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引きこもりの少女の運命は
外のツバメ
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激しい雨が上がり夏の猛烈な日差しが雲を蹴散らすかのように窓に広がってきた。その青空には巣立ちして間もない幼いツバメたちが危なっかしく飛んでいた。どうも敷地内にある何処か巣があるようだ。それは若い生命力をめいいっぱい発露しているかのようだ。
それを見つめる私は・・・憂鬱だった。無理やりここに連れてこられたから。外出するのはいつからしていないのか忘れてしまった。私は友梨、普通の少女ではなかった。ずっと引きこもりしていた・・・
その日は父方の祖母の葬儀だった。父、といっても両親は別れているので本当は他人みたいなものだけど、父が遠い国に行ってしまっているので、代わりってことかもしれないと思っていた。
葬儀、といっても家族葬なので参列者は多くなかったが、荼毘について来たのは10人もいなかった。なぜ、私が連れてこられたのか分からなかった。
元々、私が引きこもりになったのは小学校の6年の時にひどいイジメにあってしまい、人と接するのが恐ろしくなったのが原因だ。それで中学校は全部欠席したのだけど、何故か卒業したことにされた。全く登校もしないしリモートで授業にも参加していないのに。
それはともかく、私が喪服の代わりに着ていたのは真っ黒いセーラー服だった。一度も登校しなかった中学校のだ。母に二度買ってもらったけど今日が初めて着た。本当は買いに行けばいいけど、祖母が亡くなったのは急だったし、洋服を買いに行くのは恐ろしいし。
祖母の遺体が荼毘に付されている間、私達がいたのは火葬場の待合室だった。この部屋にいるのはすべて親戚のはずだったが、顔と名前が一致しなかった。従姉妹もいるはずだけど、話をすることもなかった。私のほうが拒否反応を示していたし・・・
事前に、親戚には母が引きこもりなので配慮してほしいと言ってくれたようで、話しかける事もなかった。でも、私は恐怖心から部屋の隅っこの方でか弱いウサギのように窓の外に視線を向けていた。その時見たのがツバメたちだった。
私も引きも持っていたら駄目だと思っていた。もうすぐ17歳なのに学校にも行かず部屋に閉じこもって何もしなかった。勉強するのもゲームすることもなく、ただ無為の時間を過ごしていた。後で振り返ってみても、何も思い出すことが何もなかった。あまりにも無感動な人生だったので祖母の葬儀の記憶もカゲロウのようであった。そんな私はツバメの姿を見て、どこかに行かないといけないと思った。でも、どこに行けばいいの?
そう思った直後に新たな展開が起きようとしていたとは思ってもいなかった。
それを見つめる私は・・・憂鬱だった。無理やりここに連れてこられたから。外出するのはいつからしていないのか忘れてしまった。私は友梨、普通の少女ではなかった。ずっと引きこもりしていた・・・
その日は父方の祖母の葬儀だった。父、といっても両親は別れているので本当は他人みたいなものだけど、父が遠い国に行ってしまっているので、代わりってことかもしれないと思っていた。
葬儀、といっても家族葬なので参列者は多くなかったが、荼毘について来たのは10人もいなかった。なぜ、私が連れてこられたのか分からなかった。
元々、私が引きこもりになったのは小学校の6年の時にひどいイジメにあってしまい、人と接するのが恐ろしくなったのが原因だ。それで中学校は全部欠席したのだけど、何故か卒業したことにされた。全く登校もしないしリモートで授業にも参加していないのに。
それはともかく、私が喪服の代わりに着ていたのは真っ黒いセーラー服だった。一度も登校しなかった中学校のだ。母に二度買ってもらったけど今日が初めて着た。本当は買いに行けばいいけど、祖母が亡くなったのは急だったし、洋服を買いに行くのは恐ろしいし。
祖母の遺体が荼毘に付されている間、私達がいたのは火葬場の待合室だった。この部屋にいるのはすべて親戚のはずだったが、顔と名前が一致しなかった。従姉妹もいるはずだけど、話をすることもなかった。私のほうが拒否反応を示していたし・・・
事前に、親戚には母が引きこもりなので配慮してほしいと言ってくれたようで、話しかける事もなかった。でも、私は恐怖心から部屋の隅っこの方でか弱いウサギのように窓の外に視線を向けていた。その時見たのがツバメたちだった。
私も引きも持っていたら駄目だと思っていた。もうすぐ17歳なのに学校にも行かず部屋に閉じこもって何もしなかった。勉強するのもゲームすることもなく、ただ無為の時間を過ごしていた。後で振り返ってみても、何も思い出すことが何もなかった。あまりにも無感動な人生だったので祖母の葬儀の記憶もカゲロウのようであった。そんな私はツバメの姿を見て、どこかに行かないといけないと思った。でも、どこに行けばいいの?
そう思った直後に新たな展開が起きようとしていたとは思ってもいなかった。
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