67 / 142
マウント取ってタコ殴りすることには定評あるんだぜ?知ってたろ??
裏話2
しおりを挟む
とりあえず、談話室にでも行って話をしようとなったところを看護師に見咎められて、病室に押し戻された。
ちなみに個室である。
今のところ見舞いに来たのは、マー君ことブラン。
エルリーという女の子。
記憶なくす怪我をした時にそばにいたという、男子生徒のレイド。
それと、日記によると毒物関連で知り合ったらしい、王族の生徒会長アンク。
あとは、コノハと弟のタケル。それと母親だった。
父親と祖父母は来ていない。
来る気が無いのだろうと思われる。
内孫より外孫が大事な人たちということをヤマトは知っているので、なんとも思っていない。
後者の身内や知人はともかく、前者の学園での知人たちはヤマトの記憶が吹っ飛んだことを知るや、絶望的な表情になった。
さすがにヤマトの状態が状態なので、問い詰めるとかは無かったが、それでもショックは大きかったようだ。
日記を持ってきてくれたブランだけは、とても神妙そうな顔をしていた。
そもそもなんで彼が日記の存在を知っていたのか。
そして、わざわざ持ってきてくれたのか。
別に、今のヤマトが頼んだ訳でもないのに、ブランは日記を持ってきてくれた。
ヤマトへ渡す時、ご丁寧に、
「読んでないから」
と言ってきた程度には、良い奴なのかもしれない。
それを言葉にしたら、何故か物凄く悲しそうな顔をされた。
そして、
「記憶が無くても同じこと言うんだな」
なんて、言われてしまった。
だからか、ノートを開く度に、ヤマトは何故か悪いことをしてる気分になってしまう。
しかし、そんなことは欠片もわからないキーリが呆れ顔で言ってきた。
「お前さー、ちょっとは大人しくしとけよ。
コノハ泣かせるなよな」
「あはは、泣かせたいわけじゃないんだけど」
答えるヤマトに、一緒に日記に目を通していたシノも渋面で言ってくる。
「お前、何度死にかけてるんだ。
葬式片手じゃ足りないくらい出してる数だぞ」
ヤマトは何故か胸を張って答えた。
「俺もそう思う。ほんと、この十ヶ月の間の自分、アホだろって日記読みながら思った」
そこにキーリがツッコミを入れる。
「いや、お前のことだろ。
ちょっとはさ、お前自身から話は聞いてたけど予想以上だったよ。
よく生きてたな」
「なー」
ヤマトは呑気に返した。
「……なぁ、このメモなんだ?」
シノが、記憶を無くす前のヤマトのメモに気づいた。
「さぁな? 俺も気になってる」
キーリがノートを覗き込んできた。
メモの疑問のひとつは、意外にもキーリが答えを持っていた。
「畑の気配ってアレじゃん、お前が罠仕掛けるか迷ってたやつじゃね?」
ヤマトとシノが同時に、キーリを見た。
キーリ曰く、勝負の数日前からヤマトにメール等で相談をされていたらしい。
なんでも、見たことの無い人の足跡を見つけたとか。
その足跡は、ヤマトが冬休みまで利用していた小屋の周囲に春休みの前から見かけるようになったとか。
担任のものでも、ブランのものでも、そして他の生徒のものでも無い、もしかしたら学外の人間が野菜を盗もうと忍び込んで来てるのかもしれない。
と、記憶を無くす前のヤマトは考えていたようだ。
シノが難しい顔をしてノートを、何も書かれていない白紙のページまでチェックする。
すると、一番最後のページに勝負当日の日付と、ヤマトの筆跡で走り書きがあった。
そこには、【魔女裁判】とあった。
「なんのこっちゃ」
書いた本人が呟く。
シノが真面目な顔で、
「暗号だったりして。もしくはヒントとか?」
と言う。
「なんの?」
ヤマトは首を傾げた。
「記憶を失う前のお前からの、だろ。
今の状態を予見していたかは知らんが、何かしらの予感はあったのかもな。
これの意味が分かると、宝が手に入ったりするんじゃないか?」
シノはどこかおどけて言う。
キーリがノートを手に取って、パラパラめくる。
やがて、口を開いた。
「それこそ聞いて、考えてもらえばいいじゃん」
「誰に?」
ヤマトの返しに、キーリは答えた。
「スレ民に」
ちなみに個室である。
今のところ見舞いに来たのは、マー君ことブラン。
エルリーという女の子。
記憶なくす怪我をした時にそばにいたという、男子生徒のレイド。
