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マウント取ってタコ殴りすることには定評あるんだぜ?知ってたろ??

裏話2

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 とりあえず、談話室にでも行って話をしようとなったところを看護師に見咎められて、病室に押し戻された。
 ちなみに個室である。
 今のところ見舞いに来たのは、マー君ことブラン。
 エルリーという女の子。
 記憶なくす怪我をした時にそばにいたという、男子生徒のレイド。
 それと、日記によると毒物関連で知り合ったらしい、王族の生徒会長アンク。
 あとは、コノハと弟のタケル。それと母親だった。
 父親と祖父母は来ていない。
 来る気が無いのだろうと思われる。
 内孫より外孫が大事な人たちということをヤマトは知っているので、なんとも思っていない。
 後者の身内や知人はともかく、前者の学園での知人たちはヤマトの記憶が吹っ飛んだことを知るや、絶望的な表情になった。
 さすがにヤマトの状態が状態なので、問い詰めるとかは無かったが、それでもショックは大きかったようだ。
 日記を持ってきてくれたブランだけは、とても神妙そうな顔をしていた。
 そもそもなんで彼が日記の存在を知っていたのか。
 そして、わざわざ持ってきてくれたのか。
 別に、今のヤマトが頼んだ訳でもないのに、ブランは日記を持ってきてくれた。
 ヤマトへ渡す時、ご丁寧に、

 「読んでないから」

 と言ってきた程度には、良い奴なのかもしれない。
 それを言葉にしたら、何故か物凄く悲しそうな顔をされた。
 そして、

 「記憶が無くても同じこと言うんだな」

 なんて、言われてしまった。
 だからか、ノートを開く度に、ヤマトは何故か悪いことをしてる気分になってしまう。
 しかし、そんなことは欠片もわからないキーリが呆れ顔で言ってきた。

 「お前さー、ちょっとは大人しくしとけよ。
 コノハ泣かせるなよな」

 「あはは、泣かせたいわけじゃないんだけど」
 
 答えるヤマトに、一緒に日記に目を通していたシノも渋面で言ってくる。

 「お前、何度死にかけてるんだ。
 葬式片手じゃ足りないくらい出してる数だぞ」

 ヤマトは何故か胸を張って答えた。

 「俺もそう思う。ほんと、この十ヶ月の間の自分、アホだろって日記読みながら思った」

 そこにキーリがツッコミを入れる。

 「いや、お前のことだろ。
 ちょっとはさ、お前自身から話は聞いてたけど予想以上だったよ。
 よく生きてたな」

 「なー」

 ヤマトは呑気に返した。

 「……なぁ、このメモなんだ?」

 シノが、記憶を無くす前のヤマトのメモに気づいた。

 「さぁな? 俺も気になってる」

 キーリがノートを覗き込んできた。
 メモの疑問のひとつは、意外にもキーリが答えを持っていた。

 「畑の気配ってアレじゃん、お前が罠仕掛けるか迷ってたやつじゃね?」

 ヤマトとシノが同時に、キーリを見た。
 キーリ曰く、勝負の数日前からヤマトにメール等で相談をされていたらしい。
 なんでも、見たことの無い人の足跡を見つけたとか。
 その足跡は、ヤマトが冬休みまで利用していた小屋の周囲に春休みの前から見かけるようになったとか。
 担任のものでも、ブランのものでも、そして他の生徒のものでも無い、もしかしたら学外の人間が野菜を盗もうと忍び込んで来てるのかもしれない。
 と、記憶を無くす前のヤマトは考えていたようだ。
 シノが難しい顔をしてノートを、何も書かれていない白紙のページまでチェックする。
 すると、一番最後のページに勝負当日の日付と、ヤマトの筆跡で走り書きがあった。

 そこには、【魔女裁判】とあった。

 「なんのこっちゃ」

 書いた本人が呟く。
 シノが真面目な顔で、

 「暗号だったりして。もしくはヒントとか?」

 と言う。

 「なんの?」

 ヤマトは首を傾げた。

 「記憶を失う前のお前からの、だろ。
 今の状態を予見していたかは知らんが、何かしらの予感はあったのかもな。
 これの意味が分かると、宝が手に入ったりするんじゃないか?」

 シノはどこかおどけて言う。
 キーリがノートを手に取って、パラパラめくる。  
 やがて、口を開いた。

 「それこそ聞いて、考えてもらえばいいじゃん」

 「誰に?」

 ヤマトの返しに、キーリは答えた。

 「スレ民に」
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