
282:名無しの冒険者
魔眼が使えるかどうかなんてどうでもいいんだよ
さっさと実況しろスレ主
バンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン
バン (∩`・ω・) バンバン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
\/___/ ̄
■■■
「わぁったよ、バーロー」
どこか楽しそうに呟いて、ユートはドリンクを飲み干した。
そして、立ち上がる。
空になった容器をゴミ箱へ投げ入れると、ユートは荒野へ視線をやった。
赤茶けた大地が広がっている。
木々は皆無と言っていいほど、ない。
(とは言ったものの、さてどうするか)
要は人を探すか、モンスターを探すかの違いでしかない。
現状、危惧すべきは同級生や他校生徒との鉢合わせだ。
それは、コートのフードで顔を隠せばなんとかなる。
しかし、
(プライドが高くて、庶民への偏見とか差別とかヤバいからなぁ)
下手に彼らが捜索している所に顔を出そうものなら、絶対トラブルになることだろう。
スリルを味わうのはやぶさかではないが、それはまた今度にしよう。
となれば、
「モンスター探しだな」
この広大な荒野を鑑定することは出来ない。
仕方ないので、それっぽいモンスターを歩いて探し回り、見つけ次第鑑定するほかないだろう。
方針が決まったので、ユートは携帯端末に視線を落とした。
■■■
307:魔眼保持者
とりま、モンスター探すことにするわ
308:名無しの冒険者
お、そっちか
309:名無しの冒険者
でも、モンスターが隠れる場所無くない?
310:名無しの冒険者
いや、意外とあるもんだぞ
丘とか台地の陰とかな
311:名無しの冒険者
なるほど
312:名無しの冒険者
案外ステルス機能があったりしてなwww
313:名無しの冒険者
つーても、人喰いするようなタイプは奥地に追いやられたんだろ?
そんなモンスターが彷徨いてたら、レンジャーがとっくの昔に発見してそうなもんだけど
314:名無しの冒険者
一種類、もしくは一体と限らないみたいだし
まぁ、探してみてだな
315:魔眼保持者
とりあえず、適当にぶらついてみよう
なんかもう少し情報がほしいな
316:名無しの冒険者
情報、情報ねぇ
317:特定班
関係あるかわからないけど
【死の谷】が【戻らずの荒野】って呼ばれていた頃から存在する伝承にこんな話がある
318:名無しの冒険者
昔話?
319:魔眼保持者
聞かせてくれ
320:考察厨兼迷探偵
興味あるな、書き込んでくれ
321:名無しの冒険者
+ +
∧_∧ ∩ +
(0゜´∀`)彡 wktk!wktk!
(0゜∪⊂彡 +
と__)__) +
322:名無しの冒険者
∧_∧
( ・∀・)ワクワク
oノ∧つ⊂)
( ・∀・)ドキドキ
oノ∧つ⊂)
( ・∀・)ワクワク
oノ∧つ⊂)
( ・∀・)ドキドキ
oノ∧つ⊂)
( ( -∀-)オモイ・・・
oノ∧つ⊂)
( ( ;∀;)ツ ツブレル・・・
∪( ∪ ∪
と__)__)
323:特定班
あんまり期待されても困るんだけどなぁ
まぁ、よくある話だ
■■■
よくある話。
そう前置きをして、特定班が調べた【昔話】を書き込んでいく。
その書き込みを、歩きながらユートは目を通す。
その昔話はこんな話だった。
昔昔、【戻らずの荒野】には神様が住んでいた。
その神様は悪い神様で、時折【戻らずの荒野】から出ては近隣の村に災いをもたらしていたらしい。
困り果てた村人に、神様はこんな提案をした。
災いをなんとかしたければ、村で1番若く美しい娘を嫁に寄越せ。
村人達はその要求を飲んだ。
それから数年、平和な時が続く。
しかし、数年すると神様はまた嫁をほしがった。
そんなことを何回も繰り返していたある日。
村に旅の勇者が訪れる。
勇者は、村が暗く沈んでいる事に首をかしげ、事情を聞き、神様退治を請負った。
そして、いろいろあったものの知恵や機転を効かせて、勇者は神様を倒し、神様の嫁予定だった娘を貰い受け、また旅に出た。
という物語だった。
それらを読み終えたスレ民の反応、ほぼ同じだった。
■■■
404:名無しの冒険者
異類婚姻譚かと思いきや、生け贄のほうか
405:名無しの冒険者
これ、アレだよね?
悪しき風習をやめましたってのを、いい話風にしたやつだよね?
406:名無しの冒険者
神様殺してるって、お前
神殺しって、お前
407:名無しの冒険者
まぁ、よくある話だよな
408:特定班
んで、この伝承の跡地っぽいのがちゃんと残ってるんだよ
マイナー過ぎて、特集もされないコアというかマニア向けの跡地みたいでさ
スレ主、そこ行ってみれば??
409:名無しの冒険者
そういうの、もっと早く言えよ
410:特定班
だから今教えただろ
それに、屋台がある出入口のところから結構歩くんだよ
411:名無しの冒険者
距離あるのか
412:特定班
つ【死の谷の地図の画像】
まるで囲ってあるところが、今言った場所だ
413:魔眼保持者
まぁ、アテもなく彷徨くよりいいか
とりま、ここに向かってみる
414:名無しの冒険者
お、検索したら公式ホームページにも紹介されてた
でも、そこまで推してないみたいだな
415:考察厨兼迷探偵
ほんとだ
あ、神様が住んでたとされてる場所なのか
画像も少しだけある
ん、んんん??
これって……
416:名無しの冒険者
俺も同じページみてる
これさ、昆虫系モンスターの、ぶっちゃけて言えば蟻塚に見えるの俺だけかな?
俺の知ってるのより全然デカいけど
普通の蟻系モンスターの作る蟻塚が、だいたい一軒家くらいの大きさだろ?
これ、どうみてもビルくらいあんじゃん
数十階建てのビルくらいあんじゃん
417:底辺冒険者
奇遇でござるね
拙者にもそう見えてるでござるよ
とはいえ、跡地、遺跡扱いでござるし
年季がかなり入ってるようでござる
418:名無しの冒険者
説明によると、三千年前のものか
419:名無しの冒険者
どんだけデカい神様()だったんだよ
つーか、蟻塚って三千年も遺るもんなのか?
420:考察厨兼迷探偵
そういや、特定班さ
昔話、端折ってる??
421:特定班
え、なんで??
422:考察厨兼迷探偵
神様の外見の描写が無かったから
423:特定班
あ、なるほど
たしかにこういう昔話だと、神様の外見ふつうに描写されるもんな
いや、ほぼ調べたまんま書き込んだ
424:考察厨兼迷探偵
ソースどこだ?
読めるなら、そのままのやつ読みたいんだけど
425:特定班
つ【とある、なんちゃっておとぎ話収集家のサイト】
つ【世界各国の民話が掲載されている童話集】
色々調べて、引っかかったのはこの2つだ
ここから引用した
426:考察厨兼迷探偵
さんきゅ
とりま読んでみるわ
■■■
ユートも、放棄された蟻塚がどれだけの期間残り続けるのか気になったので掲示板を一度閉じて、調べてみた。
しかし、これ、といった情報は出てこなかった。
出てきたのは、現役の蟻塚の情報ばかりだ。
蟻塚は、蟻が巣を作るために掘り出した土や砂の山である。
もしくは、巣そのもののことを指すらしい。
普通の昆虫の蟻が、巣としての蟻塚を作った場合1センチ作るのに数年掛かるらしい。
外国のとある地域では、数メートルにも及ぶ蟻塚が墓石のように並んでいるらしい。
数百年かけて、増築を繰り返し作り上げられた自然の建造物である。
ユートは立ち止まり、周囲を見た。
何千年もかけて出来上がった荒野の光景。
よくよく見れば、あちこちに超高層ビルのような岩山が見える。
地図アプリを起動して、現在地を確認する。
それから、スレ民に教えてもらった【神様】関連の遺跡の場所も確認する。
どうやら、あの岩山の一つがそうらしい。
道から外れることになるが、地図アプリもあるしなんなら案内版も立っている。
迷うことはないはずだ。
ユートは歩を進める。
あちこちに、観光客に混じって学園の生徒や他校の生徒達がグループで行動しているのが見えた。
ふと思い立って、ユートは再び掲示板を開いた。
■■■
505:魔眼保持者
蟻塚の話とか、学園の奴らとか他校の生徒にした方いいと思うか?
