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死に別れた兄貴が、実は生きてて反社の偉い人やってた件
裏話2
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お粥は美味しかった。
とても、美味しかった。
誰かに作ってもらったものは、とても温かくて美味しい。
「それで、俺に協力して欲しいことって何なんですか??」
お粥を食べ終えて、俺はウカノさんを見た。
俺の兄と名前は一文字違い。
でも、ウスノと同じ長男だ。
けれど、性格はまるで違っていた。
当たり前だ。
別人なのだから。
「そうだなぁ、まずは、あのそっくりさんについて、君の口から聞きたい」
まずは、か。
他にも色々聞かれそうだなぁ。
ウカノさんはさらに続けた。
「アールや龍神様からある程度のことは、聞いてるけど。
ま、念の為ってやつだよ」
拒む理由はそもそもない。
つーか、爺ちゃんとも話をしているのなら、呪いについても話しても大丈夫なはずだ。
俺はこれまでの事を話した。
話の内容がディアナと一緒に実技授業を受けたところまで来た時だった。
「……ヤマト君、ちょっとストップ。
確認なんだけど」
「はい?」
「君が助けた、その女の子。
名前はたしかに【ディアナ・アラディア・ウィルビウス】と言うんだね??」
「えぇ、そうですけど」
「ちょっと待ってて」
難しそうな顔をして、ウカノさんはどこかに行ってしまう。
しかし、すぐに戻ってきた。
その手には、アルバムがあった。
俺の横に座り直して、ウカノさんがアルバムを開く。
そして、一枚の写真を見せてきた。
少し、色褪せ始めている写真だった。
「それって、この子??」
そこには、二人の少年と一緒に、ディアナが写っていた。
ただ、加工のせいなのか少しディアナが透けているように見えた。
ウカノさんは、ディアナを指さしている。
俺は、頷いた。
「そうか」
ウカノさんは、物凄く悲しそうな顔をした。
そして、こんなことを呟いた。
「アールの奴、全部教えてくれればいいのに」
???
ウカノさんの呟きに、俺は疑問符を浮かべる。
それを見て、ウカノさんが説明してくれた。
「この子は、昔昔、何百年も前の大昔にとある邪神を封印するために人柱、つまり生け贄になった巫女なんだよ」
は???
「この子自体が、封印の役目を果たしていたんだけど。
俺とアールが学生の頃、巻き込まれたトラブルでその封印が解かれた。
その時にこの子とも知り合って、協力して邪神を封印し直したんだ」
ウカノさんが懐かしそうに、目を細める。
そして、続けた。
「その時に、この子も再び封印の役目を果たした。
ここまではいいね?
問題はここからだ。
君の後輩であるディアナは、肉体があったということでいいんだね?」
「はい、ちゃんと体がありました。
俺の作った野菜や、エルリー、あ、同学年の友達何ですけど。
そのエルリーが作ったお菓子とか、美味しそうに食べてました」
「……ということは、わざわざ肉体を作ってそこにこの子の魂を入れたんだな」
「……え???」
「この子はね、肉体が無かったんだ。
封印の役目を果たすために、死んでいるからね。
俺たちと知り合った時も、身体がなかった。
つまり、魂だけの状態、幽霊だったんだ」
「待ってください、それって……」
「多分だけど、このディアナという女の子も君のトラブルと無関係とは言えないと思う。
でも、話を聞く限りこの子が悪意をもって君に近づいたとは考えられない。
君は、その辺とくに鼻が利くだろ??」
「…………」
もう、何も信じられなくなりそうだ。
「ディアナは、利用されてるってことですか?」
「おそらくは。
あぁ、なるほどだからアールは君にも俺にもこの事を話さなかったのか。
もしくは、彼自身、ディアナが本人だと確証がなかったのかもなぁ。
そっくりさんか、あえてこんな言い方をするけど。
彼女が人形だと看破くらいはしていそうだ」
ウカノさんの言葉を聞きつつ、俺はディアナと過ごした日々を思い出していた。
泣いて、笑って、俺の作った野菜をガツガツ食べて。
なんならエルリーの作ってきてくれた、ケーキも美味しそうにガツガツ食べていた。
でも、何百年も前の人間だと言われて、腑に落ちる点もあった。
たとえば、本がとても高価な代物だと思っていたこと。
テレビドラマの話題を振って、何故か舞台の話に飛んだこと。
その小さな違和感が全て繋がった。
そんなディアナは、龍神族のじいちゃんに預けられているらしい。
「それはともかく。
彼女がこうして肉体を得て動いている、ということは、邪神の封印を解いた奴がいるということだ。
そして、おそらくそれは」
ウカノさんがアルバムをパタンと閉じる。
