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二年生になりました(笑)
裏話7
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カツ丼弁当とケーキを堪能した後、少し休んでからエルリーと別れ、もう一度教務室へと向かった。
糞担任がいるかな、すこし身構えたがいなかった。
その代わり、あの白衣の教師が俺たちのことに気づいて手招きしてきた。
「届いたよ、ほら」
そう言ってディアナに携帯を渡してきた。
ディアナはビクビクしつつも、それを受け取る。
そして、なぜか首を傾げていた。
「それじゃないの?」
白衣の教師が訊ねる。
ハッとしてディアナは、じいっと携帯を見つめ、操作してみた。
「いえ、私のです。
ありがとうございました」
そう言って、ディアナはぺこりと頭を下げた。
そんなこんなで、教務室を出る。
さて、午後はどうしようか。
授業、に出るのはかったるいんだよなぁ。
今日は一日サボろうかなとか考えていたら、糞担任に捕まってしまった。
「おい、授業サボって校内デートとはいい度胸してんな悪ガキ」
「げっ」
逃げようとするが、首根っこ引っ掴まれてしまう。
そこで、糞担任はディアナを見た。
「……???」
糞担任は不思議そうにディアナを見る。
「お前……」
ディアナへ、糞担任はなにかを言おうとする。
しかし、そこで慌てたように教務室の扉が開いて、あの白衣の教師が出てきた。
俺たちを、というより、ディアナを見て心底ホッとしたように声を掛けてきた。
「あ!良かった、まだ居た!!
ディアナさん、話があるからちょっと来てくれるかい?」
これにディアナは、驚く。
体を強ばらせて、怖がっているようにも見えた。
しかし、話があると教師じきじきに言われては断れない。
「取って食いやしないから、そんな怯えないでほしいなぁ」
白衣の教師が苦笑しながら言った。
ディアナがちらり、と俺を見た。
しかし、一度深呼吸してから彼女は教務室に入っていった。
白衣の教師が扉を閉める。
しかし、扉を閉める直前、俺と糞担任を見てなんというかとても禍々しく睨みつけられた。
いや、気のせいかも知れないけど。
隣で、糞担任が頭をガリガリと掻きつつ聞いてきた。
「お前、あの女生徒とどんな関係だ?」
少し考えて、俺は冗談めかして答えた。
「……校内デートする程度の関係ですね」
すぐ小突かれる。
「真面目に聞いてるんだ」
ガチトーンで言われ、俺は昨日からのことを説明した。
説明の後、糞担任はあの死んだ魚みたいな目を俺に向けて、
「はあ」
盛大にため息を吐き出した。
なんなんだ、いったい。
「とりあえず、授業行くぞー」
糞担任は、疲れたようにそう言って、俺を引っ張っていこうとする。
「え、いやディアナのこと待ってないと」
「なんで?」
「なんでって、出てきて誰もいなかったら嫌じゃん」
しかし、その訴えは聞き届けられず、糞担任は俺の事を無理やり授業へと引っ張って行こうとする。
仕方ない。
「……ノーム」
小さく、俺はノームを呼んだ。
大地の精霊王は、その呼び掛けに応えてくれた。
「頼んでいいか?」
ノームがやれやれと言った表情で頷いてくれる。
「んじゃ、よろしく」
それを、糞担任がジト目で見てくるが、なにも言っては来なかった。
そうして、午後の授業に参加させられた。
ブランにも小突かれ、色々聞かれた。
しつこかったのと、ブランはディアナのことを知っているので話した。
そしたら、なんか驚かれた。
「え? おま、誕生日って、え??」
「ケーキのお裾分け貰ったから、寮に帰ったら渡すよ」
「いや、そうじゃなくて!」
「???」
「お前、誕生日だったん??」
「うん、すっかり忘れてたけど」
ちなみに思い出した切っ掛けは、エルリーだ。
いきなり誕生日を教えてほしい、と言われたのだ。
聞かれてもすぐに思い出さない程度には、どうでもいいことだったので免許証や生徒手帳の確認をするまでに、随分時間がかかった。
「エルリーが誕生日ケーキ焼いてくれてさ。
ホールのやつ、美味かったぞ」
あと、うん、とても感慨深かった。
去年のこととか思い出すと、我ながらよく生きてたなぁ、と。
ほんと、我ながらどっかで死んでても不思議じゃなかったからなぁ。
……ウスノのことが頭にチラついた。
同じ日に生まれたのだから、必然的にアイツの誕生日でもある。
そんなこと、知ってたはずなのにな。
とかしみじみやってたら、ブランが汗ダラダラにして、
「な、なんか欲しいものとかあるか?