506:名無しの冒険者
おや、スレ主
507:考察厨兼迷探偵
いや、やめとけ
向こうはレンジャーの指示で動いてるだろうし
いきなり横からしゃしゃり出られても迷惑だろ
508:底辺冒険者
そもそも、魔眼保持者氏は嫌われてるでござるから
おそらく取り合ってくれないと思うでござるよ
509:魔眼保持者
やっぱり、そう思うか
■■■
スレ民の書き込みを読んで、親切心を出すのはやめようと決める。
言ったところでウザがられ、もしかしたら殴られるかもしれない。
学園内ではそういった暴力沙汰は禁止されているが、ここは外だ。
そういったことをしたくて、ウズウズしてる生徒がいることもユートはよく知っていた。
というか、そもそも彼らはこの国、あるいは未来を担う優秀な人材達だ。
そして、一般人より強い。
わざわざ、ユートがお節介を焼くことはないのだ。
ユートの書き込みに、スレ民達の書き込みが加速する。
■■■
210:名無しの冒険者
あ!
イッチだ!
211:名無しの冒険者
落ちたかと思った
212:名無しの冒険者
とりま、おかありー
213:魔眼保持者
スタンピードの英雄と鉢合わせした
214:名無しの冒険者
おやま
215:名無しの冒険者
そんな書き込みしていいのかよ?
身バレしちゃうぞ、スレ主?
216:魔眼保持者
あ、そういや知らない人もいるんだった
一番最初のスレは消しちゃったしなぁ
まぁ、魚拓とってる人もいるかもだけど
改めて書いとく
実は、コテハン組みは俺の事知ってるんだよ
217:名無しの冒険者
え、マジ?
218:魔眼保持者
マジマジwww
底辺冒険者なんて、俺の顔知ってるしね
219:底辺冒険者
(`・∀・´)エッヘン!!
220:底辺冒険者
魔眼保持者氏とは一緒に冒険した仲でござるよ
221:名無しの冒険者
マジかよww
222:魔眼保持者
ダンジョンのこととか色々わからなかったんだけど
そしたら、説明役を買って出てくれたんだ
今じゃ、たまーに、アルバイトさしてくれる
223:名無しの冒険者
アルバイト?
224:底辺冒険者
魔眼保持者氏は、身バレ防止で冒険者ギルドに登録できないでござるから
代わりに、冒険者の荷物持ちっていう裏技を使って時折クエストに同行させてるでござるよ
225:名無しの冒険者
え、じゃあ今回の件も底辺冒険者が依頼受けて荷物持ちとして同行させればよかったんじゃね??
226:底辺冒険者
>>225
んー、魔眼保持者氏も自分もソロで動くのが好きでござるから
基本、向こうから頼まれない限りは同行させないってことになってるでござる
(*´・ω・)(・ω・`*)ネー
227:魔眼保持者
>>226
(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-
228:名無しの冒険者
なるほど
229:名無しの冒険者
仲良しか!