そして、俺を真っ直ぐ見つめてきた。
「君のそっくりさん、いいや君の双子の兄の可能性が高い」
とても、美味しかった。
誰かに作ってもらったものは、とても温かくて美味しい。
「それで、俺に協力して欲しいことって何なんですか??」
お粥を食べ終えて、俺はウカノさんを見た。
俺の兄と名前は一文字違い。
でも、ウスノと同じ長男だ。
けれど、性格はまるで違っていた。
当たり前だ。
別人なのだから。
「そうだなぁ、まずは、あのそっくりさんについて、君の口から聞きたい」
まずは、か。
他にも色々聞かれそうだなぁ。
ウカノさんはさらに続けた。
「アールや龍神様からある程度のことは、聞いてるけど。
ま、念の為ってやつだよ」
拒む理由はそもそもない。
つーか、爺ちゃんとも話をしているのなら、呪いについても話しても大丈夫なはずだ。
俺はこれまでの事を話した。
話の内容がディアナと一緒に実技授業を受けたところまで来た時だった。
「……ヤマト君、ちょっとストップ。
確認なんだけど」
「はい?」
「君が助けた、その女の子。
名前はたしかに【ディアナ・アラディア・ウィルビウス】と言うんだね??」
「えぇ、そうですけど」
「ちょっと待ってて」
難しそうな顔をして、ウカノさんはどこかに行ってしまう。
しかし、すぐに戻ってきた。
その手には、アルバムがあった。
俺の横に座り直して、ウカノさんがアルバムを開く。
そして、一枚の写真を見せてきた。
少し、色褪せ始めている写真だった。
「それって、この子??」
そこには、二人の少年と一緒に、ディアナが写っていた。
ただ、加工のせいなのか少しディアナが透けているように見えた。
ウカノさんは、ディアナを指さしている。
俺は、頷いた。
「そうか」
ウカノさんは、物凄く悲しそうな顔をした。
そして、こんなことを呟いた。
「アールの奴、全部教えてくれればいいのに」
???
ウカノさんの呟きに、俺は疑問符を浮かべる。
それを見て、ウカノさんが説明してくれた。
「この子は、昔昔、何百年も前の大昔にとある邪神を封印するために人柱、つまり生け贄になった巫女なんだよ」
は???
「この子自体が、封印の役目を果たしていたんだけど。
俺とアールが学生の頃、巻き込まれたトラブルでその封印が解かれた。
その時にこの子とも知り合って、協力して邪神を封印し直したんだ」
ウカノさんが懐かしそうに、目を細める。
そして、続けた。
「その時に、この子も再び封印の役目を果たした。
ここまではいいね?
問題はここからだ。
君の後輩であるディアナは、肉体があったということでいいんだね?」
「はい、ちゃんと体がありました。
俺の作った野菜や、エルリー、あ、同学年の友達何ですけど。
そのエルリーが作ったお菓子とか、美味しそうに食べてました」
「……ということは、わざわざ肉体を作ってそこにこの子の魂を入れたんだな」
「……え???」
「この子はね、肉体が無かったんだ。
封印の役目を果たすために、死んでいるからね。
俺たちと知り合った時も、身体がなかった。
つまり、魂だけの状態、幽霊だったんだ」
「待ってください、それって……」
「多分だけど、このディアナという女の子も君のトラブルと無関係とは言えないと思う。
でも、話を聞く限りこの子が悪意をもって君に近づいたとは考えられない。
君は、その辺とくに鼻が利くだろ??」
「…………」
もう、何も信じられなくなりそうだ。
「ディアナは、利用されてるってことですか?」
「おそらくは。
あぁ、なるほどだからアールは君にも俺にもこの事を話さなかったのか。
もしくは、彼自身、ディアナが本人だと確証がなかったのかもなぁ。
そっくりさんか、あえてこんな言い方をするけど。
彼女が人形だと看破くらいはしていそうだ」
ウカノさんの言葉を聞きつつ、俺はディアナと過ごした日々を思い出していた。
泣いて、笑って、俺の作った野菜をガツガツ食べて。
なんならエルリーの作ってきてくれた、ケーキも美味しそうにガツガツ食べていた。
でも、何百年も前の人間だと言われて、腑に落ちる点もあった。
たとえば、本がとても高価な代物だと思っていたこと。
テレビドラマの話題を振って、何故か舞台の話に飛んだこと。
その小さな違和感が全て繋がった。
そんなディアナは、龍神族のじいちゃんに預けられているらしい。
「それはともかく。
彼女がこうして肉体を得て動いている、ということは、邪神の封印を解いた奴がいるということだ。
そして、おそらくそれは」
ウカノさんがアルバムをパタンと閉じる。
そして、俺を真っ直ぐ見つめてきた。
「君のそっくりさん、いいや君の双子の兄の可能性が高い」
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