【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】

一樹

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スレ民はにはお見通し♡

裏話10

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「もしかして、それを言うためだけに来たんすか?」

 担任へ聞いてみた。
 担任は俺の質問に、肩を竦めて返す。

「いや、他に聞きたいことがあったんだ。
 お前、なんでまた、こんなことになった?」

 本当ならカウセリングの先生相手に話すことを、担任はわざわざ聞いてきた。

「正直、お前の実力なら無傷でなんとか出来たろう。
 まぁ、あの女生徒がいたからってのも考えると、無傷とはいかなくても、肉を持っていかれることも、ましてや呪いを受けるなんてこともないだろ。
 なにがあった?」

「え、えー、改めて言われても」

 そう答えた時、俺の脳裏にあの変質者とのやり取りが瞬いた。
 あ、あー!!!!!
 忘れてた!!
 じいちゃんにウスノのこと話すの忘れてた!!

 やっべ、携帯、携帯って、あれ?
 携帯どこだ??
 追いかけるか?
 いまならまだ間に合うはず!!

 ベッドから勢いよく出ようとして、今度は全身に激痛が走り、あやうくベッドから落ちそうになった。
 そこに、一旦消えていたはずのノームが現れ、首根っこ掴まれてベッドにもどされた。

「元気だなー」

 担任が棒読みでそんなことを呟いた。

「その様子から察するに、なにかあったんだな?」

 担任に言われ、頷いた。

「なにがあった??」

 担任に追撃される。
 どうしよう、言うべきだろうか。
 まぁ、この人はウスノのこと、一応知ってるんだよなぁ。

「……っ」

 言おうとして、でも言葉につまる。
 なんて言えばいいんだ?
 死んだはずの双子の兄が、実は生きてるっぽいですとか??
 そんで、あの変質者をけしかけて殺そうとしてきましたとかか??
 言ったところで、信じてもらえるのか?
 俺が言うか言うまいか迷っていると、

「話せ、なにがあった?」

 なんて促される。 
 ガチトーンだ。
 これ、言わなかったら首締められて封印される前に殺されそうだな。
 そんな気迫が、担任から感じられた。
 俺は、ノームを見た。
 ノームは黙ったままだ。
 でも、俺を見て頭を撫でた。

「……実は」

 俺は、その時のことを話した。
 担任は真剣に話を聞いていた、ように見えた。

「死んだはずのやつから、殺し屋が送られてきた、ね」

 話を全て聞き終えて、担任は難しそうに考え込んだ。
 やがて、

「これは、念の為の確認なんだが」

「はい」

「お前の兄貴は、死んだ日、なんでわざわざ外に出たんだ?」

「それは、さっき話したじゃないですか。
 俺が、俺の、せいで」

 つっかえつっかえ続けようとした言葉は、しかし、担任によって遮られる。
 担任は、面倒くさそうに頭をガリガリとかいて、

「いや、普通におかしいだろ。
 たぶん、お前のせいじゃないぞ」

「え?」

「冷静に考えてみろ。
 子供の監督責任は誰にある?
 親だろ、親。
 お前の親は、お前の兄貴が死んだ、その責任を負いたくないがために、お前を犯人にして責任転嫁したんだよ」

 ばっさりと、担任が言い切った。

「目が届かないのなら、やりようはいくらでもあったはずだ。
 極端な話になるが。
 龍神族のじいさんに相談して、部屋や家を抜け出したらわかる魔法を設置してもよかった。
 なんなら、ベッドに縄で括り付けるくらいしてもよかったはずだ。
 そんなに大事な跡取り長男ならな。
 でも、しなかった。
 しないと判断した。
 それを判断し、決定したのは誰だ?」

 担任は言ってすぐに、面倒そうにまた頭をガリガリとかいた。

「お前の親だろ。
 まぁ、この話は脇に置くとして。
 わかりやすく、話を整理しよう。
 お前の兄貴は生まれた時から体が弱かったんだよな?」

 俺は頷いた。

「とくに心臓が弱くて。
 だから体を動かすことも禁じられてて。
 車椅子生活ってわけじゃなかったんですけど、あんまり長く歩くこともできなくて」

 だから、基本寝たきりだった。
 そんな俺の言葉に、担任は指摘した。

「ほら、やっぱりおかしい」

「なにが」

「なにがって、気づかないか?
 生まれた時から寝たきりで、長く歩くことも出来ない奴が、どうやって熊の出る、山の奥まで行けたんだよ?
 お前ん家の畑にでも出たのか?
 んで、連れ去られたのか?
 それなら話が早いんだけどな」

 言われて、気づいた。
 そもそも、ウスノにそんな体力はなかったはずだ。
 移動出来て、せいぜい家の敷地から出られるかどうかだったと思う。

「で、でも、現にウスノは山の中で死んで……」

「あとは、そうだなぁ。
 なんで、都合よくお前が駆けつけられる場所で、襲われて死んでたんだ??
 出来すぎだろ」

「それは、そう、ですけど」

「まるで、お前の兄貴の死は、他ならないお前に見せつけるためだけに演出されたように見えるのは気のせいか?」

 ズキズキと、腹の痛みが増してきた。
 知らず、そこをぎゅうっと抑える。
 力を込めすぎたのか、手に液体が付着した。
 染み出した、俺の血だった。
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