230:考察厨兼迷探偵
とりまこの流れぶった斬る
好きに実況してくれ
行方不明者探索でも、特定班が特定した情報から件の人喰いモンスターを探すでも好きにしろ
俺たちは、それを見て楽しむだけだ
231:特定班
(。_。(゜д゜(。_。(゜д゜ )ンダンダ
■■■
好きにしろ。
ユートは、その言葉にもう何度目かわからない戸惑いを浮かべる。
慣れないのだ。
好きにする、自由に振る舞う。
そのことに、まだ抵抗のようなものがユートにはあるのだ。
最初、この趣味を始めた時は何となくだった。
勢い、みたいなものがあったのは確かだけれど、何もかもを自分で決めて行動する、ということ自体が初めてだったのだ。
だから、趣味を始めてから【どう行動すればいいか?】という疑問にぶち当たるまで、そう時間はかからなかった。
スレ民たちは、そんな彼に【安価】を教えた。
でも、安価では賄いきれない【どう行動すればいいか?】はまたすぐに現れた。
その時、スレ民はユートに【好きにすればいいじゃん】と書き込んだのだ。
それが、最初はよく分からなかった。
自分の好きにするということ。
それが全くと言っていいほど理解出来なかったのだ。
今は、少しずつ慣れてきたと思う。
今は、少しずつ理解出来て来たと思う。
でも、やはりまだ完全には慣れきっていないのが正直なところだ。
こういう時、どうするべきかを底辺冒険者は示してくれた。
クエストに同行させてくれた時に、底辺冒険者に言われた言葉だ。
『楽しいと少しでも感じた方を選べばいいんでござるよ』
ちなみに、ござる口調は底辺冒険者のリアルな口調である。
この言葉は、ユートの中で物事を選ぶ際ひとつの基準となった。
今回の楽しい方はどれだ??
ユートは自問する。
行方不明者の探索か。
はたまた、人喰いモンスターの探索か。
■■■
268:名無しの冒険者
あれ?
おーい?スレ主ー??
269:名無しの冒険者
また誰かに声かけられたんかな?
270:魔眼保持者
どっちも楽しそうだから迷うなぁ
271:名無しの冒険者
悩んでただけか
272:名無しの冒険者
そういえば、ちょい疑問なんだけど
スレ主の魔眼で、行方不明者や人喰いモンスターをちょちょいってみつけられないん??
それこそ【死の谷】全体を鑑定できないん?
273:魔眼保持者
あー、そういった機能はあるにはあるんだけど
出来てせいぜい、一軒家くらいの広さくらいだから
この荒野全体を鑑定するのはなぁ
脳みそどうにかなりそう
274:名無しの冒険者
じゃ、ダメか
275:名無しの冒険者
意外と使えねーな、魔眼
276:魔眼保持者
wwwwww
277:名無しの冒険者
なに草生やしてんだ?
278:魔眼保持者
いや、なんか、たしかに使えねーよなぁ
なんでこんなモンが世の中にあるんだろって思ったら笑えてきたわwww
279:名無しの冒険者
一応、忌み嫌われてる兵器ナンダケドナー
280:名無しの冒険者
保持者にすら使えない呼ばわりされる魔眼よ
281:名無しの冒険者
魔眼「解せぬ」
282:名無しの冒険者
魔眼が使えるかどうかなんてどうでもいいんだよ
さっさと実況しろスレ主
バンバンバンバンバンバンバン
バン バンバンバン
バン (∩`・ω・) バンバン
_/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
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「わぁったよ、バーロー」
どこか楽しそうに呟いて、ユートはドリンクを飲み干した。
そして、立ち上がる。
空になった容器をゴミ箱へ投げ入れると、ユートは荒野へ視線をやった。
赤茶けた大地が広がっている。
木々は皆無と言っていいほど、ない。
(とは言ったものの、さてどうするか)
要は人を探すか、モンスターを探すかの違いでしかない。
現状、危惧すべきは同級生や他校生徒との鉢合わせだ。
それは、コートのフードで顔を隠せばなんとかなる。
しかし、
(プライドが高くて、庶民への偏見とか差別とかヤバいからなぁ)
下手に彼らが捜索している所に顔を出そうものなら、絶対トラブルになることだろう。
スリルを味わうのはやぶさかではないが、それはまた今度にしよう。
となれば、
「モンスター探しだな」
この広大な荒野を鑑定することは出来ない。
仕方ないので、それっぽいモンスターを歩いて探し回り、見つけ次第鑑定するほかないだろう。
方針が決まったので、ユートは携帯端末に視線を落とした。
■■■
307:魔眼保持者
とりま、モンスター探すことにするわ
308:名無しの冒険者
お、そっちか
309:名無しの冒険者
でも、モンスターが隠れる場所無くない?