食い物でもいいけど、奢るぞ?」
とか聞いてきた。
「なにそんなに動揺してるんだ、お前。
生憎、今、欲しいものはないな」
そう答えたら、見るからにブランがガッカリした。
しかし、本当に欲しいものなんて……。
あ、いやあったわ。
「あった、欲しいもの」
ブランが表情を明るくする。
とりあえず、放課後に売店に付き合ってもらおう。
糞担任がいるかな、すこし身構えたがいなかった。
その代わり、あの白衣の教師が俺たちのことに気づいて手招きしてきた。
「届いたよ、ほら」
そう言ってディアナに携帯を渡してきた。
ディアナはビクビクしつつも、それを受け取る。
そして、なぜか首を傾げていた。
「それじゃないの?」
白衣の教師が訊ねる。
ハッとしてディアナは、じいっと携帯を見つめ、操作してみた。
「いえ、私のです。
ありがとうございました」
そう言って、ディアナはぺこりと頭を下げた。
そんなこんなで、教務室を出る。
さて、午後はどうしようか。
授業、に出るのはかったるいんだよなぁ。
今日は一日サボろうかなとか考えていたら、糞担任に捕まってしまった。
「おい、授業サボって校内デートとはいい度胸してんな悪ガキ」
「げっ」
逃げようとするが、首根っこ引っ掴まれてしまう。
そこで、糞担任はディアナを見た。
「……???」
糞担任は不思議そうにディアナを見る。
「お前……」
ディアナへ、糞担任はなにかを言おうとする。
しかし、そこで慌てたように教務室の扉が開いて、あの白衣の教師が出てきた。
俺たちを、というより、ディアナを見て心底ホッとしたように声を掛けてきた。
「あ!良かった、まだ居た!!
ディアナさん、話があるからちょっと来てくれるかい?」
これにディアナは、驚く。
体を強ばらせて、怖がっているようにも見えた。
しかし、話があると教師じきじきに言われては断れない。
「取って食いやしないから、そんな怯えないでほしいなぁ」
白衣の教師が苦笑しながら言った。
ディアナがちらり、と俺を見た。
しかし、一度深呼吸してから彼女は教務室に入っていった。
白衣の教師が扉を閉める。
しかし、扉を閉める直前、俺と糞担任を見てなんというかとても禍々しく睨みつけられた。
いや、気のせいかも知れないけど。
隣で、糞担任が頭をガリガリと掻きつつ聞いてきた。
「お前、あの女生徒とどんな関係だ?」
少し考えて、俺は冗談めかして答えた。
「……校内デートする程度の関係ですね」
すぐ小突かれる。
「真面目に聞いてるんだ」
ガチトーンで言われ、俺は昨日からのことを説明した。
説明の後、糞担任はあの死んだ魚みたいな目を俺に向けて、
「はあ」
盛大にため息を吐き出した。
なんなんだ、いったい。
「とりあえず、授業行くぞー」
糞担任は、疲れたようにそう言って、俺を引っ張っていこうとする。
「え、いやディアナのこと待ってないと」
「なんで?」
「なんでって、出てきて誰もいなかったら嫌じゃん」
しかし、その訴えは聞き届けられず、糞担任は俺の事を無理やり授業へと引っ張って行こうとする。
仕方ない。
「……ノーム」
小さく、俺はノームを呼んだ。
大地の精霊王は、その呼び掛けに応えてくれた。
「頼んでいいか?」
ノームがやれやれと言った表情で頷いてくれる。
「んじゃ、よろしく」
それを、糞担任がジト目で見てくるが、なにも言っては来なかった。
そうして、午後の授業に参加させられた。
ブランにも小突かれ、色々聞かれた。
しつこかったのと、ブランはディアナのことを知っているので話した。
そしたら、なんか驚かれた。
「え? おま、誕生日って、え??」
「ケーキのお裾分け貰ったから、寮に帰ったら渡すよ」
「いや、そうじゃなくて!」
「???」
「お前、誕生日だったん??」
「うん、すっかり忘れてたけど」
ちなみに思い出した切っ掛けは、エルリーだ。
いきなり誕生日を教えてほしい、と言われたのだ。
聞かれてもすぐに思い出さない程度には、どうでもいいことだったので免許証や生徒手帳の確認をするまでに、随分時間がかかった。
「エルリーが誕生日ケーキ焼いてくれてさ。
ホールのやつ、美味かったぞ」
あと、うん、とても感慨深かった。
去年のこととか思い出すと、我ながらよく生きてたなぁ、と。
ほんと、我ながらどっかで死んでても不思議じゃなかったからなぁ。
……ウスノのことが頭にチラついた。
同じ日に生まれたのだから、必然的にアイツの誕生日でもある。
そんなこと、知ってたはずなのにな。
とかしみじみやってたら、ブランが汗ダラダラにして、
「な、なんか欲しいものとかあるか?
食い物でもいいけど、奢るぞ?」
とか聞いてきた。
「なにそんなに動揺してるんだ、お前。
生憎、今、欲しいものはないな」
そう答えたら、見るからにブランがガッカリした。
しかし、本当に欲しいものなんて……。
あ、いやあったわ。
「あった、欲しいもの」
ブランが表情を明るくする。
とりあえず、放課後に売店に付き合ってもらおう。
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