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第一章 引きこもりアラフォーポツンと一軒家に行く
ポツンと一軒家(2)
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そのとき、意外な事であるが村瀬は特に沸き起こる感情などはなかった。ずっと引きこもりで暮らしていたので惰性な生活の果てに無感想で無感動な男になっていた。そもそも引きこもりになったのも人間関係がいやになったためで、仕事を辞めてから死んでいるような暮らしをしてきたが、衣食住に関心がなくなり、贅沢しないが人間らしいことをしてこなかった。
「これが俺の家ですか・・・」
「もうちょっと何か気が利いたことをいわんのかい?」
村瀬のポツンとしたやる気ない言葉に田貫は呆れ気味だった。その時の村瀬の格好といえば、着古した服を纏い、ボサボサの頭に無精ひげ、あんまり清潔感を感じない野暮ったい雰囲気であった。
「まあよい、君はゲームするんかい?」
「ゲームですか? ゲーム機なんてものを買ったことありませんし、テレビは地デジになったときに仕えなくなってしまったので、お金がなかったから」
村瀬の言葉に引きこもって一体何をしていたんだろうかと不思議に思う田貫であったが、これから始まる生活に適合するかもしれないと思った。なぜなら、こんな人が通わぬ山奥で娯楽を求めるような者が生活できるはずなかったからだ。
「こんな山奥でも衣食住が保障されると聞いたのですが、やっぱ俺が食料を調達するんですよね? 買い物はどうすればいいんですか?」
ようやく村瀬がまともな事を聞いたと思ったが、それは誰でもいいそうなことであった。
「それかい、君の為に同居する者がいるんだ。まあ人ではないけど」
田貫の言葉の意味を村瀬は気づかなかったようだ。それがこれから始まる生活のキーワードなのに。
「これが俺の家ですか・・・」
「もうちょっと何か気が利いたことをいわんのかい?」
村瀬のポツンとしたやる気ない言葉に田貫は呆れ気味だった。その時の村瀬の格好といえば、着古した服を纏い、ボサボサの頭に無精ひげ、あんまり清潔感を感じない野暮ったい雰囲気であった。
「まあよい、君はゲームするんかい?」
「ゲームですか? ゲーム機なんてものを買ったことありませんし、テレビは地デジになったときに仕えなくなってしまったので、お金がなかったから」
村瀬の言葉に引きこもって一体何をしていたんだろうかと不思議に思う田貫であったが、これから始まる生活に適合するかもしれないと思った。なぜなら、こんな人が通わぬ山奥で娯楽を求めるような者が生活できるはずなかったからだ。
「こんな山奥でも衣食住が保障されると聞いたのですが、やっぱ俺が食料を調達するんですよね? 買い物はどうすればいいんですか?」
ようやく村瀬がまともな事を聞いたと思ったが、それは誰でもいいそうなことであった。
「それかい、君の為に同居する者がいるんだ。まあ人ではないけど」
田貫の言葉の意味を村瀬は気づかなかったようだ。それがこれから始まる生活のキーワードなのに。
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