310:名無しの冒険者
いや、意外とあるもんだぞ
丘とか台地の陰とかな
311:名無しの冒険者
なるほど
312:名無しの冒険者
案外ステルス機能があったりしてなwww
313:名無しの冒険者
つーても、人喰いするようなタイプは奥地に追いやられたんだろ?
そんなモンスターが彷徨いてたら、レンジャーがとっくの昔に発見してそうなもんだけど
314:名無しの冒険者
一種類、もしくは一体と限らないみたいだし
まぁ、探してみてだな
315:魔眼保持者
とりあえず、適当にぶらついてみよう
なんかもう少し情報がほしいな
316:名無しの冒険者
情報、情報ねぇ
317:特定班
関係あるかわからないけど
【死の谷】が【戻らずの荒野】って呼ばれていた頃から存在する伝承にこんな話がある
318:名無しの冒険者
昔話?
319:魔眼保持者
聞かせてくれ
320:考察厨兼迷探偵
興味あるな、書き込んでくれ
321:名無しの冒険者
+ +
∧_∧ ∩ +
(0゜´∀`)彡 wktk!wktk!
(0゜∪⊂彡 +
と__)__) +
322:名無しの冒険者
∧_∧
( ・∀・)ワクワク
oノ∧つ⊂)
( ・∀・)ドキドキ
oノ∧つ⊂)
( ・∀・)ワクワク
oノ∧つ⊂)
( ・∀・)ドキドキ
oノ∧つ⊂)
( ( -∀-)オモイ・・・
oノ∧つ⊂)
( ( ;∀;)ツ ツブレル・・・
∪( ∪ ∪
と__)__)
323:特定班
あんまり期待されても困るんだけどなぁ
まぁ、よくある話だ
■■■
よくある話。
そう前置きをして、特定班が調べた【昔話】を書き込んでいく。
その書き込みを、歩きながらユートは目を通す。
その昔話はこんな話だった。
昔昔、【戻らずの荒野】には神様が住んでいた。
その神様は悪い神様で、時折【戻らずの荒野】から出ては近隣の村に災いをもたらしていたらしい。
困り果てた村人に、神様はこんな提案をした。
災いをなんとかしたければ、村で1番若く美しい娘を嫁に寄越せ。
村人達はその要求を飲んだ。
それから数年、平和な時が続く。
しかし、数年すると神様はまた嫁をほしがった。
そんなことを何回も繰り返していたある日。
村に旅の勇者が訪れる。
勇者は、村が暗く沈んでいる事に首をかしげ、事情を聞き、神様退治を請負った。
そして、いろいろあったものの知恵や機転を効かせて、勇者は神様を倒し、神様の嫁予定だった娘を貰い受け、また旅に出た。
という物語だった。
それらを読み終えたスレ民の反応、ほぼ同じだった。
■■■
404:名無しの冒険者
異類婚姻譚かと思いきや、生け贄のほうか
405:名無しの冒険者
これ、アレだよね?
悪しき風習をやめましたってのを、いい話風にしたやつだよね?
406:名無しの冒険者
神様殺してるって、お前
神殺しって、お前
407:名無しの冒険者
まぁ、よくある話だよな
408:特定班
んで、この伝承の跡地っぽいのがちゃんと残ってるんだよ
マイナー過ぎて、特集もされないコアというかマニア向けの跡地みたいでさ
スレ主、そこ行ってみれば??
409:名無しの冒険者
そういうの、もっと早く言えよ
410:特定班
だから今教えただろ
それに、屋台がある出入口のところから結構歩くんだよ
411:名無しの冒険者
距離あるのか
412:特定班
つ【死の谷の地図の画像】
まるで囲ってあるところが、今言った場所だ
413:魔眼保持者
まぁ、アテもなく彷徨くよりいいか
とりま、ここに向かってみる
414:名無しの冒険者
お、検索したら公式ホームページにも紹介されてた
でも、そこまで推してないみたいだな
415:考察厨兼迷探偵
ほんとだ
あ、神様が住んでたとされてる場所なのか
画像も少しだけある
ん、んんん??
