引きこもりアラフォーはポツンと一軒家でイモつくりをはじめます

第二章 一軒家はモノノケたちのなんなのか

おひるは騒がしい（５）

　村瀬は怒られる！　そう思ったがそれは正しかった。なんらかの物理的な力がかかって空中に浮かび上がってしまった。てっきりキキョウに張り倒されるかもしれないと思ったが別の意味で驚いた。


　「やめて！　使わせないでちょうだい！」

　キキョウの言葉に村瀬は宙に浮いたままあっけにとられていると、天井近くまで上昇してから一気に墜落してしまった！　そして畳の上で張り付いてしまったかのような無様な姿になった。

　「おい！　新入り！　気を付けろ！　キキョハは防御魔法が使えるんじゃ！　危険が迫ったと思ったらそうやって相手を跳ね飛ばすてわけさ

　オトメの説明に村瀬は納得するしかなかった。

　「ごめんなさい！」

　村瀬が謝ると、キキョウは少し不貞腐れたような複雑な笑顔を見せた。

　「そうよ！　私こう見えてもまだ100歳になったばかりなのよ！　若い娘の身体を触ったらいけませんわよ！　次はもっと酷い目にあってしまうよ！」

　そういってキキョウはつぶれた村瀬の手を取った。その手は柔らかいぬくもりがあった。

　「ありがとう」

　「そうよ！　気をつけてよ！」

　そうしているとオトメの後ろからモノノケたちが続々と入って来た。それらは正に百鬼夜行といっていいものであった。身長も姿形も全て不統一であった。それに村瀬は完全にビビってしまった。