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第一章 引きこもりアラフォーポツンと一軒家に行く

同居人はモノノケ娘(1)

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 「ほ、ホンモノ?」

 村瀬は困惑していた。一人暮らしだと聞いていたのに女の子がいるのかと思ったのに、ケモノの耳がついている女って一体全体なんなんだろうかと。するとキキョウも田貫もニヤリとしていた。

 「細かい事を説明するのはおいおいするけど、ここはモノノケの里なんだよ! 君は気づかなかっただろうが結界を超えていたんだ。ここは人間が立ち入れない場所なんだが、君は許されると思ってスカウトしたんだよ。結果、問題なくここに来れたわけだ。よかった、合格だ! 取りあえず、ここにいれば衣食住に不自由はしないさ。その代り、あるイモの栽培をすればいいんだから」

 田貫はそういったが、村瀬には一体なんのことなんかわからなかった。

 「僕は、その農業の経験はありませんよ! それでもいいんですか?」

 するとキキョウが手に見た事のないイモを持っていた。

 「大丈夫ですわ、このイモを春になったら植えて、夏はテキトーに世話をして、秋から冬に収穫してくれたらいいですよ。特別な技能はいりませんし、そんなに難しくないですわ。人間ですから」

 キキョウはニコリとしていたが、村瀬は色々と突っ込みたくなっていた。

 「人間って、君たちはモノノケなのか?」

 すると二人は不気味な笑みを浮かべていた。

 「そうだよ。人間がモノノケと呼ぶ存在さ我々は! このイモは成長している間はモノノケが触れる事が出来ないものなんだ。どうしても人間の手で植えてもらわないといけないんだよ。しかも、この土地でしか育たないんだ」

 田貫の言葉に鈍感な村瀬でも意味がなんとなく分かった。
 
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