これって……
416:名無しの冒険者
俺も同じページみてる
これさ、昆虫系モンスターの、ぶっちゃけて言えば蟻塚に見えるの俺だけかな?
俺の知ってるのより全然デカいけど
普通の蟻系モンスターの作る蟻塚が、だいたい一軒家くらいの大きさだろ?
これ、どうみてもビルくらいあんじゃん
数十階建てのビルくらいあんじゃん
417:底辺冒険者
奇遇でござるね
拙者にもそう見えてるでござるよ
とはいえ、跡地、遺跡扱いでござるし
年季がかなり入ってるようでござる
418:名無しの冒険者
説明によると、三千年前のものか
419:名無しの冒険者
どんだけデカい神様()だったんだよ
つーか、蟻塚って三千年も遺るもんなのか?
420:考察厨兼迷探偵
そういや、特定班さ
昔話、端折ってる??
421:特定班
え、なんで??
422:考察厨兼迷探偵
神様の外見の描写が無かったから
423:特定班
あ、なるほど
たしかにこういう昔話だと、神様の外見ふつうに描写されるもんな
いや、ほぼ調べたまんま書き込んだ
424:考察厨兼迷探偵
ソースどこだ?
読めるなら、そのままのやつ読みたいんだけど
425:特定班
つ【とある、なんちゃっておとぎ話収集家のサイト】
つ【世界各国の民話が掲載されている童話集】
色々調べて、引っかかったのはこの2つだ
ここから引用した
426:考察厨兼迷探偵
さんきゅ
とりま読んでみるわ
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ユートも、放棄された蟻塚がどれだけの期間残り続けるのか気になったので掲示板を一度閉じて、調べてみた。
しかし、これ、といった情報は出てこなかった。
出てきたのは、現役の蟻塚の情報ばかりだ。
蟻塚は、蟻が巣を作るために掘り出した土や砂の山である。
もしくは、巣そのもののことを指すらしい。
普通の昆虫の蟻が、巣としての蟻塚を作った場合1センチ作るのに数年掛かるらしい。
外国のとある地域では、数メートルにも及ぶ蟻塚が墓石のように並んでいるらしい。
数百年かけて、増築を繰り返し作り上げられた自然の建造物である。
ユートは立ち止まり、周囲を見た。
何千年もかけて出来上がった荒野の光景。
よくよく見れば、あちこちに超高層ビルのような岩山が見える。
地図アプリを起動して、現在地を確認する。
それから、スレ民に教えてもらった【神様】関連の遺跡の場所も確認する。
どうやら、あの岩山の一つがそうらしい。
道から外れることになるが、地図アプリもあるしなんなら案内版も立っている。
迷うことはないはずだ。
ユートは歩を進める。
あちこちに、観光客に混じって学園の生徒や他校の生徒達がグループで行動しているのが見えた。
ふと思い立って、ユートは再び掲示板を開いた。
■■■
505:魔眼保持者
蟻塚の話とか、学園の奴らとか他校の生徒にした方いいと思うか?
506:名無しの冒険者
おや、スレ主
507:考察厨兼迷探偵
いや、やめとけ
向こうはレンジャーの指示で動いてるだろうし
いきなり横からしゃしゃり出られても迷惑だろ
508:底辺冒険者
そもそも、魔眼保持者氏は嫌われてるでござるから
おそらく取り合ってくれないと思うでござるよ
509:魔眼保持者
やっぱり、そう思うか
■■■
スレ民の書き込みを読んで、親切心を出すのはやめようと決める。
言ったところでウザがられ、もしかしたら殴られるかもしれない。
学園内ではそういった暴力沙汰は禁止されているが、ここは外だ。
そういったことをしたくて、ウズウズしてる生徒がいることもユートはよく知っていた。
というか、そもそも彼らはこの国、あるいは未来を担う優秀な人材達だ。
そして、一般人より強い。
わざわざ、ユートがお節介を焼くことはないのだ。
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