ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと

ジャン・幸田

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遭遇編!

影人間(2)

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 目の前にいる真っ黒な全身タイツを着た男(多分)、繁華街を移動する影人間そのものだった。しかし、そんな恰好して問題ないだろうかと考えてしまった。肌の露出はないけど体形が露わになっているからだ。股間を見たら男性のシンボルが薄っすらと浮き上がっているじゃないか。それって卑猥・・・でも水泳部の野郎も同じようにもっこりしていたなどと、つまらない事を思い出してしまった。

 それはともかく、声をかけようと思い近づいていた、本能が赴くままにだ。後で聞いたらそんな勇気よくあったなあと言われたけど、興味の方が勝ったからだ。

 その真っ黒な影人間は腰にバックをかけていたので何処かに向っているようだった。この世の中で奇抜なファッションをしている者もいるけど、それらに比べたら地味のようにも感じたけど、やっぱり真っ黒な全身タイツってありなのか? それにモノなんか見えているんだろうか? とにかく知りたいという心がアンタッチャブルな存在かもしれない男へと近づいていた。

 その男はともかく足が速かった。でも信号待ちをしているところでようやく追いつくことが出来た。その真っ黒な影人間は完璧なまでに黒かった。しかも全身タイツの生地がピッタリと張り付いているように見えた。俺は勇気を出して声をかける事にした。
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