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第一章 引きこもりアラフォーポツンと一軒家に行く

はじめての(1)

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 村瀬という男は惰性のまま生きてきた。人生のモラトリアムとばかりに何ら目的もなく大学に進学し、卒業しようとしたときは世紀末というか平成の大不況に遭遇してしまった。そんな就職超氷河期を乗り越えることが出来ず、非正規のアルバイトや正社員として就職してもブラック企業だったりしたため、次第に人間性がなくなり、とうとう引き籠りになり、なんら人生の目標のないアラフォーになっていた。

 そんな村瀬は人生初の農作業をしていた。でも、それはツクモ神の鍬にやらされていた。でも、それは一種の恍惚感を味あっていた。少し肌寒かったが、次第に身体が温まり汗さえもでるようになっていた。

 「どうだ? お主、身体を動かすのも悪くないだろう!」

 ツクモ神の鍬に言われたが、ふと村瀬はこう思った。これってランニングマシーンにでも載せられているのと同じではないかと。自分の意志に関係なく。

 「なんか、無理矢理やらされているみたいですが、なんともいえない気分ですが」

 その時、村瀬は雑草の根を鍬で掘り返していた。そしてしばらくするとツクモ神の鍬にこう指示された、掘り返した根を集めろと。

 「集めてどうするのですか?」

 「そいつらを乾燥させるんじゃ。なんだって、そいつらは妖怪芋の妖気を浴びているからな」

 「妖怪芋? なんですか、それ?」

 「まあ、長い期間付き合う事になるからいうが、その芋はこの世界のモノノケたち羨望のものでな。結構、良い金になるんじゃ」

 良い金になる? でも、そんなことを村瀬は聞いたこともないし信じられなかった。
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