それと、日記によると毒物関連で知り合ったらしい、王族の生徒会長アンク。
あとは、コノハと弟のタケル。それと母親だった。
父親と祖父母は来ていない。
来る気が無いのだろうと思われる。
内孫より外孫が大事な人たちということをヤマトは知っているので、なんとも思っていない。
後者の身内や知人はともかく、前者の学園での知人たちはヤマトの記憶が吹っ飛んだことを知るや、絶望的な表情になった。
さすがにヤマトの状態が状態なので、問い詰めるとかは無かったが、それでもショックは大きかったようだ。
日記を持ってきてくれたブランだけは、とても神妙そうな顔をしていた。
そもそもなんで彼が日記の存在を知っていたのか。
そして、わざわざ持ってきてくれたのか。
別に、今のヤマトが頼んだ訳でもないのに、ブランは日記を持ってきてくれた。
ヤマトへ渡す時、ご丁寧に、
「読んでないから」
と言ってきた程度には、良い奴なのかもしれない。
それを言葉にしたら、何故か物凄く悲しそうな顔をされた。
そして、
「記憶が無くても同じこと言うんだな」
なんて、言われてしまった。
だからか、ノートを開く度に、ヤマトは何故か悪いことをしてる気分になってしまう。
しかし、そんなことは欠片もわからないキーリが呆れ顔で言ってきた。
「お前さー、ちょっとは大人しくしとけよ。
コノハ泣かせるなよな」
「あはは、泣かせたいわけじゃないんだけど」
答えるヤマトに、一緒に日記に目を通していたシノも渋面で言ってくる。
「お前、何度死にかけてるんだ。
葬式片手じゃ足りないくらい出してる数だぞ」
ヤマトは何故か胸を張って答えた。
「俺もそう思う。ほんと、この十ヶ月の間の自分、アホだろって日記読みながら思った」
そこにキーリがツッコミを入れる。
「いや、お前のことだろ。
ちょっとはさ、お前自身から話は聞いてたけど予想以上だったよ。
よく生きてたな」
「なー」
ヤマトは呑気に返した。
「……なぁ、このメモなんだ?」
シノが、記憶を無くす前のヤマトのメモに気づいた。
「さぁな? 俺も気になってる」
キーリがノートを覗き込んできた。
メモの疑問のひとつは、意外にもキーリが答えを持っていた。
「畑の気配ってアレじゃん、お前が罠仕掛けるか迷ってたやつじゃね?」
ヤマトとシノが同時に、キーリを見た。
キーリ曰く、勝負の数日前からヤマトにメール等で相談をされていたらしい。
なんでも、見たことの無い人の足跡を見つけたとか。
その足跡は、ヤマトが冬休みまで利用していた小屋の周囲に春休みの前から見かけるようになったとか。
担任のものでも、ブランのものでも、そして他の生徒のものでも無い、もしかしたら学外の人間が野菜を盗もうと忍び込んで来てるのかもしれない。
と、記憶を無くす前のヤマトは考えていたようだ。
シノが難しい顔をしてノートを、何も書かれていない白紙のページまでチェックする。
すると、一番最後のページに勝負当日の日付と、ヤマトの筆跡で走り書きがあった。
そこには、【魔女裁判】とあった。
「なんのこっちゃ」
書いた本人が呟く。
シノが真面目な顔で、
「暗号だったりして。もしくはヒントとか?」
と言う。
「なんの?」
ヤマトは首を傾げた。
「記憶を失う前のお前からの、だろ。
今の状態を予見していたかは知らんが、何かしらの予感はあったのかもな。
これの意味が分かると、宝が手に入ったりするんじゃないか?」
シノはどこかおどけて言う。
キーリがノートを手に取って、パラパラめくる。
やがて、口を開いた。
「それこそ聞いて、考えてもらえばいいじゃん」
「誰に?」
ヤマトの返しに、キーリは答えた。
「スレ民に」
3
お気に入りに追加
147
あなたにおすすめの小説
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
島流しなう!(o´・ω-)b
一樹
ファンタジー
色々あって遭難したスレ主。
生き延びるためにスレ立てをした。
【諸注意】
話が進むと、毒虫や毒蛇を捕まえたり食べたりする場面が出てきますが、これはあくまで創作です。
絶対に真似しないでください。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる